ZOZOは4月30日、2030年3月期を最終年度とする中期経営計画を公表した。主力の「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」をAIを軸にアップデートしつつ、新規領域と海外事業を本格的に拡大する。27年3月期の調整後EBITA(利払前・税引前・無形固定資産償却前利益)779億円を30年3月期に900億円に引き上げる。澤田宏太郎社長は、「今後数年間のAIの急速な広がりは、ファッションEC分野ではかつてのスマホ普及以上のインパクトがあり、ファッションEC自体の構造を大きく変えかねない。中期的な目標を掲げ、AIによる変化をZOZOの成長に取り込む」と語った。
EBITA900億円の内訳は、「ゾゾタウン」を軸とした既存事業(MORE FASHION)で800億円、香水やヘアサロン、インテリアなどの新規事業領域(NEAR FASHION)と海外(GLOBAL)がそれぞれ50億円になる。現状は新規事業がほぼゼロ、海外がマイナス(赤字)なので、この4年間でEBITAを100億円上積みする計算になる。
「ゾゾタウン」ではこの数年、独自に開発を進めている「似合う」を軸としたアルゴリズムを、既存の生成AIサービスと組み合わせ、新しい販売手法を模索する。つい数日前にはAIを組み込んだLINEの公式アカウント「ZOZOの似合うコーデAI ラボくん」を開設し、チャットボット的なサービスを開始している。ZOZOが展開するコーディネートアプリ「WEAR」にも一部の機能を搭載済みで、今後は最終的に「ゾゾタウン」にも実装する。
周辺領域で積極的なM&Aも
「NEAR FASHION」と位置づけるファッションの周辺領域での新規事業では、香水やエステ、ヘアサロン、フィットネス、メンズエステなどを想定。積極的なM&Aなども行う。同日には香水の小分けサブスクEC「カラリア」を運営するハイリンク(High Link)を約50億円で買収することを発表していた。澤田社長は「AIの普及でサービスやアプリすら、個人で開発する時代になる。ただ、そうであっても集客やユーザーの開拓は課題になる。ZOZOが抱える1300万人の顧客が強みになる」と分析する。ハイリンクは香水小分けの設備を自社で構えるなどのノウハウを持ち、現在の売り上げは20億〜30億円ほど。1300万人乗顧客基盤を持つZOZOから送客することで事業を拡大させる。
海外事業では、昨年買収した英LYSTがカギになる。27年3月期にかけて、日本で独自開発しているAIやAIと連動したサービスを、LYSTにも搭載するような開発を進める。ZOZOが持つデータと知見を注入することで、汎用ニーズに対応する大型のAIサービスとは異なる、ファッション特化型エージェントとしての強みを磨く考え。