中国発のファッションブランド「アイシクル(ICICLE)」は、2023年から2年間「グッチ(GUCCI)」のクリエイティブ・ディレクターを務めていたサバト・デ・サルノ(Sabato De Sarno)をクリエイティブ・ディレクターに起用した。デ・サルノは、ウィメンズとメンズのレディ・トゥ・ウエア、アクセサリー、アイウエアを統括。27-28年秋冬シーズンに初コレクションを発表する予定だ。同ブランドの親会社であるICCFグループは、今年4月にケリング(KERING)から少数株出資を受けており、デ・サルノの起用によりグローバルビジネスのさらなる拡大を目指す。
1983年、イタリア・ナポリ近郊生まれのデ・サルノは、2003年に「プラダ(PRADA)」でキャリアをスタート。「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」を経て、09年に「ヴァレンティノ(VALENTINO)」に加入し、最終的にメンズとウィメンズの両コレクションを統括するファッション・ディレクターを務めた。そして23年1月、アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)の後任として、「グッチ」のクリエイティブ・ディレクターに就任。よりミニマルなコレクションにシフトし、その美学を貫いたが、25年2月に退任した。
「アイシクル」は1997年、イエ・ショウゼン(Ye Shouzeng)とショーナ・タオ(Shawna Tao)夫妻が上海で設立。現在、中国国内で200店舗以上を擁する。天然繊維をそのままの色で用いたり、有機顔料で染色したりするなど、“ナチュラル・ウェイ”の考え方に根差したミニマルなデザインが特徴だ。2025年にパリ・ファッション・ウイークの公式スケジュールに加わり、卸売りにも本格参入。今年4月にはケリングと戦略的パートナーシップを締結し、出資を受けた。現在はパリに2店舗を構えるほか、百貨店ル・ボン・マルシェ(LE BON MARCHE)にもショップ・イン・ショップを展開。ロンドンやミラノへの出店も検討するなど、グローバル展開を加速している。
なお、19年から「アイシクル」でウィメンズウエアのアーティスティック・ディレクターを務めてきたベネディクト・ラルー(Benedicte Laloux)は、今後も在籍し、デ・サルノの下でウィメンズのランウエイコレクションのデザイン・ディレクターを務める。一方、25年10月からメンズのアトリエでクリエイティブ・ディレクターを務めているマーク・ファン・ベーク(Mark van Beek)が今後もブランドに残るかは明らかになっていない。また、親会社のICCFグループは、6月にカイ・ラファエル・ネセルラート(Kai Raffael Nesselrath)新デザイン・ディレクターが就任した「カルヴェン(CARVEN)」も傘下に持つ。
イエ共同創業者兼最高経営責任者(CEO)は、「1997年の創業以来、私たちの目標は、長く愛されるファッションを通して、人間と自然を再びつなぐことだった」とコメント。「このビジョンの実現には、世界中のクリエイティブな才能と、『アイシクル』が中国で培ってきた深い文化的ルーツや産業面の強みを融合させる必要がある。サバトの加入は、その方向へ進む上で重要な一歩だ」と述べた。
デ・サルノも同ブランドの哲学を探求することへの意欲を示し、「私はこれまでずっと、最終的に完成したプロダクトだけではなく、素材がどこから来たのか、それがどのような職人技によって形作られるのかといった、デザインを取り巻くあらゆる要素に魅了されてきた。『アイシクル』の理念と、私自身のクリエイティブに対する考え方には深い共通点がある」と説明。「人間と自然の調和というブランドが約30年にわたり追求してきた考えは、今ほど重要な時代はないと感じている」と語った。