「WWDJAPAN」には美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へのオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は「WWDJAPAN」2025年10月27日号からの抜粋です)
コスメやファッションとは全く関係のない話だが、日本では毎回異様に話題になるショパンコンクールの第一次予選を突破した40人のうち、14人までが中国人であった。結局、1〜3位は中国系が独占することになったが、ともかく音楽界での中国人の台頭はすさまじい。かつては日本人が目立ちすぎといわれた時代もあったし、その後には韓国旋風も来たけれど、中国系の候補者がこれだけの独占状態を見せたのは今回が初めて。ちなみに、このショパンコンクールで、日本人はこれまで2位が最高位だが、韓国人は既に1位を取っている。何となくだがこの傾向、ちょっと化粧品の世界に似ている。音楽界において日本はアジアの星だったのに、いつの間にか韓国にも中国にも抜かされている。これと同じ状況が、化粧品界にも起きつつあるとしたら?
近年、Kビューティは世界的なトレンドにもなったほど人気。そして最近はCビューティが話題だ。メイクパレットではパッケージがまるでメトロポリタン美術館とのコラボのようにすごいクオリティーのもの(というより完全に模倣?)を信じられない安価で作っていたりする。昨今、中国人観光客による日本の化粧品の爆買いがすっかり鳴りを潜めてしまったのも、似たような化粧品が中国で当たり前のように作られてしまっているからだともいわれる。品質も上手にまねられていて、いよいよ日本も高品質だけに頼ってはいられなくなってきている気がするのだ。
もちろん研究や技術力の分野で、日本は今も世界のリーダー。いわゆる化粧品技術開発のオリンピック、IFSCC (国際化粧品技術者会連盟)では毎回資生堂が最優秀賞を取るほど、日本はダントツ世界一。圧倒的な差をつけている。ただ製品の面白さ大胆さとなるとどうなのか?
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