ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第233回

ファッションを体系的ではなく、直感的&反射的に捉える若い世代

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ファッションを体系的ではなく、直感的&反射的に捉える若い世代

本日発売の「WWDJAPAN」は、yutori特集。片石貴展社長はもちろん、彼の右腕の皆さんにもご登場いただき、(同社のYouTubeチャンネルではありませんが)若い世代の“ゆとらない日々”が築いたビジネスに迫っています。ぜひご覧ください。

私は片石さんへのインタビューを担当しましたが、その中でヒザを打つ言葉がありました。「上の世代は、ファッションとかカルチャーを言語的に捉えている感覚がある。『1970年代はこういう時代で』や『こういうカルチャーがあって』『その派生でこういう音楽が生まれ』『こんなファッションが流行した』みたいなに軸や文脈をちゃんと捉えながら、体系的に理解していると思う。逆にそれを理解していないと、『フェイク』とまでは言われないけれど『なんか“にわか”だよね』みたいな圧力を感じる。一方、若い子は感覚的で、少なくとも音楽とは紐づいていない。洋服と音楽はそれぞれ独立したもので、もっと直感的かつ反射的に昔とそのリバイバルを捉えている」という一説です。

これは、若干悲しい気持ちもありますが、正直真実だろうと思います。特にそれを感じるのは、ビンテージジーンズの世界です。夢中になっている人たちの多くは、現在48歳の私と同年代な気がします。もちろん若い世代がいないとは言いませんが、やはり熱量が高いのは、この世代。理由は、ものすご〜〜〜〜く体系だった知識が大事だから。いや、大事というか、それがわかるともっと楽しいからではないでしょうか?そう考えると、私たち世代と若い世代は、そもそも古着に対するスタンスが全然違う気がしますね。私たち世代はオリジナルを探そうとしている気がしますが、一方で若い世代はもちろん偽物は買いたくないでしょうが、「あの時代の、これ」までこだわっていない気がします。双方がなんとなく体系だった文脈を意識しているのは、「AKIRA」的なマンガTではないか?というのが私の自論です。

そもそも「WWDJAPAN」の得意技、というか私の興味・関心事の1つには、さまざまなブランドを渡り歩くデザイナーと、彼らを戦略的に起用するラグジュアリーやデザイナーズブランドという世界がありますが、こうしたビジネス戦略と人事も「体系的」な話になってしまうでしょうか?前任のデムナ(Demna)は「バレンシアガ(BALENCIAGA)」をどう捉え、比して後任のピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)はデムナ期も含めて今の「バレンシアガ」をこう捉えているから、こんなコレクションが生まれている的な話、私は永遠に語れるんですけれどね(笑。そもそも「〜〜期」という言葉を使う人たちさえ、Z世代よりも少し上の世代だったりしますか?)。

とはいえ、彼らがそういうことに全く興味がないか?と聞かれたら、答えは「NO」な気がします。最初は「直感的かつ反射的」かもしれませんが、興味を持つとリサーチして、彼らなりに体系を築いたり、少なくとも面白がってくれるのは変わりません。そこに(残念ながらそのコンテンツ自体、直感的かつ反射的に生まれているものが少なからず存在している印象ですが)YouTubeやTikTokなどのコンテンツがあるのでしょう。仕事柄、時々お客さまの前で、彼らが大好きなブランドやデザイナーについて話をさせていただく機会がありますが、その際は、とても熱心に話を聞いてくれるし、質問してくれたり、そこからファッション談義が盛り上がったりの機会は少なくありません。

私たちのようなメディアの役割は、そこにあるのでしょうね。従前からメディアの役割は、「知らないことを知ってもらう」と「ちょっと知っていることにもっと詳しくなってもらう」だと思ってきました。今日のお話は、後者。そんな視点でコンテンツを考えていくと、若い世代に少し近づくことができるのかな?もっと言えば、世代を超えた交流が生まれたりするのかな?と思うのです。

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