ビジネス

大量閉店時代の配置転換に望むこと エディターズレター(2020年8月12日配信分)

※この記事は2020年8月12日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

大量閉店時代の配置転換に望むこと

 リアル店舗の大量閉店が始まる中、スタッフの処遇は今後、大きな問題になることでしょう。多くの企業は配置転換を検討していますが、ぜひ「売り場→売り場」以外の異動も念頭に入れて欲しいと思います。もちろん希望する方には、最前線で働くプロの道を極めてほしいですね。

 最近聞いて「ほぅ」と思ったのは、Zoomバイイング(ブランドにとっては、Zoomセリングですね)にショップスタッフを呼んじゃう、とあるインポートブランドのお話です。このメルマガでは再三再四お話していますが、バイヤーに向けてのZoom接客は、素材感の伝達を筆頭になかなかに難しい。だから、ショップスタッフを呼んじゃうそうなのです。

 ショップスタッフは、エンドユーザーをよく知る人物です。だからZoomバイイングに付き合ってもらえると、「この洋服、私だったらこんな女性に提案します」とか「これなら、体型が気になる方にもオススメしやすいです」とか「私コレ、10着は売れる自信があります!」とか言ってくれそう。その一言一言が、ブランドにとってはバイヤーへの「営業トーク」なるのです。まぁ、なんて説得力のある「営業トーク」なのでしょう。もしかしたら、営業担当より切れ味のある「営業トーク」かもしれません。つまりショップスタッフは、営業にジョブチェンジできるのです。新型コロナの影響で、海外はおろか、国内ブランドでもZoomバイイングが増えていると聞きます。ショップスタッフを営業に起用できるチャンスは今、飛躍的に高まっています。

 そう考えると、最前線を知るショップスタッフの知識は、正直どこでも転用できそうですね。「コレは売れそう、コッチはキツそう」のアドバイスができるからMDの参考にするブランドは多いと聞きますが、「キラーワードはコレです」なんてノウハウを伝授してくれたらプレスにだってなれちゃいそう(笑)。そう考えると、この配置転換は組織全体をブラッシュアップする良きチャンスですし、人をきっかけにイロイロ妄想できるのは楽しいかもしれません。

 外資はもちろんセレクトショップでも、店舗や個人単位のSNS発信を禁止したり、そこには本部が介入したりの事例が多いと聞きます。「何が上がってくるのか不安」とか「トンマナをそろえたい」という気持ちは、分からなくもありません。でも、「そろそろ、任せてみません?」。だいたいエース販売員は、しょうもないミスなんて犯しませんよ。彼ら・彼女たちほどプロ意識が高く、ブランドのことを大事に思うプロフェッショナルはいないでしょうから。だから、そんな人には発信してもらうべきなのです。そこに本社スタッフが介入するのは、あんまり意味のないヒエラルキーの名残りのような気がします。

 正直ショップスタッフが苦手なのは、「自分たちのブランド以外」のことくらいです。ただそれも、自分たちをよく知っているからこそ、すぐに理解できると思います。そんな視点で、配置転換が始まることを願ってやみません。

FROM OUR INDUSTRY:ファッションとビューティ、関連する業界の注目トピックスをお届けする総合・包括的ニュースレターを週3回配信するメールマガジン。「WWD JAPAN.com」が配信する1日平均30本程度の記事から、特にプロが読むべき、最新ニュースや示唆に富むコラムなどをご紹介します。

エディターズレターとは?
「WWDジャパン」と「WWDビューティ」の編集者から、パーソナルなメッセージをあなたのメールボックスにダイレクトにお届けするメールマガジン。ファッションやビューティのみならず、テクノロジーやビジネス、グローバル、ダイバーシティなど、みなさまの興味に合わせて、現在7種類のテーマをお選び頂けます。届いたメールには直接返信をすることもできます。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

辻愛沙子と語り合う業界に必要な新しい教養 見た目に伴う先入観や偏見を考えよう

6月14日号の「WWDJAPAN」は、社会派クリエイティブを追求する辻愛沙子アルカ最高経営責任者(CEO)監修のもと、社会課題にまつわる“新しい教養”を対話しながら学びます。コーヒーを片手に社会問題を語り合う、大人に向けた新しい教育の場「ソーシャルコーヒーハウス」を立ち上げた彼女と、ファッション&ビューティ業界だからこそ大切に考えたい、見た目や容姿にまつわる偏見や先入観について対話します。一般的に…

詳細/購入はこちら