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「グッチ」のミケーレが「ショーは年に2回」と明言 「プレ・コレクションなんて言葉は、必要?」

 公式インスタグラムで発表した通り、「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを務めるアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が、コレクションの発表を年に2回まで絞り込み、シーズンやデジタル活用について、既成概念には一切とらわれない考えを示した。ミケーレは世界のジャーナリスト約20人が参加したオンライン・カンファレンスで、「地球が、私たちに変革を求めている。もう過去に戻ることは許されない」とスタート。これまで最大で年に5回開催していたファッションショーを減らし、従来通りなら9月末にミラノで発表する2021年春夏コレクションのショーは延期する。彼は「ダイアローグ(対話)」という言葉を繰り返し、ブランドの最高経営責任者のマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)やアトリエのスタッフ、何より顧客や消費者とのコミュニケーションを繰り返すことで、理想の発表方法を模索するという。「WWDジャパン」は、日本のメディアとして唯一参加。コレクションの発表方法にまつわる質疑応答をレポートする(業界や社会の未来予想図などについては、ファッション週刊紙「WWDジャパン」の6月8日号に掲載予定)。

Q.「年に2回」のファッションショーは、ミラノ・ファッション・ウイークでの発表ということなのか?

アレッサンドロ・ミケーレ(以下、ミケーレ):新型コロナウイルスの蔓延によるロックダウンやスローダウンに伴い、9月に2021年春夏コレクションを発表するのは不可能だ。未来に向かう道を示したい。例えるならそれは、「新しい酸素」。この高度なファッション・システムが次に繋がるための力、クリエイティブの力を見せられたら。クリエイティブの力こそ、未来への道しるべだ。プレスやバイヤーに集まっていただくファッションショーは、とっても楽しい。ただ、それを年に5回も開くのは、もはや不可能だろう。私を飲み込んでしまうような、とてつもなく巨大なマクロシステムと距離を置きたいと思っている。私たちは、過去に生まれた言葉に縛られ続けている。既成概念というワナから逃れる必要があるだろう。今を紡ぐため、過去に立ち返るのは大好きだ。でも、それと過去に縛られ続けることは違う。現代に即した、過去とは違うシステムが必要だろう。それを生み出すのは、クリエイティブの力だ。

Q.春に春夏コレクションを、秋に秋冬コレクションを発表というオンシーズン体制に移行する?ゲストをリアルな場所に招いてのファッションショーを開く予定は?

ミケーレ:「クルーズ」「プレフォール」「プレスプリング」「カプセル・コレクション」……。こんな言葉は、まだ必要あるのかな?ファッションショーやコレクションの呼称を変えたいと思っている。クラシック音楽の言葉を拝借するのはどうかな?音楽は神秘的で、時代を切り開く力を持っている。そして、人間にとっての力の源だから。シンフォニー、ラプソディー、マドリガル、ノクターン、オーバーチュア、コンチェルト、そしてメヌエット……。音楽は永遠に美しい。そして国境を簡単に超越するね。

Q.5月には2021年プレ・スプリング・コレクションをサンフランシスコで発表する予定だった。

ミケーレ:7月17日、かつて「クルーズ」と読んでいたコレクションをデジタルで発表する予定だ。今、ストーリーを構想中。7月はエピローグ、終章だ。次の未来の“種”を巻くものにしたい。2月のコレクションでは、素晴らしいファッションショーを生み出すスタッフにフォーカスした。フィナーレまで残っていたのは、モデルじゃなくてスタッフ。普通ならオカシイのかもしれない。でも未来とつながるには、時に逆転の発想が必要だ。あの物語を終わらせ、次を示したいと思う。

 長らく「グッチ」が参加していたミラノ・ファッション・ウイークは、従来6月に開催していたメンズは7月14~17日にデジタルで、さらに9月22~28日にはメンズとウィメンズの合同ウイークという形での開催を模索している。「グッチ」の9月のファッション・ウイークに参加しないという声明は、他のブランドの動向にも影響を与えそうだ。

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