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嘘がなく控えめなデザインの家具「アルテック」

 フィンランド発のインテリア「アルテック(ARTEK)」のマリアンネ・ゴーブル(Marianne Goebl)社長が、フィンランド独立100周年を記念したイベント「ふぃんひゃく(FIN/100)」で来日した。「アルテック」といえば、アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)がデザインした“スツール60”や照明器具の“ゴールデンベル”で知られる。日本では、無印良品や「ミナ ペルホネン(MINA PERHONEN)」の皆川明などとのコラボレーションでもおなじみだ。「ふぃんひゃく」では、独立100周年を記念した「フィンランド100」モデルとして“スツール60”の特別カラーやトナカイ革を座面に張った“ドムス チェア”などが登場。ゴーブル社長に、「アルテック」の魅力やビジネス展開について聞いた。

WWDジャパン(以下、WWD):来日の頻度は?

マリアンネ・ゴーブル社長(以下、ゴーブル社長):1年に1度は来日する。通常は秋のデザインウイークのタイミングで来日するが、今年はフィンランド独立100周年を祝うため「ふぃんひゃく」の時期に合わせた。これは、さまざまなフィンランドのブランドとのジョイントプロジェクトで、デザイナーや建築家らとともにフィンランドの価値観を発信するとともに、フィンランドのライフスタイルを伝えるものだ。フィンランドのさまざまなブランドと一緒に祝えるのがうれしい。日本は重要な市場なので、もちろん市場調査やミーティングも行う。

WWD:「ふぃんひゃく」の見どころは?

ゴーブル社長:単なるショッピングのためのイベントではない点だ。デザインや建築、音楽、フードなどさまざまなトピックスのレクチャーやワークショップが開催される。アルテックの創業者の一人であるマイレ・グリクセン(Maire Gullichsen)の孫にあたるテキスタイル・デザイナーのヨハンナ・グリクセン(Johanna Gulllichsen)も参加している。

WWD:「アルテック」のブランド哲学は?何が「アルテック」を特別にしているか?

ゴーブル社長:「アルテック」は1935年にデザインと建築、アートが交差するブランドとして設立された。“家具を販売するだけでなく、展示会や啓蒙活動によりモダニズム文化を促進する”ことを目的にしたムーブメントの一環として誕生。嘘がなく控えめなフィンランド特有のデザインは毎日を豊かなものにしてくれる。80年以上経過したデザインは今でも十分通用するタイムレスなものだ。フィンランドと日本では消費者に認知されているが、他の市場では建築家やデザイン業界のスペシャリストとの取り組みが多い。

WWD:アーカイブからのクラシックな商品と新たにデザインされた商品の割合は?

ゴーブル社長:クラシックはLシェイプの商品が36点、照明を含めると約80点。売り上げの割合はクラシックが4分の3で、新しいデザインが4分の1程度。

WWD:社内デザイナーはいるか?どのような外部デザイナーと協業するか?外部デザイナーを選ぶ基準は?

ゴーブル社長:テキスタイルはアアルトのデザインをベースに社内で手掛けることが多いが、家具には社内デザイナーはいない。コンスタンティン・グルチッチ(Konstantin Grcic)やロナン&エルワン・ブルレック(Ronan & Erwin Bouroullec)、ヘラ・ヨンゲリウス(Hella Jongerius)などとコラボレーションしている。ミラーや来年発表するコートスタンドは、ダニエル・リーバッケン(Daniel Rybakken)がデザインした。新作のチェアはスウェーデンのデザインチームが手掛けている。彼らと「アルテック」の関係は、同じクラブに属するメンバーのようなもの。同じ価値観を持った人の集まりで、お互いに敬意を払いつつ、共通言語で会話ができるという感じだ。

WWD:リーバッケンを起用した理由は?

ゴーブル社長:彼はアルテックと取り組む以前は、照明器具のデザインしかしたことがなかった。照明器具は技術的な部分が大きい商材だが、彼のデザインは仕上がりがとてもポエティック。アートと技術がうまく融合している。アート×テクノロジーは「アルテック」の名前そのものだ。彼の手によるミラーは、機能性だけでなくオブジェの役割も果たす。彼とはインテリア以外の小型家具のシリーズを作る。

WWD:家具と照明器具のビジネスの構成比は?ベストセラーは?

ゴーブル社長:家具が70%。照明器具とアクセサリーが30%。ベストセラーは、“スツール60”や“ドムスチェア”、照明器具は“ゴールデンベル”が一番売れる。

WWD:生産はどこで行っているか?

ゴーブル社長:アアルトがデザインした家具はフィンランド国内の自社工場か、または同じく他の工場で生産する。その他の商品はドイツやイタリア、ポーランドなどで、照明器具は香港とフィンランドで、テキスタイルはバルト海周辺国で作っている。

WWD:トップ3の市場とそのシェアは?

ゴーブル社長:フィンランドがトップで50%、2位は日本で18%、アメリカが8%。

WWD:現在何カ国で販売しているか?今後注力したい市場と新たに進出したい市場は?

ゴーブル社長:60カ国で販売している。日本をはじめ、アジアに注力したい。インドにも注目している。

WWD:現在の直営店は?出店予定は?

ゴーブル社長:直営店はヘルシンキ、ベルリン、アントワープにある。アントワープのショップはイッタラ(IITTALA)の店舗内のショップ・イン・ショップ。アントワープはファッション感度の高い人が多い街なので、われわれにとってはいい市場だ。ヘルシンキの店舗は現在の店舗から新しい場所に移転する。エーロ・サーリネン(Eero Saarinen)がデザインしたビルに入る予定だ