「ラルフ ローレン(RALPH LAUREN)」の2026-27年秋冬コレクションのファッションショーは、ニューヨークのトライベッカ地区にある19世紀の歴史的建造物にスペースを構えるギャラリーで行われた。重厚な装飾の格天井を擁するホールの壁面はハンドペインティングの絵画に覆われ、床一面のペルシャ絨毯とベルベットのカーテンが荘厳な舞台をかたちづくる。
ラルフ・ローレンは、「私はファッションという冒険を愛している。今回は反逆的なスピリットと、それを自分らしく身にまとって自らの物語を語る女性の自信に着想を得た。過去から受け継がれてきたタイムレスな価値を尊重しながらも、それを“今”の感性で再解釈する。彼女のスタイルは時代に縛られることがない。だからこそ、永続的だ」と話す。
50を超える素材が織りなす叙事詩
ヘリテージへの敬意が導くメゾンの深化
とにかく、豊富な素材使いとそれらを自在に操るクラフトマンシップがひときわ存在感を放つシーズンだった。今回のコレクションでは50種類以上のカスタム素材を使用し、それらが一着一着に奥行きを与えている。
前半はブラウンやカーキを基調とした、静謐なカラーパレットのルックが続く。抑制された色調の中でツイードや大胆な編み地のニット、ベルベット、ファー、シルクといった異なる質感が交錯し、立体的で豊かな表情を描き出す。自立した女性像を象徴するスーツは、流線的なラインと柔らかな素材で、強さと繊細さが共存。張り出したショルダーラインやピークドラペル、ワイドなシルエットのパンツも官能的だ。粗野な質感のツイードはショールのように纏い、たっぷりと生地を使うことで柔軟な印象に。ヴィンテージライクな花柄刺しゅうやクラシックなパターン、使い込まれたレザーは、現代的なシルエットへと再構築された。レイヤードスタイルから覗くメタリック刺しゅうやガラスビーズのフリンジが華やかでフレッシュな印象を後押しした。
後半に進むにつれ、女性像は現代の女性戦士へと変化していく。ツイードやレザーで仕立てたコルセットのディテール、柔らかなニットやオーガンジーのスカートにはビジューの刺しゅうを施し、金属的な質感が強さを助長する。メタリックペイントのレザージャケットはまるで甲冑のよう。軽やかなメッシュのドレスも、メタリックな装飾によって柔らかな鎧へと変化。流線的なイブニングドレスもガラスのようなビーズ刺しゅうで強さを手に入れ、コレクションを通して柔らかさと強さの対話が続いた。
ファーストルックを飾ったモデルのジジ・ハディッド(Gigi Hadid)がエレガントなベルベットドレスを纏ってランウェイに戻ってくると、冒険を恐れずに突き進む女性像が一層明確になる。煌びやかで軽やかな鎧に身を包んで強さと柔らかさを兼ね備えた姿は、まさに現代のジャンヌダルクだ。
コレクションを席巻した
華麗なる職人技の数々
精緻なクラフトマンシップが目を見張る今回のコレクションは、「ラルフ ローレン」というブランドの深化を強く印象づけた。1つのトップスに175時間を費やしたという手刺しゅうや、二度染めで魅惑的な光沢感を出したベルベットのガウンなど、幾つものクラフツマンシップが一つのアイテムに注ぎ込まれている。フィナーレにラルフ・ローレン氏が登場すると、会場はスタンディングオベーションに包まれた。それは単なる敬意ではない。変化の激しいニューヨークにおいて、揺るがぬ美学を提示し続けるブランドの存在感を改めて示していた。