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「ルイ・ヴィトン」の親会社、19年度はついに売上高6兆円を突破 「アマゾンには出店しない」

 LVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の2019年12月通期決算は、売上高が前期比14.6%増の536億7000万ユーロ(約6兆4404億円)、純利益は同12.8%増の71億7100万ユーロ(約8605億円)の増収増益だった。

 部門別の売上高では、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」「ジバンシィ(GIVENCHY)」などのブランドを抱える主要事業のファッション・レザーグッズ部門が同20.4%の222億3700万ユーロ(約2兆6684億円)と引き続き好調だった。ほかの部門も業績を伸ばしており、香水&コスメティクス部門は同12.1%増の68億3500万ユーロ(約8202億円)、ワイン&スピリッツ部門は同8.4%増の55億7600万ユーロ(約6691億円)、ウオッチ&ジュエリー部門は同6.8%増の44億500万ユーロ(約5286億円)だった。

 四半期ベースで見ると、19年9~12月期の売上高は前年同期比11.4%増の152億7200万ユーロ(約1兆8326億円)となっている。同6~8月期が同17.0%増の133億1600万ユーロ(約1兆5979億円)だったことを踏まえると成長率がやや鈍化しているが、同社は日本で10月に施行された消費税増税に伴う駆け込み需要の反動や、米政府が欧州連合に対する報復措置として酒類にも追加関税を発動したことによる一時的なものだとしている。

 ベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)はアナリスト向けの決算説明会で、「19年も素晴らしい業績を上げることができ、大変うれしく思う。香港では反政府デモが長期化するなど世界的な政情不安が続いているものの、各地域で健全な成長率を維持し、売上高が500億ユーロ(約6兆円)の大台を突破した」と語った。ブランドとしては、「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」「ロエベ(LOEWE)」が非常に好調で、「ベルルッティ(BERLUTI)」や「リモワ(RIMOWA)」の業績もよかったと述べた。リアーナ(Rihanna)と共に立ち上げたラグジュアリーブランド「フェンティ(FENTY)」については、「規模としては小さいが、まだスタートしたばかりだ。彼女にはたくさんアイデアがあるので、いろいろと面白いことができるだろう」と話した。

 中国・武漢市で発生した新型コロナウイルスの被害が拡大していることを受け、中国の国内消費の落ち込みや中国人観光客の減少が予想されることから、さまざまな企業の株価が下落している。LVMHも例外ではなく、1月17日には439.05ユーロ(約5万2686円)をつけていたが、1月29日には7.1%安の407.60ユーロ(約4万8912円)まで下げている。アルノー会長兼CEOは、「新型コロナウイルスによる売り上げへの影響を予想することは難しいが、中国にいる当社のチームによれば、流行のピークは数週間後ぐらいではないかとのことだ。今後2カ月から2カ月半程度で事態が収束すれば、そこまで大きな影響はないと考えているが、これが2年も続くとなると別の話だ」と述べた。なお、同社は武漢市で不足している救急医療用品の購入に充てるため、中国赤十字基金会(Chinese Red Cross Foundation)に1600万元(約2億4000万円)を寄付し、医療品をフランスや欧州で手配して現地に届ける支援も行うことを発表している。

 こうした局所的な懸念はありながらも、全体としては楽観視していると同氏。「1月も好調で、年初からよいスタートを切ることができた。数年後に景気が減速することは避けられないが、20年は引き続き良好に推移していくだろう」と展望を話した。

 ジャン・ジャック・ギヨニー(Jean-Jacques Guiony)LVMH最高財務責任者は、「新型コロナウイルスの被害が拡大していることから、武漢市にある傘下ブランドの店舗を一時的に閉鎖した。こうした状況がいつまで続くのかは分からないが、短期的に多少の影響があることは避けられないだろう」と説明した。同氏はまた、反政府デモが続いている影響で売り上げが40%減少した香港の店舗を1つ閉じるのではないかという報道について否定。「店舗の契約に関して、よりよい条件にしなければ閉店も考えると交渉していたことがリークしただけで、閉店するつもりはない。香港は売り上げのおよそ5%を占める重要な市場であり、長期的には業績が回復すると見込んでいる」とした。

 アマゾン(AMAZON)が20年上期にも“ラグジュアリー専用サイト”を立ち上げ、いよいよ本格的にラグジュアリー市場に参入するのではないかと1月に報じられた。これは各ブランドがアマゾンのプラットフォームに出店する形式で運営されるもので、アマゾンはLVMHの傘下ブランドにも出店を打診したが、すげなく断られたということも併せて話題となっている。

 これについてアルノー会長兼CEOは、「そうした大手プラットフォームから何度か打診を受けたが、そのたびに断っている。そもそもECサイトの多くは損失を出しているし、規模が大きくなればなるほど損失も膨らむ。当社でも、傘下の百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)が小規模なECサイト「24セーブル(24 SEVRES)」を手掛けているが、残念なことにやはり利益は出ていない」と述べた。同氏はまた、「アマゾンの利益はユーザーが出品者から購入するマーケットプレイスでの売買によっている。これは成立した取引から一定の手数料を取るという仕組みのため、アマゾンは模造品などを出品している業者であっても厳しく取り締まらない。同社は、そうした業者が犯罪組織やテロリストの資金源となっている可能性があることを考えるべきだ。世界的な成功を収めているECサイトが犯罪組織とつながりを持ち、それでもうけるのは一般的なことだろうか?皆さんがどう思うかは分からないが、私はショッキングなことだと思う。ECプラットフォームから模造品を一掃するため、やらなくてはならないことがたくさんある」と説いた。

 LVMHといえば、ティファニー(TIFFANY & CO.)を162億ドル(約1兆7496億円)超相当で買収したことも19年の大きな話題だった。アルノー会長兼CEOは、ティファニーの今後の成長についてかつて買収したブルガリ(BVLGARI)を参考にしているという。「当社が買収してから、ブルガリの売上高は2倍強に、営業利益は5倍強になった。ティファニーについても同程度の目標を設定しようと考えており、それが達成できれば“よい買い物だった”と言えるだろう。もっとも、ブルガリをここまで成長させるのに10年かかっているので、ティファニーもすぐに結果が出るとは思っていない」と説明した。