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「カルバン・クライン」親会社PVH、24年は減収減益 25年は横ばいの見通し

カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」と「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP以下、PVH)の2025年1月期決算は、売上高が前期比6.1%減の86億5290万ドル(約1兆2287億円)、EBIT(利払前・税引前損益)は同16.8%減の7億7230万ドル(約1096億円)、純利益は同9.8%減の5億9850万ドル(約849億円)の減収減益だった。

ブランド別の売上高では、本拠地である北米はほぼ横ばいだったものの、海外事業が同6.8%減となった「トミー ヒルフィガー」は同4.9%減の45億8970万ドル(約6517億円)、北米と海外事業のいずれも微減だった「カルバン・クライン」は同1.5%減の38億5670万ドル(約5476億円)だった。

ステファン・ラーソンCEOのコメント

ステファン・ラーソン(Stefan Larsson)PVH最高経営責任者(CEO)は、アナリスト向けの決算説明会で、「マクロ経済が停滞する中、予想を上回る結果となりうれしく思っている。しかし、小売業界にとって全般的に厳しい状況なのは間違いない。アイコニックなブランドである『カルバン・クライン』と『トミー ヒルフィガー』の開発にいっそう集中し、自らコントロールできる要素に注力する」と語った。ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領政権による関税の引き上げについては、「慎重に様子を見る」とし、現時点において25年の業績は横ばいもしくはやや向上する見込みだと述べた。

中国政府の“信頼できない事業体のリスト”への追加について

なお、中国政府は2月4日、PVHを“信頼できない事業体のリスト”に追加したことを明らかにした。同政府は、PVHが新疆ウイグル自治区で生産されたコットンを“不当にボイコット”している疑いがあるとして、調査を開始することを24年9月に発表。25年1月、同社が“不適切な行為”を行っているとの仮決定を下している。

この背景には、20年6月に中国による少数民族ウイグル人への強制労働問題などが報じられたことから、多くの企業やブランドが新疆ウイグル自治区に工場を持つ中国企業との取引停止や、同自治区で生産された綿花の調達の中止を発表したことがある。米国は22年6月に、ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法(Uyghur Forced Labor Prevention Act以下、UFLPA)」を施行しているが、PVHはそれ以前の21年に同自治区からの調達を中止した。なお、UFLPAが施行されている以上、米国企業が新疆綿に対する姿勢を変えることは難しいだろう。

本件について、同社は今年2月、「会社の方針として、当社は事業を展開している全ての国や地域における全ての規制や法律を厳格に順守している。すでに中国商務省と連絡を取っており、関連する規制に則って対応する」と声明を発表。また、ラーソンCEOは今回の説明会で、「過去20年と同様に、今後も中国の消費者に当社の商品とサービスを提供することにコミットし、中国での長期的な成長に向けて投資していく。引き続き中国商務省と連絡を取り、前向きな解決を図りたい」とコメントした。

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