「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年11月24日号からの抜粋です)
スキンケアには、ざっくりした年齢的なターゲットがある。悩みに答えなければならないのだから当然のこと。ただその年齢層を表に出さない化粧品の方がずっと多いのは、思惑通りの年齢層に使ってもらえない場合もあるし、逆にあまり年齢を限定してしまって、みすみすビジネスを小さくすることはないという考え方でもある。
だからもともと数字はあまり表には出てこないけれど、「40代からの〜」というキャッチフレーズがつけられた場合は、明快に大人肌を狙ったものという暗黙の了解がある。
しかし、50代からの〜、というフレーズはそうそう目にすることがない。それこそ資生堂の「プリオール(PRIOR)」やロート製薬の「50の恵」以外は、50代にもおすすめ、というふわっとしたアプローチ。そこには、化粧品にそんなに年を取らせてはいけないというブレーキが見て取れる。従って、60代からの〜というメッセージなど、口が裂けても言えないというスタンス。そう、コスメの世界において60代以降は、もともと存在しないかのように、置き去りにされてきた。1940年代まで、日本人の平均寿命が60歳そこそこだったのだからそれも無理からぬ話。でもそのまま今に至っているのはやはり残念なこと。いまや人口の50%以上が50代を超えているのだ。ましてや人生100年時代と言っているのに、60代が今までのように無視され続けるのはどうなのか。
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