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オンワードが佐賀の直営新工場を公開 海外向け日本製商品の生産体制を強化

 オンワードホールディングス(HD)は31日、9月から稼働を開始した佐賀県武雄市の新工場「カシヤマ サガ」を報道陣向けに公開した。同社は従来から婦人服の生産を委託していた縫製会社ゼネラルクロージング(佐賀市)を18年3月に子会社化し、「カシヤマ サガ」に屋号を変更。旧工場に隣接する形で新工場を建てた。2工場を合わせた敷地面積は約2万平方メートル。新工場の延床面積は約4200平方メートルで、139人の従業員を擁し、生産能力は年間10万着。建設・設備費用として約10億円を投じた。オンワードHDは中国の大連に自社工場を保有し、カシヤマ サガは国内唯一の自社工場となる。

 新工場は武雄温泉駅から車で南に約10分の田園地帯に位置し、貿易港にほど近い立地も特徴。同日は、9月に豪雨災害のため延期していた開業式を実施した。登壇したオンワードHDの保元道宣社長は「従来、コスト面の都合などから業界全体で生産の海外シフトが進み、国内のアパレル産業が空洞化した。だが『メイド・イン・ジャパン』の価値を改めて見直し、世界に発信していくための第一歩になる」と語った。

 新工場の特徴は、商品の製造プロセスにおいて、熟練工による高い技術力と最新のデジタルテクノロジーを融合させた点。縫製は従来どおり熟練工が手作業で担い、デジタルで裁断などの周辺作業を無人化することで、生産効率を向上させた。生産ラインには、島精機の最新のCAM(コンピューター支援製造)対応裁断機2台を、自社工場では初めて導入した。東京本社から送られたCAD(コンピューター支援デザイン)データを元に、ロール生地の延反、パターンの裁断まで自動で行え、1日に2000着分のパターン裁断が可能だ。「従来は複数人で行っていた、生地にパターンを引き、部品ごとに切り分けるまでの作業が、人の手を一切かけず、しかも迅速に行えるようになった」(今村秀一オンワード樫山常務執行役員生産本部長)という。

 縫製ラインは20〜30人体制で作業する。「単能工による分業が中心のアジア圏の工場では100人ほどの体制が必要だが、当工場は熟練の作業員が複数の工程を担当するため、少ない人員で済み、小ロット生産にも対応できる」。ミシンは、JUKIの最新デジタルミシン“DDL9000”シリーズを20台導入し、データの連携により、1日の生産目標数量に対するラインごとの進捗が、タブレットで一目で分かるようになっている。

 国内新工場の稼働は、百貨店アパレルにおける国内中間層の需要が縮小する中、中国や米国といった日本製商品に支持の厚い国々への、海外向け商品の生産を強化する狙いがある。新工場は「23区」「ベイジ,(BEIGE,)」といった基幹ブランドのジャケット、コートなどの重衣料の生産からスタートし、今後は個人向けのカスタムメード商品や「カシヤマ・ザ・スマートテーラー(KASHIYAMA THE SMART TAILOR)」のハイグレード品番などの小ロット生産にも対応していくという。