スイス発のスポーツ企業オン・ホールディング(ON HOLDING以下、オン)は3月25日、マーティン・ホフマン(Martin Hoffmann)最高経営責任者(CEO)が5月1日付で退任することを発表した。後任として単独のCEOは置かず、共同創業者で共同エグゼクティブ・チェアマンを務めるデビッド・アレマン(David Allemann)とキャスパー・コペッティ(Caspar Coppetti)が共同CEOを兼任する。
財務やビジネス面で「オン」の急成長をサポート
ホフマンCEOは、独カイザースラウテルン大学(RPTU University Kaiserslautern-Landau)で経営管理とコンピューターサイエンスの学位を取得し、2003年に経営コンサルティング会社CTコン(CTCON)でキャリアをスタート。09年から13年には、小売企業ヴァロラ(VALORA)で最高財務責任者(CFO)などの要職を歴任した。13年、CFOとしてオンに入社。21年から共同CEOを兼任し、25年7月から単独でCEOを務めている。同社を離れるのは「以前から計画していた休止期間」のためであり、今後は慈善活動に注力する予定だという。
「オン(ON)」は、トライアスロンのトップアスリートだったオリヴィエ・ベルンハルド(Olivier Bernhard)が、アレマン共同エグゼクティブ・チェアマン(現在)とコペッティ共同エグゼクティブ・チェアマン(同)と共に10年に創業した。ホフマンCEOが在籍した13年間で、同社はスニーカーのスタートアップから、話題性や成長率においては「ナイキ(NIKE)」や「アディダス(ADIDAS)」などの老舗ブランドを凌駕するような存在に急成長。25年12月期の売上高は、前期比30%増の30億1400万スイスフラン(約6058億円)だった。
退任のニュースで株価は11%安に
同社は声明で、「マーティンは共同創業者らと密接に連携し、当社の財務上の枠組みや戦略的な規律を設計してくれた。共同創業者らによるビジョンとオペレーションのスケール化を結び付けた立役者であり、『オン』を今日の力強く勢いのある存在とすることに大いに貢献した」とコメントした。
なお、株式市場はホフマンCEO退任のニュースを嫌気し、同社の株価は25日、前日比11.2%安の35.16ドル(約5555円)をつけた。
今回の人事に関する創業者2人のコメント
アレマン共同エグゼクティブ・チェアマン兼新共同CEOは、「今回の人事は、共同創業者による戦略的意図と運営上のコアを統一し、より機敏に動けるようにすることが狙いだ。プロダクト開発にいっそう注力し、引き続きスポーツブランドが持つ可能性を拡大していく」と語った。
コペッティ共同エグゼクティブ・チェアマン兼新共同CEOは、「マーティンがいかに大きな影響を与えてくれたかを言語化するのは難しい。黎明期から(21年9月の)新規上場、そして現在に至るまで、彼の『オン』のカルチャーへのコミットメントや財務上の規律は当社にとって非常に重要なものだった。彼とともに働けたことは名誉であり、そのパートナーシップ、比類のない貢献、そして築き上げたレガシーに深く感謝する」と述べた。
また、今回の人事に伴い、スコット・マグワイヤー(Scott Maguire)最高イノベーション&オペレーション責任者は、社長兼最高執行責任者に昇格する。