PROFILE: 小関秀一/デサント社長

創業90年を迎えたスポーツメーカーのデサントが、大きな変化の中にある。2019年に伊藤忠商事がTOB(株式公開買い付け)を行い、同社出身の小関秀一社長が就任。以来、自社オリジナルの「デサント(DESCENTE)」で直営戦略を強化し、プレミアム化を推進。同ブランドで中韓市場の背中を追う日本でも、徐々に手応えを深めている。25年1月をもって上場を廃止し、伊藤忠が完全子会社化した。伊藤忠のリソースをこれまで以上に活用し、成長にアクセルをかける。小関社長に展望を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月11&18日号からの抜粋です)
WWD:「デサント」で“プレミアムスポーツ”市場を目指すとコロナ前から発言してきた。そもそも、“プレミアムスポーツ”の定義は。
小関秀一デサント社長(以下、小関):日本社会は経済やさまざまな面で大変になっているが、その中でスポーツは世の中に元気を与えてくれる。大谷翔平選手を筆頭に、世界で活躍する日本人アスリートが増えてスーパースターになっているのに、日本のスポーツブランドは、実用衣料という従来型のビジネスでいいのか。そのやり方に将来性はあるのか。当社はライセンスを含め9ブランドを運営するが、コーポレートブランドの「デサント」は、ライセンスブランドとは違って世界で販売できる。社名を背負ったブランドとして、量を売るのではなく、価格でも商品力でもプレミアムを追求したい。アスリートの活躍を見て喜ぶかの如く、購入した人に「ちょっと高いがいいものを買った」と喜んでもらえて、人に自慢したくなるようなブランドを目指す。そういうあり方が“プレミアムスポーツ”だ。
WWD:「デサント」はまず韓国でヒットした。
小関:気づいたら、韓国では2015年ごろには“プレミアムスポーツ”と言えるようなポジションになっていた。16年に出店を開始した中国も、韓国にならってきた。韓国と中国では既に10年間、“プレミアムスポーツ”でやってきている。では日本はどうかというと、私が社長に就いた19年時点では、「デサント」でさまざまな競技カテゴリーを展開し、卸主体で売っていた。議論を重ね、日本もプレミアムを目指すと決めたのが20年。コロナもあったので本格的に動いたのは21〜22年以降だ。
「中国ですばらしい成功」
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