ファッション
連載 エディターズレター:IN FASHION

「カワイイ」に次いで輸出される日本語は「カチカン」かも 「サカイ」を見て思う【エディターズレター:IN FASHION】

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※この記事は2023年03月28日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

 先週、ファッションビジネスメディア「BOF(Business of Fashion)」のポッドキャストを聴いていたら、英語の合間に突然「カチカン(価値観)」という日本語が飛び込んできました。イムラン・アメード「BoF」創設者兼CEOと、ジャーナリストのティム・ブランクスが2023-24年秋冬コレクションを振り返る対談でのこと。ティムが「サカイ」を評する際に「カチカン」という言葉を繰り返し使っていたからです。「不完全なものの美しさは、彼女のカチカンの一部である、そしてそれはとても日本的である」といったニュアンスです。

 「サカイ」の2023-24年秋冬コレクションは、たとえばジャケットの身ごろは横向き、もしくは縦向きにスラッシュされた生地を重ねることで形作られています。ブラウスは透ける素材の身頃にニット素材のボウタイを合わせています。こういった服作りの“常識”から外れたアイデアはともすると単純に「変わっている服」となります。単純に「変わっている服」を作るのはある意味簡単。「サカイ」が高評価を受けているのは「非常識」が「エレガントな服」に着地しているからです。それは「サカイ」の代名詞となった「ハイブリッド」の進化系、バランス感覚の賜物です。

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