ファッション

2020年春夏NYコレハイライトVol.2 「ラルフ」や「ロンシャン」etc. 序盤戦のベスト6を紹介

 2020年春夏ニューヨーク・コレクションの序盤戦から、6つのベストブランドをピックアップする。

ラルフ ローレン コレクション(RALPH LAUREN COLLECTION)

DESIGNER/ラルフ・ローレン

 金融街の会場に入ると、そこは大人の社交場だった。ジャズの生演奏をBGMに発表した2019-20年秋冬コレクションは、そんな社交場に集う男女のスタイル。マニッシュなパンツスーツ、シルクサテンのイブニングドレス、そして、イブニングシャツにチュールのスカート。総スパンコールのジャケット、原色のビビッドカラー、そして大胆なカットオフ。ドレスコードを遵守するというよりは、ドレスコードを自信満々に楽しむイメージで、フォーマルなイブニングなのにエロスさえ感じるほどセクシーだ。

 フィナーレには、新世代の歌姫ジャネール・モネイ(Janelle Monae)が登場。歌い続けるとジャケットを脱ぎ捨て、セクシーなイヴニングシャツにチュールを重ねたボリュームスカート姿に変身。客席さえ縦横無尽に駆け巡り、大人の社交場とそこで生まれるコミュニケーションを若い世代に継承する重要性を訴える。

トリー バーチ(TORY BURCH)

DESIGNER/トリー・バーチ

 いわゆるダイアナ妃、ダイアナ・スペンサー(Diana Spencer)がインスピレーション源。皇室のマドンナでありながら人間性に富み、愛らしい笑顔を忘れなかった彼女の魅力をノスタルジックに描いた。

 イングリッシュガーデンに咲き誇る花々をのせたコレクションは、大きなリボンのブラウス、ふんわりとしたテーラードジャケットとフレアパンツ、袖にプリーツを刻むことでクラフツマンシップをアピールするドレスなどがキーアイテム。白をベースにラベンダーやレモンイエローを差すが、随所にレッドとブルー、そしてビビッドイエローを差し込み、大胆さも忘れない。バッグは、かっちりしたトップハンドル。一方で、そんなレザーバッグをPVCで覆ったり、大きなリボンをあしらったり、洋服同様の遊び心も健在だ。

ロンシャン(LONGCHAMP)

DESIGNER/ソフィー・ドゥラフォンテーヌ(Sophie Delafontaine)

 ニューヨーク・ファッション・ウイークでの発表が3度目となった今季、ソフィー・ドゥラフォンテーヌ=クリエイティブ・ディレクターは米女性アーティストでフェミニストとしても知られるジュディー・シカゴの作品から着想を得た。ジュディーの作風の一つでもあるグラデーションや鮮やかな色使いは、ピンクのグラデーションを作ったドレスやソフトなオレンジやコーラルピンクなどのトップスやスカートに反映された。ショートパンツは超ミニ丈、スカートも膝上のミニ丈で健康的な肌見せが印象的だったが、クリーンなシルエットとレザーやシルクなどの上質な素材で品のあるスタイルに仕上げた。ドローストリングのウィンドブレーカーはウエストを絞り、肩にボリュームを持たせた。スニーカーはロングのレザーブーツを模したデザイン。さらに、さりげないフリルのディテールなどをあしらい、全体的にフェミニンなムードは健在。素材使いといい、シルエットといい、ニューヨークのブランドにはないパリジェンヌなフェミニンらしさが際立った。

ラグ & ボーン(RAG & BONE)

DESIGNER/マーカス・ウェインライト(Markus Wainwright)

 久しぶりにランウエイ形式で発表した「ラグ & ボーン」は、「コントラストと視点」がテーマ。バンドの演奏とコーラス、ダンサーが踊る中をモデルが歩き、同時にロボットがショーの様子を実写フィードと点群キャプチャ(コンピュータービジョン)を使用してキャプチャー。ロボットと人間という対照的なものの視点を同時に捉え、そのコントラストを捉えた演出が印象的だった。

 服はブランドが得意とするイギリス人が見たアメリカンクラシック(デザイナーのマーカスはイギリス出身)なスタイルが多出し、イギリスとアメリカの視点をミックス。英国スタイルのテーラリングをしっかり残しつつも、テーラードジャケットにトラックパンツやバーシティーニット、トレンチコートにスニーカーを合わせた。定番のアイテムを、丈や質感を混ぜながらレイヤリングしたコーディネートが目立った。

ティビ(TIBI)

DESIGNER/エイミー・スミロヴィック(Amy Smilovic)

 バックステージでデザイナーのエイミーがさらっと、「リスキーなプラクティカリティー(実用性)」がテーマと説明。大胆で一見リスキーなデザインを、実用的に、そしてエフォートレスに着られるような、絶妙なバランスに仕上げた。やり過ぎないけど印象に残るような袖のボリューム感、スカートのスリット、パンツの光沢感がポイント。多方面に活躍する現代女性をイメージし、オフィスでもパーティーでも、さらには休日にも着られるルックが多出した。上品なスカートやジャケットも多かったが、柔らかな素材やカラーを用いることによって肩の張らない、リラックスしたムードが漂う。そんなムードからは、しなやかで柔軟なエイミー自身の考えや姿勢が伝わった。

トミー ヒルフィガー
(TOMMY HILFIGER)

DESIGNER/トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)

 黒人文化が花開くハーレム地域の由緒ある劇場、アポロシアターが会場だった今季は、黒人のダンサーやシンガーがノリノリでパフォーマンスしながらモデルが歩き、まるで1980年代のハーレムにタイムスリップしたかのようなエンターテイメントに溢れた演出!女優のゼンデイヤとの2回目のコラボとなった今回は、アフリカン・アメリカンカルチャーにオマージュを捧げ、1970〜80年代のスタイルを引用した。モノクロマティックなカラーパレットをベースに、レトロなフレアパンツや千鳥柄のセットアップ、ポルカドット柄のワンピース、大きめの丸型サングラスなどが登場。さまざまな体型や年齢のモデルが音楽に合わせてノリノリでランウエイを歩き、会場は大盛り上がり。アフロやスモーキーアイ、リップライナーで輪郭を強調したリップなど、ビューティもレトロな雰囲気が漂った。

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