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ミラノとパリの区別、やめたいと思います エディターズレターバックナンバー

※この記事は2020年5月29日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

ミラノとパリの区別、やめたいと思います

 下のリンクの記事でも言及していますが、ファッション業界の友人の「そもそも『オシャレになりたい人』のために存在していたハズなのに、いつの間にか『オシャレな人』しか存在できない業界になってしまった」という言葉を、とっても重く受け止めています。

 確かに。私がこんなカッコだからかもしれませんが(苦笑)、初対面の人、特に業界以外の方とお会いすると、必要以上に謙遜されてしまいます。常に聞くのは「私は、全然オシャレじゃないんで……」という一言。みんながオシャレである必要はないし(そもそも、「オシャレ」ってナンダ?とさえ思う今日この頃です)、「オシャレな人としか付き合わない」なんて、これっぽっちも思っていません(むしろ、ちょっとプレッシャーですw)。不要な謙遜は、上述の通り、業界が「オシャレな人」のためのものになってしまったからかも?と思っています。

 そして、門外漢の方にそう思わせる主因に違いない、巨大なファッション・システムの片棒を担いでしまったと反省するのです。「マストハブのバッグ10選」「知っておくべきトレンド」「今さら聞けない、あのニュース」……。何気なく発してきた言葉の数々は、彼らにはプレッシャーだったのかもしれません。だいぶ克服したつもりですが、誰かとお会いすると発動しそうになる“頭から足の先まで一瞥する視線”は、業界外の皆さんには、もはや恐怖そのものです。改めて自戒するとともに、どうしたらいいの?と考えています。

 答えの1つは、「当たり前の区別さえ疑うこと」と思うようになっています。今、会社では、「デジタル・ファッション・ウイークを、どうやって取材して、コンテンツ化していこう?」というミーティングを開催しています。これまでのようにパリやミラノには赴かず、時差のある日本から、デジタルの世界にアップされる、つまり、ついにエンドユーザーと全く同じタイミング、同じ方法で向き合うコレクションは、どうやって取材してコンテンツにしていくの?という会議です。そこでは、これまでの当たり前の「区別」さえ疑っています。「デジタルだから、パリコレもミラノコレも関係なくない?」「20年春夏の在庫も積み上がっている中、本当にみんな21年春夏を発表するの?21年春夏の提案を絞り込むなら、もう一回、20年春夏を見せるブランドだってありえるんじゃない?」などと考えています。となると、「パリコレリポート」とか「ミラノ詳報」「21年春夏トレンド10選」なんて言葉は形骸化!?結論はもう少し先になりそうですが、ウェブにおいてはミラノやパリの区別をなくそうとしています。

 大胆でしょうか(笑)?でも迷った時にいつも思い出すのは、身近な友人の言葉。「ミラノブランドと、パリブランドって違うの?『ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)』は、どっち?『グッチ(GUCCI)』は、『ルイ・ヴィトン』の仲間でしょ?」です(笑)。

 そうですよねぇ。別にエンドユーザーには、「ルイ・ヴィトン」がパリで、「グッチ」がミラノなんて、どうでも良いですよねぇ。買おうとしている洋服が20-21年秋冬メインなのか、20年プレフォールなのか?だって、ど~でもいい話です。下のリンクで「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレが主張する通り、音楽の名前を付けてもいいかもしれない。「グッチ」シンフォニー・コレクションの次は、「グッチ」ラプソディー・コレクションです!!なんて記事が書けたら、ちょっと愉快です(笑)。

 この「区別」を意識しなくなれば、エンドユーザーの心的負担になっているであろう「ファッション界のルール」とか「今さら聞けない決まり」も消滅するのでは?もう一度、「オシャレになりたい人」が歩み寄ってくれる契機になるのでは?そう思っているのです。

 1年前、メイン・コレクションのランウエイにプレ・コレクションを混ぜたマイケル・コースは、「シーズンなんて気にしているのは、業界だけだ。消費者は、『やだ~、ジャケットはメインなのに、パンツはプレだわ。取り替えなくっちゃ!』なんて思わないだろう?」と教えてくれました。マジこれ(笑)。そろそろ「当たり前の区別」さえ、疑うべきだと思うのです。

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