ファッションショーに乱入した動物愛護団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)の活動家を床に押さえつけて脚で動きを封じたり手で口と鼻を覆ったりした様子が拡散した、アメリカファッション協議会のスティーブン・コルブ(Steven Kolb)社長兼最高経営責任者(CEO)が同職を辞した。コルブ社長兼CEOは、すでに休職していた。「CFDAを20年間率いてきたが、CEO兼社長の職を退くという難しい決断を下した。新たな章を始めるべき適切なタイミングだと信じている」との声明を発表した。
コルブ社長兼CEOは9月13日、「COS(コス)」のファッションショーで、羊毛使用を抗議したPETAの抗議者2人を物理的に制止。そのうちの1人は床に押さえつけ、脚を絡めて動きを封じ、抗議者が「羊毛のために羊が血を流し、殴打されている」と叫ぶ口と鼻を覆った。またショールックから羊毛を取り除くよう叫んでいた別の抗議者も押しやり、その人物が退去させられるまで口を塞いだ。コルブ社長兼CEOは自身の対応が「不適切」であり、警備員に事態の収拾を任せるべきだったと認めたが、一連の動画はSNSを通じて拡散。翌日にはインスタグラムのストーリーズで「私の行動は間違っており、深く反省している。自分の行動に対して全責任を負う。彼女たち、そしてこの出来事を目撃したすべての方々に謝罪する。他者を物理的に制止する正当な理由など存在しない」と謝罪していた。
対するPETAのトレイシー・レイマン(Tracy Reiman)会長は14日、コルブ社長兼CEOに書簡を送り、和解の姿勢を示すとともに会談を提案したという。
CFDAはコルブ社長兼CEOの職務復帰について議論したが、18日には「スティーブン・コルブは、CFDAでの20年以上にわたる在任期間(うち15年間はCEOとして)を通じて、献身的なリーダーであり、アメリカのファッション界を力強く牽引する存在だった。私たちは彼の退任の決断を尊重し、CFDAおよび業界に対する長年のリーダーシップと貢献に感謝の意を表する」との声明を発表した。後継者については言及していない。
これを受けてPETAは、「コルブ社長兼CEOが職を失うことになった不幸な出来事は、もし(『コス』を擁する)H&Mヘネス・アンド・マウリッツ(H&M HENNES & MAURITZ)が、PETAが幾度となく求めてきた動物への極端な暴力を防ぐ行動をとっていれば、決して起こらなかった。私たちは今後もコルブ社長兼CEOと会談を行う予定だが、業界全体とも同様の場を持ち、単なる『見た目』のためだけの動物への残酷な行為を食い止めたい」などとの声明を出している。