コミュニティー育成に長けているという点は、スポーツブランドの大きな強み。今の時代、コミュニティーの育成はさまざまなビジネスのキモになっており、ノウハウを求めている人は多いだろう。コミュニティー育成に定評のある2ブランドの事例を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月11&18日号からの抜粋です)
スキーギアを祖業とする仏「サロモン(SALOMON)」は近年、トレイルランニングシューズや街履き用スニーカーで急成長している。2024年12月期のシューズ売上高は1470億円を突破し、続く25年1〜3月も「世界的に勢いを増している」(決算資料から)。グローバルで積極出店を進めており、国内では、25年は既に6店を新規出店、秋以降は公表されているものだけで2店をオープン予定だ。
製品イノベーション(技術革新)とコミュニティー育成という両輪が、好調を支えている。「創業当初から、製品を売るだけでなく、アウトドアアクティビティーのあるライフスタイルや価値観を提供することを目指してきた」と、石田道寛アメアスポーツジャパン サロモン ブランドマーケティングマネージャー。そうした理念を現代的な形に落とし込んだのが、会員メンバーシッププログラムの「Sプラス(S/PLUS)」だ。日本では23年10月にサービスを開始した。ブランドや小売店による会員プログラムでは、値引きが目玉になっていることも少なくない。「Sプラス」にも値引きの仕組みがないわけではないが、「第一義ではない。値引き以外の付加価値をどう提供するか考えている」。付加価値として、例えば会員は話題のコラボの先行販売にアクセスできたり、スポーツ体験イベントに参加できたり。「Sプラス」を通し、「ブランドと会員がつながるだけでなく、会員同士が仲良くなって、そこから何か新しい挑戦などにつながれば、ブランドエンゲージメントは非常に高まる。輪が広がって、広告以上の効果を生む」と考えている。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。
