
今回は「小田急百貨店 新宿店」を調査。新宿駅西口の再開発に伴い、本館に入っていた一部を新宿西口ハルクに移転して10月に再スタートを切ったばかり。本館で3万平方メートルだった売り場面積を6000平方メートルまで縮小し、化粧品、食品、ラグジュアリーブランドに特化する。(この記事はWWDジャパン2022年10月24日号からの抜粋です)
■今回の担当調査員
加賀美勉(56)
PROFILE:百貨店やコンサルティング会社を経て、現在は商業関連メーカーで販促プロモーションの開発にいそしむ。自称“プロの消費者”として百貨店をウオッチし続ける。革靴とワインを語り始めると止まらない
高瀬浩子(46)
PROFILE:百貨店でインポートブランドの販売、広報を経験後、インテリアパーツの輸入・販売代理店に勤務。出産を経験し、今は実務翻訳家として活動。買い物は、マッサージを超えた究極の癒し!と公言
調査日時:加賀美調査員2022年10月13日(木)18:00~ 曇りのち雨 16℃、高瀬調査員2022年10月10日(月)14:00~ 晴れ 21.4℃
ILUUSTRATION:ERI KOJIMA
【環境・施設】
高瀬:移転オープンするとはつゆ知らず、完全になくなると思っていました(笑)。
加賀美:勘違いしている人は少なくないでしょうね。新しい館は、新宿駅西口のすぐ近く。東口につながる通路もそばにあり、アクセス抜群です。
高瀬:建物は古いものの、内装が新しくて気持ちよかったです。未改装のエリアも、清掃が行き届いて清潔でした。
加賀美:通路幅も十分確保されていてスムーズに回遊できました。ビジュアルプレゼンテーションにスポットライトを当てて効果的に見せるなど、照明も基本に忠実。カウンターの文具や伝票類も整理されていて、百貨店らしい心配りを感じます。
高瀬:一つ残念だったのがトイレ。改装されていないフロアはスペースが狭く、古さも目立ちました。
加賀美:休憩スペースも、もう少し充実させてほしいです。
【MD】
加賀美:地下が化粧品と和洋菓子、1階がラグジュアリーブランド、中2階がゴルフ、2階が婦人雑貨、途中にビックカメラを挟み、7階に宝飾とメガネ、学生服、ギフトサロンという構成。ラグジュアリーブランド以外にアパレルが無く、どうしても物足りなく感じました。ファッションは伊勢丹が、年配向けMDは京王が強く、この面積では勝ち目はないと判断したのでしょうか。
高瀬:洋服は他で買うと割り切れば、意外とこの商品構成で事足りるのかも。化粧品はベーシックなブランドを中心に、「メイクアップソリューション」と名付けた売り場でプチプラから自然派コスメまでをそろえるなど、満足度の高いラインアップでした。
加賀美:食品も和洋中、弁当、惣菜、酒と全方位をカバーし、デパ地下の強さを感じました。他のフロアよりも明らかに客入りがよかったし、食品フロアを増やすのもアリかもしれません。
高瀬:それは話題性もありますね。2階の婦人雑貨は、バッグの「コーチ」「ヒロフ」「イアクッチ」、財布の「サマンサタバサプチチョイス」、婦人靴の「卑弥呼」「銀座かねまつ」など。安心感はありますがコンサバな印象も否めません。ちなみに同フロアは半分がビックカメラになっていて、大量のPOP、大音量のBGMに圧倒されますが、よく見るとビューティ家電の売り場で親和性もあります。小田急と一体感のある見せ方にすれば、もっと回遊性が高まると思います。
【接客・サービス】
高瀬:小田急百貨店と言えば、フレンドリーな接客。これは移転後も変わらず、程よくカジュアルなムードが館全体に漂いました。7階の宝飾のゾーンでハーフエタニティリングを求めると、複数ブランドを選んでズラリと並べてくれました。「ここのブランドはダイヤのクオリティーが高く、着け心地も良いです」と親身なアドバイスも好印象でした。
加賀美:私は「ダンヒル」でベルトコーナーを見ているとアプローチがあり、着用シーンや私服のテイストをヒアリングしながら、数品をセレクトしてくれました。「大柄だと4センチ幅も良いですが、お客さまは3センチがお似合いです」と説得力のある接客でした。
【総合】
加賀美:移転前のような“百貨”はなく、寂しい気持ちを抱きました。「新店舗ができるまで、“小田急百貨店 新宿店”の灯を消さない」という意図だと理解します。
高瀬:ほしいものが決まっていれば、使い勝手は悪くないはず。家電とラグジュアリーがまとめて見られるので、外国人観光客にもおすすめです。
【合計得点】
