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連載 小島健輔リポート

古着商売に学ぶ「絞る勇気」と「捨てる勇気」【小島健輔リポート】

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ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、日々のニュースの裏側を解説する。今回のテーマは古着ビジネスについて。新品を扱う一次流通と古着を扱う二次流通は当然ながら全く異なるビジネスモデルではあるが、商売の勘所においては一次流通が二次流通に学べるポイントが多い。現状を整理しつつ、詳しく分析してみた。

古着やオフプライスの二次流通ビジネスを垣間見ると、リアルな「ブランド価値」を痛感させられたり、極端に絞ったり捨てたりといった「商いの勘所」を学ぶことが少なくない。プロパー(一次流通)のビジネスにも通ずる「価値の見極め」と「商いの勘所」を探ってみよう。

新品より古着の方がインフレしている

財務省の貿易統計によれば、24年の古着輸入量は9739トンと前年から2.1%増加し、コロナ前19年を47.2%も上回ったが、ピークだった23年の10463トンに対しては93.1%と及ばなかった。輸入金額は128億5700万円と前年から6.7%増加し、kg単価は1320円と同4.6%上昇した。25年1〜5月は輸入量が前年同期から7.6%減少しているが、輸入金額は逆に4.1%増加しており、kg単価は為替が前年より2.7%円高に振れたにもかかわらず1475.5円と12.7%も上昇している。19年と比較すれば、24年のkg単価は62.0%、25年1〜5月のkg単価は78.1%も上昇しているではないか。

ちなみに日本からの古着輸出は24年で21万3300トンと古着輸入の21.9倍に及ぶが、実質的な廃棄処分やウエス材料で、kg単価は73.7円と輸入単価に比べれば極端に低い。kg40〜50円で推移していた過去20年間から見れば上昇しているが、円安によるところが大きい。

一方で、24年の新品輸入数量(付属品を除く)は33億5290万点と前年から0.5%、19年からは11.0%減少したが、輸入単価は920.3円と前年から4.4%、19年からは26.9%上昇した。25年1〜5月も前年から数量は7.9%、金額は7.8%上昇したが、輸入単価は827.4円と前年同期から横ばいだった。

新品衣料の輸入単価は19年から24年で26.9%上昇しても、25年1〜5月は前年から全く上昇していないのに、古着の輸入単価は19年から24年で62.0%も上昇し、25年1〜5月も前年から12.7%も上昇と新品との格差が大きい。いったいこれは何を意味するのだろうか。

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