コミュニティー育成に長けているという点は、スポーツブランドの大きな強み。今の時代、コミュニティーの育成はさまざまなビジネスのキモになっており、ノウハウを求めている人は多いだろう。コミュニティー育成に定評のある2ブランドの事例を紹介する。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月11&18日号からの抜粋です)
オンワードホールディングスのチャコットは、1950年に創業したバレエ・ダンス用品の老舗。2021年にステージ用から一般消費者向けに刷新した化粧品がけん引し、24年2月期売上高は前期比5.8%増の101億円、営業利益は同30.2%増の8億4500万円だった。化粧品に代表されるように、近年は「クローズからオープンへ」を掲げてバレエやダンス愛好家のみにとどまらないビジネスを志向しているが、原点はトウシューズやレオタードなどの販売や衣装制作。加えて、1992年から自社でスタジオも運営し、熱量の高いファンを育てる場になっている。現在、全国で9スタジオを構える。子ども向けレッスンを行うスタジオもあるが、生徒の大多数は40〜60代の女性たち。月間のユニークアクティブ生徒数は、東日本の6スタジオで約3700人。週1回や月に数回通う生徒が中心だが、中には月に50レッスンを受講している生徒もいる。「スタジオの生徒たちは、ブランドの一番のファン集団。安定的な売り上げという面でもスタジオは貢献しているが、それだけではない効果がある」と話すのは、吉野卓巳チャコット取締役管理部門担当兼マーケティング・PR担当。スタジオというコミュニティーを生かし、生徒が何を目的にバレエに取り組んでいるのかなどのインタビューを実施し、製品開発に生かすことを強化中だ。
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