「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月25日号からの抜粋です)
この秋、ついに「ルイ・ヴィトン」の化粧品がデビューを果たす。実はこれを機に、コスメ市場に一つの異変が起こるかもしれない。デパコス、あるいはプレステージブランドとしてくくられてきたジャンルが、二極化するのかもしれないと思うのだ。
ズバリ言ってしまうならば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」と「エルメス(HERMES)」の2ブランドが、ある種の超然たるコレクションという、全く新しいカテゴリーを作り、その他のプレステージブランドとは一線を画すことになるのではないかと。
言うまでもなく、プレステージブランドはこれまで長い間、その他のコスメとは完全に線引きされ、別格の領域を作ってきた。百貨店の1階フロアで売っているかどうか、それが犯し難いカテゴリーを作ってきたのだ。
逆に、そのさらに上のブランドを作ろうとする動きは、過去にいくつかあったものの、こればかりはそう簡単なことではなかった。そうこうするうちに、「エルメス」のコスメが生まれる。その時ハッキリと感じたのは、これまでのプレステージとは違った気配を放っていること。上か下かではない。高い安いではない。何かジャンルが違うのだ。映画女優と舞台女優の違いのような。ただそれも、「エルメス」だからね、と誰もが思い、単純に別格扱いをしてきたに他ならない。
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