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「ルイ・ヴィトン」がマスク生産のため生産拠点を一部再開 週10万枚の供給を目指す

 「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」はマスクを生産するため、フランス国内にある皮革製品の生産拠点など16カ所のうち12カ所の操業を一部再開した。同社は3月17日から同国内のアトリエなどを休業していたが、フランス政府が新型コロナウイルス対策としてマスクの増産を呼びかけていることに応えたものだ。

 マイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼最高経営責任者(CEO)は、「当社はフランス国内におよそ4500人の従業員を抱えているが、まずその10%近くである400人程度が職場に復帰した。『ルイ・ヴィトン』だけで週に10万枚以上の一般用マスクを生産できるようにする。その20~30%を社内で使用し、残りは高齢者用の施設に寄付する予定だ。当社に期待されている社会的な責任をしっかり果たしたい」と語った。

 当面はマスクの生産を優先するが、皮革製品の製造も徐々に再開するという。事態がやや落ち着きをみせている中国や台湾、韓国などアジア市場でラグジュアリー製品の需要が戻りつつあるためだ。

 バーク会長兼CEOは、「ニーズが回復するにつれて在庫切れとなるアイテムも出てきた。操業停止はすぐにできるが、生産には時間がかかるので様子を見ながら少しずつ再開する。いずれはマスク生産、コレクションの試作品作り、ハンドバッグの製造に従業員を3分の1ずつ割り振ることを考えているが、まずはマスク生産を優先し、十分な数量が供給できるようになったらハンドバッグなどを担当する従業員を復帰させたい」と述べた。

 同氏はまた、「フランスの生産拠点や店舗の従業員は自宅待機となっているが、給与は変わらず支払っているし、一人も解雇していないので、操業を再開すること自体は容易だ。問題はイタリアのサプライヤーがまだ休業中で、メタルパーツやバックルなどの重要な部品が調達できないことだ。店舗もいつ営業を再開できるか分からないので、それも問題だ」と説明した。

 一方で同氏は、新型コロナウイルス対策として外出が制限されていることによってオンラインでの売り上げが増加していることや、デジタルショールームが台頭していることが、今後はデザインにも影響してくるのではないかと予想しているという。「ECは世界中の顧客と直接コミュニケーションできる素晴らしい手段であり、売り上げも伸びている。将来的には、オンライン上で魅力的に見える商品であることも重要になってくるだろう」と話した。

 なお「ルイ・ヴィトン」の親会社であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)は、香水や化粧品の生産ラインを転用してハンドサニタイザー(殺菌効果のあるハンドジェル)を生産し、フランス国内の医療機関に無償提供しているほか、グローバルな流通網を活用して中国から数千万枚のマスクを調達している。ラグジュアリー分野では、ケリング(KERING)やその傘下ブランドである「グッチ(GUCCI)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」なども同様の取り組みを行っている。