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「ドルチェ&ガッバーナ」のショーでドローン飛行を成功させたライゾマティクスに一問一答

 「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」は、24日にミラノで発表した2018-19年秋冬コレクションの冒頭でドローンをランウエイ上に飛ばして新作バッグを披露し、話題を呼んだ。この演出を手掛けたのは、日本のライゾマティクス リサーチ(Rhizomatiks Research)だ。その背景について、エンジニア、アーティストでもある石橋素ライゾマティクス リサーチ ディレクターに話を聞いた。当日会場では、観客にWi-Fiを切るようにと繰り返し促したが、その理由についても語っている。

WWD:デザイナーからどんなリクエストがあり、実現させるためにどのような工夫をしたか?

石橋:「デザイナーが新作のバッグをドローンにつけてランウエイを飛ばしたいと言っている、できるか?」というオーダだった。まずはバッグがどのくらいの重量なのかを確認して、僕らの持っているドローンで安全に飛ばせるように、最終的には軽量のモックを特別に作ってもらった。ショーの冒頭でバッグを持ってドローンが登場する、というのは、すぐにイメージが湧いたし、いかに綺麗にバッグを見せられるか、という点に力を入れた。

WWD:ドローン自体を特別にデザインしたのか?

石橋:ドローンの機体そのものは、今まで作ったものをカスタマイズして使った。バッグを取り付ける方法や材質(透明のアクリル)は、今回のために新しく開発をした。できるだけバッグだけが宙に浮いて、ランウエイを軽やかに浮遊して見えるように工夫をした。

WWD:これまで手掛けたドローンの仕事にはない、新しい点とは。

石橋:いままではドローンとダンサーや人を組み合わせたパフォーマンスとしての作品が多かったが、今回は、ランウエイをモデルの代わりにバッグを持って飛ぶ、という始めての役割だった。また、長さ30mという広い空間でドローンを飛ばしたのも今回が初めて。

WWD:ショー開始が遅れたのは来場者のWi-Fiが理由か?

石橋:ドローンを飛ばす前には無線の状況を常に監視し続けているが、招待客が入ってきてからやはり電波状況がどんどん悪くなっていった。できる限り安全に飛行をさせるために、少しでも電波状況が良くなるように、繰り返しアナウンスをしてもらい、飛行が可能な状態になるまで少し時間がかかった。一部報道で、ドローンのためにショーの開始が50分遅れたかのように報じられているが、事実と異なる。ドアオープンが現地時間14時、ショー開始が14時30分予定だったが、無線状況が安定するまで少し待ち、ショー開始が14時40分過ぎだった。無線状況が良くない状況で決行するのは来場者に危険が及ぶ可能性があるため、「ドルチェ&ガッバーナ」のショーチームのショーチームと共に万全の体制を整えてショーをスタートした。モバイルデバイスの電源を切る協力をいただいた来場者の方々にも感謝している。

WWD:来場者は結局全員がWi-Fiを切ったのか?

石橋:切っていない。

WWD:白衣を着てランウエイに立ったスタッフの役割。

石橋:ドローンは非常時に緊急着陸をするようにシステムが設計されている。着陸した場合に素早く機体を回収する、また、万が一の事態に備えて来場者に危害が及ばないようにするための要員だった。

WWD:終わってみての感想。実施したことで得られた新しい経験とは。

石橋:オーダーを受けてから実施まで約2週間という、とても短い期間でのプロジェクトだったが、無事終えることができてとにかくホッとしている。現地で粘り強く、少しでも失敗の可能性を減らすために工夫をし続けたライゾマ ティクス リサーチチーム、皆の底力を再確認できたプロジェクトになった。また、とても協力的にプロジェクトを進めてくれた、「ドルチェ&ガッバーナ」のチームと知り合えて、海外のクリエイティブなチームと密に連携をして一緒にクリエイションができたことは、今後につながっていくと思う。