
ファッションEC大手「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」が、2004年のサービス開始から直近の25年まで21年間に蓄積した9億点超の購買データを分析した「ファッション通販白書 by ZOZOTOWN」を公開した。同社が長期間のデータを体系的に発表するのは初めて。気候変動や働き方改革、コロナ禍など社会変化とファッション消費の相関を数字で裏付けている。
気候変動で“夏のファッション”は崩壊
気象庁が示す平均気温上昇に合わせるように、Tシャツの販売ピークは、2000年代前半に「5〜7月」だったのが、現在は「4〜8月」に拡大した。「シーズンレス化」が顕著に現れた形だ。一方アウターは、ピークが「10〜1月」→「11〜1月」へ短縮。冬の到来が後ろ倒しになっている現実を購買データが証明した。
物価高でもTシャツは“3000円未満時代”へ
ほぼ全ての生活必需品が値上がりする中で、Tシャツだけは「値下がりしたカテゴリー」となっている。00年代後半に「5000円未満」が主流だった価格帯は、現在「3000円未満」へシフト。背景にはブランド数の増加、多様なユーザー層の流入など、「ゾゾタウン」自体の変化がありそうだ。
バッグと靴で「手ぶら&快適」の波
バッグカテゴリでも象徴的な変化が。10年代以降、トートバッグは約15ポイント減少した一方、ショルダーバッグは約20ポイントも増加した。スマホ時代の行動変化を体現するように、“両手が空く”スタイルが主流に。一方、靴もスニーカー&サンダルはこの20年間で約30ポイントも増加。コロナ禍以降は通勤のカジュアル化が急進し、リカバリーサンダルの台頭も後押しした。
景気がよくなると黒が売れる!?
政府の景気動向指数とZOZOの購買データを照合したところ「景気が上向くと黒アイテムが増える」という“新常識”が判明。
* 景気低迷期:黒の構成比 31.6% → 17.6%
* 景気回復期:26.8%に再び上昇
* コロナ後:黒の割合が再上昇
黒は「安定」「落ち着き」の象徴でもあるが、景気が改善するとむしろ黒が戻ってくるという逆転の相関は、これまでの常識を覆した。
47都道府県の“ファッション県民性”が可視化
都道府県別の購買傾向には、“クセ強データ”が並んだ。
北海道:お家ファッション先進県
宮城:コート文化が極まる都市
東京:サステナブル志向が突出、古着活用も高水準
富山:まゆげに誠実さが宿る?
大阪:サンバイザー愛が“不滅”
徳島:パーティ&コスプレ需要が高い?
沖縄:赤・金・シルバーなど陽気カラーが人気
「県民性×ファッション」には、人によっていろいろ思うところもありそうだ。
まとめ:9億点のデータだから描けた「ファッションの20年史」
ZOZOは今回の白書を「時代の気分を映す鏡」として位置付け、特設サイトも公開している。公開記念として、 「20万円分のZOZOポイントが当たるクイズ企画」も実施し、20周年を祝う大型プロジェクトになっている。