
デニムのハーフパンツ“ジョーツ(Jorts)”が、若者の間で大流行中です。そもそもジョーツとは、ジーンズとショーツを掛け合わせた造語。フルレングスのジーンズより涼しいのに加え、着心地も楽。古着店での取り扱いが広がり、ヒットにつながっているようです。トレンドボトムスの提案が得意な「ジーユー(GU)」もこの夏のブームを受けて、秋以降もジョーツを準定番化。派生形の“ニーショーツ(膝下丈パンツ)”も発表しました。
今年の音楽フェスティバルでもジョーツルックが際立ちました。古着の場合、フルレングスを膝のあたりで切り詰めたタイプが多く、そのざっくりした処理もフェス気分にマッチ。膝上からふくらはぎ丈まで、レングスのバリエーションが多く、自分好みのシルエットを選びやすくなっています。ジェンダーレス感を出しやすいのもジョーツが好まれる一因のよう。
歴史を振り返ってみると、ジョーツはヒッピー時代の1970年代にも人気を博し、以後もしばしばリバイバルしてきました。社会情勢が不穏さを増す今、流れにあらがうおしゃれモチベーションが再びジョーツ人気を呼び込んだようにもみえます。かつて流行したバミューダパンツは中途半端な丈感が不評を買ったこともありますが、今はそのちょっとダサめのサイズがかえって味わい深いと受け止められているよう。いま型にはまらない装いを求めるマインドが高まっていることも、 ジョーツが支持される理由でしょう。
これまでとの違いは、ウィメンズからも支持を集めている点。もともと男っぽいワイルドな着方が主流でしたが、今ではキュートさやエフォートレスとマリアージュさせるスタイリングも主流になっています。
トレンドシューズのウェスタンブーツとも好相性
たとえば、「グリーンルーム’25」のスナップを見てみると、裾が綻んだジーンズをカットオフしてリメイクしたアイテムも多くなっています。靴とのバランスも新鮮で、ウエスタンブーツと合わせればトレンドルックの完成です。
2枚目左の色落ちジョーツはダボッとしたふくらはぎレングスでのどかな風情。コンパクトなレーストップスで合わせて、相反するムードをなじませています。一方、右は膝下丈。ニットトップスの裾からウエストをチラ見せ。どちらもベルトでしっかりウエストマーク。さらに、フェスルックらしくスカーフやバンダナをベルト通しから垂らしてアウトドア気分をプラス。帽子とブーツでアクティブ感を添えています。
重ねタンクトップでトーン調整
ボーイッシュな印象が強いジョーツに、ヘルシーで軽やかな雰囲気を盛り込むには、コンパクトなトップスが役に立ちます。たとえば、タンクトップやキャミソール。Tシャツとのレイヤードも効果的。ピンクやイエローなどのキュート色はフレッシュ感を添えてくれます。
軽くダメージを施したウォッシュドデニムのジョーツはタフな見え具合で、マニッシュ度が高めです。黒いタンクトップにくすみピンクのタンクトップを重ねて、フェミニン寄りにバランスをずらしました。クロッグサンダルもピンクでそろえて、ジョーツをサンドイッチ。甘めカラーでチャーミング度を高めています。
ランジェリーとの風味でこなれ見え
強めのダメージ加工を施したり、ダーク系のカラーで染めたりしたジョーツも人気です。ハードに見えすぎないよう、ランジェリー風のトップスと合わせるのも技。こちらのスナップでは、シアーな長袖ニットのレーストップス越しに、黒ランジェリーをうっすらと透けさせて、センシュアルに仕上げています。ランジェリーとジョーツをダークトーンでそろえているのもポイントです。
キュロット風でチャーミングな印象に
キュロットのようなシルエットの膝丈ジョーツは、新顔アイテムですね。スカートライクに見えているのは、ボックスプリーツが入っているから。きれい色のTシャツをウエストインして、リラックスカジュアルのたたずまいに。ソックスでチャーミングさを添えました。コーディネート次第で幅広いシーンに活躍しそうです。このようなスカート風のジョーツは大人の女性も取り入れやすく、フェミニン派にも今後支持を広げそう。
ユニフォームでスポーツミックス
スポーツユニフォームを組み入れるブロークコアのトレンドに、ジョーツはうってつけです。アクティブなムード満載で、まさにフェスのような野外イベントに似合うコンビネーションです。ブルー系のサッカーユニフォームに、プレーンなジョーツ。チェック柄のシャツを腰に巻いて、アクセントにしています。
きれいめ街着に飛び火 相性の試しがいあり
リメイクデニムに強みを持つ、ベイクルーズのブランド「ボナム (BONUM)」は2025-26年秋冬コレクションでジョーツを打ち出しています。すっきりシルエットのジャケットを重ねて、きれいめに仕上げました。靴はウエスタンブーツでテイストミックスしています。
夏フェスで人気が広まったジョーツは秋以降、街中での着こなしに居場所を広げそう。きちんと顔のウエアからでも別の表情を引き出してくれるから、手持ちアイテムとジョーツの新たなケミストリーを試してみては。