毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月23日号からの抜粋です)
藪野:1月のメンズコレで、2026-27年秋冬は“愛着”や“懐かしさ”の要素を取り入れる流れを感じました。ウィメンズでも、“昔から愛用しているものを今、着こなす”という流れはミラノでも顕著で、パリではさらに発展しました。
村上:特に「クロエ(CHLOE)」が良かったですね。母の娘に対する愛情を手編みのニットなどに落とし込み、それに“愛着”を持つ子がモードなレザーパンツと合わせちゃうみたいなルックを発表。「正直ミスマッチ。でも、その気持ちは共感しちゃう!」というコレクションで、フィナーレではシェミナ・カマリ(Chemena Kamali)が2人の愛息子に駆け寄り、キスしていたのも印象的でした。“愛着”の表現として、メンズではビンテージ加工や蘊蓄が一般的で、「プラダ(PRADA)」のウィメンズも汚れやほつれのあるアイテムを、スタイリング“4変化”で見せましたが、「クロエ」はまた違うアプローチで「なるほど!」と思いました。
「ドリス」のスムーズな継承に感心
藪野:「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」も素敵でしたね。1月のメンズ同様、若者が大人になる過程を描いたのですが、タイドアップしたシャツやパイピング入りのブレザー、ダッフルコートといった懐かしい学生服的なものをベースに、ゴブラン織りや金刺しゅう、古い絵画などの伝統的な技術や古き良きものを折衷したスタイルが印象的でした。
村上:ドリス本人だったら、ユニホームならミリタリーに行くだろうところを、30代のジュリアン・クロスナー(Julian Klausner)は学校の制服をチョイス。「ちゃんと『ドリス』だけど、フレッシュになったな」という印象です。
藪野:会場は09年にドリス本人が使ったところで、演出もその時と同じ。「ドリス」らしさを継承しながら、自分らしさを加えてアップデートしていますが、創業者からの継承がこんなにスムーズなケースは、なかなかないですよね。
村上:本当にそうですね。先シーズンのパリは新デザイナーのデビューコレクションが多く熱狂に包まれましたが、2シーズン目はちょっと落ち着いた感がありました。そんな中、もう1つのシーズントレンド“エレガンス”の筆頭、「シャネル(CHANEL)」の進化ぶりは圧倒的でしたね。
藪野:マチュー・ブレイジーによってメゾンコードであるツイードがさまざまな形で再解釈され、まさに驚きにあふれていました。会場全体がワクワク感と高揚感に包まれ、あらためて「ファッションは喜びを与えてくれるものだな〜」と感じました。