ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第196回

「ラブブ」は、カルチャーの波にうまく乗っている

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「ラブブ」は、カルチャーの波にうまく乗っている

こちらの通り話題の「ラブブ(LABUBU)」、実は先日のパリコレ出張でゲットしました(笑)。日本ではまだお目にかかる機会は少ないでしょうか?それでも電車に乗っていると、中国からいらした方にカタコトの日本語で話しかけられ、お互いの「ラブブ」を見せ合うなどのコミュニケーションを楽しんでいます。

ミラノやパリ・コレクションでは、「ラブブ」を頻繁に見かけました。以前コラボしたことがあるという「プロナウンス(PRONOUNCE)」のショー会場はもちろんですが、例えば「エルメス(HERMES)」のショー会場では、上の記事にあるクリスティーナ・サンよろしく“ケリー”のバッグに「ラブブ」をチャームのようにあしらったゲストがけっこう多数。そんな光景を目にしていたら、いつの間にかポップアップの店頭に並んでいた「ラブブ」にプレ値であることは重々承知しつつ、100ユーロを支払っていたというワケです(苦笑)。今、若い世代ではチャームの“じゃら付け”が流行っていますが、「ラブブ」はこの文脈にうまく乗り、ハイファッションの世界にも浸透しています。

たまたま通りかかったのは、アジアのアーティストがさまざまなグッズを制作・販売しているポップアップでした。店頭には、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「プラダ(PRADA)」などのロゴをのせた洋服をまとった「ラブブ」もいます。アーティスト本人に聞くと、「もちろん洋服は本物じゃないけれど、ミームの一種ね」と言います。ん〜、都合の良い解釈のような気もしますが、主にインターネットを通じて拡散、模倣、再生産される画像や動画などの情報と、それを利用する文化を指す「ミーム」と言われれば、そんな気もします。実際、メルカリには「ラブブ」はもちろん、「ラブブ」の衣装もたくさん売られています。

実は店頭には本物の「ラブブ」と、偽物の「ラブブ」がありました。本物は100ユーロ、偽物は45ユーロです。怪しい(笑)、そして絶対に偽物を掴みたくない。そう思った私は、Chat GPTに「『ラブブ』の本物と偽物の見分け方を教えて!」と問いかけました。すると、Chat GPTは、「ラブブ」のタグにあるQRコードからアクセスした先のブロックチェーン画面を表示。「この画面から『ラブブ』を登録できたら本物です」と教えてくれました。100ユーロの「ラブブ」にあるQRコードからアクセスすると、Chat GPTが教えてくれた通りの画面が現れ、購入した「ラブブ」を登録する画面に遷移します。どうやら本物の様子。気づいたらレジに並んでいたというワケです。

「ラブブ」、羨ましいでしょ!?と自慢したいのではありません。最近のヒットアイテムは、やはり今の時流をうまく捉えているんだな、と実体験したという話です。少なくとも私の「ラブブ」は、チャームのじゃら付けというトレンド、ミーム、そしてブロックチェーンというカルチャーの下に成り立っています。本来ポップマートで販売している「ラブブ」は、開けるまで何が出るかわからない仕組みのもとで売られていますから、さらには開封動画というカルチャーも加わりますよね。流行るべくして流行ったアイテムなのかな?、なんて思うんです。

あ、すっかりIPの価値が高まった「ラブブ」は、これからさまざまな形で私たちの前に現れることでしょう。日本でも「ユニクロ(UNIQLO)」のTシャツが発売になったら、人気はますます高まりそうです。

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