2025-26年秋冬コレクションサーキットが開幕しました。まずはメンズからのスタートで、イタリア・フィレンツェからミラノ、パリの3都市が続きます。「WWDJAPAN」は、大塚千践「WWDJAPAN」副編集長とパリ在住のライター井上エリ、そして藪野淳・欧州通信員の大阪出身“浪速トリオ”が現地でほぼ丸一日かけて総力取材します。注目ブランドのコレクション情報はもちろん、ショーの裏側やこぼれネタなど、愛のある正直リポートをお届けします。
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10:00 「ブリオーニ」
今シーズンのミラノメンズは、「ディースクエアード(DSQUARED2)」「フェンディ(FENDI)」の常連組に加え、「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」「グッチ(GUCCI)」という目玉ブランドも不参加で、近年では最も寂しいスケジュールです。でも大丈夫。だって、俺たちの「ブリオーニ(BRIONI)」がいるのですから。ミラノメンズが本格スタートする2日目の朝は、「ブリオーニ」のプレゼンテーションを取材するのがお決まりのコースで、前日から楽しみでワクワクするほど待ち切れませんでした。なぜそこまで楽しみにしているのかというと、アイテムの細部にまで宿る意匠や、ラグジュアリーの極みのような素材使い、それらを軽やかに浸透させたスタイル、そしてマネキンです。
毎シーズン、ストーリー性に溢れたマネキンのポーズが、「ブリオーニ」の隠れた見どころでした。ドキドキしながらエントランスをくぐるとPRが「こんにちは」と出迎えてくれます。しかし、あいさつしながら視線はPRの向こう側のマネキンに向けていたことは、ここだけの秘密にしてください。すみません、ついクセでファンタスティックなポージングを探してしまうのです。PRが「今シーズンは“動きに宿るスタイル”がテーマです」と説明してくれた瞬間なんて(ほら、きたきた!)と心の中でガッツポーズ。何がほらなのかは自分でも分かりませんが、期待はさらに高まります。すると、複数ある部屋の向こうで音楽が鳴り響き、新作をまとったダンサーによるパフォーマンスが始まりました。激しくしなやかな動きに合わせて、「ブリオーニ」のコレクションも美しくなびきます。ただ動きやすい服だというアピールではなく、複数いるダンサーの個々の動きに合わせて色気を添える試みなのでしょう。その世界観にどんどん魅了され、マネキンを探す視線の動きも徐々に弱まっていきます。
色はニュートラルカラー中心のワントーンスタイル提案で、グレイッシュなピンクやティールグリーンをアクセントに加えました。素材使いでは、1年前にメンズ用に開発した生地をウィメンズに採用するなど、メンズとウィメンズの世界観はさらに強固に結び付けます。新しさという点ではもう少し見たかった気はしますが、渾身のクラフツマンシップを軽やかに表現するセンスは、もっと評価されるべきブランドだと感じます。ダンサーのパフォーマンスをほぼ一通り見たところで、視線はマネキンを探し始めます。でも、視界に入る彼らは全てベーシックな棒立ち。これは隠し部屋があるのではないかと期待し、マネキンを探しているなんて気持ちは伏せて「もう1部屋あるなんてことはないですよね?」と、いかにもコレクションが見たいような聞き方で質問したものの、今回はダンサーたちによる“動きに宿るスタイル”でした。余韻に浸りながら、次のショー会場に向かいます。
11:00 「プロナウンス」
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