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若手はアーティストも起業家も似ている エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

若手はアーティストも起業家も似ている

 先週末は、「ボス(BOSS)」のイベントで上海に赴き、現地で同ブランドの2020年プレ・フォール・コレクションを拝見しました。東京では春夏が終わったばかりですが、業界は早くも次のシーズンに向け歩みを進めています。

 ショー同様に面白かったのが、同ブランドがサポートするアジアの新進アーティストによる展覧会でした。今回は中国、台湾、フィリピン、そしてベトナムという4カ国のアーティストが参加。個々には市内の美術館の1フロアを貸し与えます。ユニークなのは、4者4様ながら、いずれも1つのアートに留まらず、絵画やインスタレーション、映像などを駆使して、メッセージを多面的・多角的に伝えようとしていることでした。

 例えばベトナムのアーティストによる空間は、数十枚の絵画からスタートします。一連のアートはいずれも第二次世界大戦中、国土が日本軍に占領されていた時代の兄弟を描いていますが、序盤は淡い水彩画、植物が無数に垂れ下がったインスタレーションの先にはショートフィルムといった具合です。台湾のアーティストは、写真、カリグラフィー、彫刻、映像、そしてインスタレーション。そこに日本の若手アントレプレナー(起業家)との共通点を感じました。

 私たち年配者(苦笑)は、新しい領域になかなか踏み出すことができません。踏み出すことができたとしても、挑戦するのは大抵“となりの領域”。水彩画家が油彩に挑む程度のモノでしょう。でも今のアーティストは水彩画のかたわら、映像を作ってしまう。そこに、例えばアカウント運用からプライベートブランドの開発、さらにバーチャルインフルエンサーの育成など「なぜ、次はソレを!?」と思わずにいられない若手アントレプレナーとの共通点を感じるのです。

 彼らは、「餅は餅屋」という感覚で、友人にアドバイスを請うことを恐れません。ゆえに、未知の領域に対する恐怖心が希薄で、ボーダーラインを軽やかに跳躍できている感覚です。というか、彼らにはボーダーラインなんて存在していないのかも。「どうして、そんな未知の領域にトライできるの?」と聞いてみたら、「え?コレって未知ですか?どうしてトライできないんですか?」と素朴な顔で返されてしまいそうです。

 余談ですが、4組のアジア人アーティストのうち2組は第二次世界大戦を見つめていました。今、この時代、このトピックスに触れるのは、とても勇気がいることです。その勇気を頼もしく思うと同時に、70余年が経過しても消えない傷跡の深さに責任を感じた次第です。

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