ファッション
連載 ヒキタミワの水玉上海 第26回

中国発アニメの祭典「ビリビリワールド」、世界30カ国から40万人が集結

1993年から上海在住のライターでメイクアップアーティストでもあるヒキタミワさんの連載「水玉上海」は、ファッションやビューティの最新トレンドや人気のグルメ&ライフスタイル情報をベテランの業界人目線でお届けします。今回は中国最大のアニメの祭典「ビリビリワールド」について。今回から本格的に海外にも門戸を解放。3日間で40万人を集める同イベントをリポートします。

7月10日から12日までの3日間、中国最大の動画配信プラットフォーム「ビリビリ(bilibili、B站)」は総合アニメ・コミック・ゲーム・ノベル(ACGN)イベント「ビリビリワールド(BilibiliWorld 2026、以下BW2026)」を、上海・国家会展中心で開催した。2017年にスタートしたBWは、中国国内のアニメ・ゲームイベントから発展し、現在ではアジア最大級のアニメ・コミック・ゲーム・ノベル(ACGN)総合イベントとなっている。

今年は、昨年と同規模となる約24万㎡の展示面積で、国家会展中心の8つの展示ホールを使用。約700社が出展し、国内外から1000人を超えるクリエイターが参加した。今年の大きな特徴は、BW史上初めて海外向けにチケット販売を実施したことだ。販売対象は世界190以上の国・地域に拡大され、海外からの来場者は過去最多を記録、会期中には世界30以上の国・地域から延べ40万人が来場した。会場内はゲーム体験、痛車展示、人気声優との交流、人気IP展示など9つのテーマエリアが設けられ、中国国内の大型イベントから、世界のアニメ・ゲームファンが集う国際的なイベントへと発展を続けている。また、主催者は100人のスタッフを新たに配置し、通路幅を約30%拡張するなど会場運営も改善。案内や貸出サービスも強化され、来場者からは「今年は快適だった」との声も聞かれた。

「Sony Expo」には
「鬼滅」「まどマギ」「のこのこ」らが降臨

企業ブースでは、人気IPと最新技術を組み合わせた体験型展示が多く展開された。日本企業では、ソニーが「Sony Expo」として3年連続で出展。アニメ、キャラクター、映画、ゲーム、音楽、エレクトロニクスなどグループ各社が参加し、コンテンツとテクノロジーを融合した展示を披露し、クリエイティブ・エンターテイメント・カンパニーとしてのソニーブランドをアピールし、ファンが作品の世界観に没入できる仕掛け(=テック for エンタメ)で、よりリッチな体験に。クリエーターへは作品の世界観を没入化する仕掛けで、スマホやTVでは体験できない作品の新しい楽しみ方を提供した。実際に体験してみると、それぞれ異なるアプローチで作品の世界観を楽しめる工夫が随所に見られた。

『鬼滅の刃』では、「柱稽古編」をテーマにした「全集中・修行体験」を実施。モーションキャプチャ技術を活用した修行ミッションに挑戦でき、技術開発担当者がその場で動きを説明するなど、来場者が作品世界を体験できる展示となっていた。また、『劇場版 鬼滅の刃 無限城編』の世界観を再現した展示も展開した。

「のこのこ うちのコ」(クリエイターのいじまさおりさん)では、撮った全身写真をAI技術でキャラクター化し、noko nokoと一緒にデジタルポスターへ変換。

『魔法少女まどか☆マギカ』では、15周年を記念したAR体験や没入型映像展示を展開。ARグラスを装着すると壁面のイラストが立体的に浮かび上がり、星や水玉模様が空間に広がる。さらに、手を差し出すとキュゥべえが手のひらに現れる演出もあり、現実と作品世界が重なるような感覚を楽しめた。

『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』では、撮影した写真を使い、自分が新聞紙面に登場したようなオリジナル新聞をその場で印刷し、持ち帰ることができる体験も用意されていた。(私も全て体験してご満悦!)

急速にレベルアップする
コスプレとその周辺領域

AIや映像技術など最先端のコンテンツが並ぶ一方で、会場で印象に残ったのは、「卓遊(ボードゲーム・カードゲーム)」エリアにも広いスペースが設けられていたことだ。テーブルゲームを楽しむ来場者も多く、デジタルとアナログの文化が共存していることもBWの魅力の1つだと感じた。

そして、コスプレイヤーたちのメイクの完成度が去年より随分と高くなっているのに驚いたが、それには秘密があった。なんとメイク専門サービスが行われており、会場付近のホテルで朝3時(早い人は前日夜)からプロにメイクを施してもらっているというのだ。女装男子が美しいのもそのサービスを受けているからか? それにつえ加え、会場には1枚20元、などの写真撮影やイベント中に同行して撮影を行うカメラマンサービスも提供され、コスプレを楽しむための関連サービスの広がりも見られた。グッズ販売エリアも広く設けられ、人気アニメやゲームのキャラクターグッズを購入する来場者でにぎわっていた。企業ブースが配布する大型ビニールバッグを手に会場を巡る姿も、BWならではの光景だった。

BWの影響は上海の観光や消費にも広がった。開催期間中、海外から上海への航空券予約は前年同期比35%増加し、国家会展中心から半径5km圏内のホテル予約は前年同期比600%増を記録。中古取引プラットフォームではBW関連商品の取引額が前年比340%増加した。海外向けチケット販売を開始した2026年、「ビリビリワールド」は中国国内の大型イベントから、世界のアニメ・ゲームファンが交流する国際的なACGNイベントへと成長を続けている。

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