ファッション

SNSで情報取集しながらパリコレ取材 エディターズレターバックナンバー

※この記事は2019年10月1日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

SNSで情報取集しながらパリコレ取材

 先週から2020年春夏パリコレクションの取材に来ています。今回は弊社のソーシャルエディターと一緒に来ているのですが、若い彼女と行動していると自分と情報の取り方の違いに刺激を受けます。ソーシャルエディターの役割は文字通り弊社のSNSの運用ですが、情報をアウトプットするだけではなく、情報取集自体もSNSを通じて随時行い、目には見えない情報の“波”を捕らえています。その動きは、まるでサーファー。世界中の良い波を探して移動するサーファーのごとく、話題が集まっている地点を探し出し、その流れをつかまえます。

 私のようなデジタルネイティブではない世代の記者にとっては、取材とは目の前で起きていることを自分の目で確認し、話を聞き考えること。だから現場に足を運ぶことが重要で、その場にいなければ得られない情報を取ることに精を出しています。が、どうやらそれだけでは最近は不十分です。

 ここ数年、パリコレを取材しながらも、日本でSNSをチェックしている人より情報収集が遅い自分にジレンマを覚えることが多かったです。たとえば「バレンシアガ(BALENCIAGA)」のショーに電話番号が書かれたルックが登場した時がそうでした。私はこれ何?と思いつつ、ショーを見終えて席を立ち、人込みを抜けて車に乗り、次の会場への移動中にSNSを開けるとすでにその番号の意味が話題になっている、といった具合です。ライブ配信でショーを見ていた世界中のファンが、デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)が仕掛けてくるゲームみたいななぞかけを競い合うように解き明かし、インスタグラムやツイッターに書き込んでいるからです。それ以降、「バレンシアガ」のショーを見ていると目の前の空間に目には見えない情報が飛び交っているような感覚を受けます。

 SNSを通じた情報収集は本人の“好み”が反映されますが(それも重要)、弊社のソーシャルエディターは客観的かつ冷静に世の中を観察しており、その視点はまさに記者のそれです。

 言うまでもなく、その場にいることで得られる情報量は大きく、デジタルには代えがたいものがあります。ライブ配信はカメラを通じたものであり、ブランド側の意図が反映されますが、そこに映らない人やモノや空気にも情報があるからです。しかし、実際に目にすることが絶対であるという姿勢ではむしろ受け取り手より遅れる可能性があり、メディアのプロは自覚しないとアカン、と痛烈に思います。個人的には、常時デジタルとつながり情報を受け取り続けるのがキツイ、と思い始めたら記者の仕事は引き際と肝に銘じております。

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