毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月9日号からの抜粋です)
木村:今号は2026-27年秋冬のNY&ロンドン特集です。表紙には20周年記念のショーが素晴らしかった「アーデム(ERDEM)」を選びました。ロンドンはインディペンデントブランドが多いのが魅力な反面、そこそこメジャーになってきたと思っていたブランドでさえ、公式スケジュールから名前が消えていたりして、毎シーズン継続的にショーを見られるブランドは少なかったりします。ですから、改めて「アーデム」はロンドンブランドの模範だな、と。ロマンチックなアプローチが多いけれど、おとぎ話として閉じておらず、幅広い層のための現代服になっています。
小田島:同年代のデザイナーにシンパシーを感じて、1月19日号では熱いコミュニティーと共に盛り上がるインディペンデントなブランドの今の時代の価値観を浮き彫りにする特集を作っていましたが、その先を模索した感じですかね?
木村:「拡大=成長」としないデザイナーたちの新しいブランドのあり方はすごく共感しますし、いいなと思うのですが、その熱量がずっと続くかというのは別の話だなとも。続けることって本当に難しいと思いますし、20周年記念のショーを見て、長く続けられることの強さを改めて感じました。
アート性もロンドンコレの醍醐味
小田島:人気が出ると大概パリに出てしまいますし、ロンドンコレにこだわりながら、長く続くブランドって確かに貴重かもしれないですね。
木村:とはいえ、ロンドンの若手はやっぱり面白くて。今回はウエアラブルアートを突き詰めた「ザ ヴァレイ(THE VXLLEY)」にグッときました。小さい街の模型を張り込んだり、生花を飾ったりした服を発表したのですが、素晴らしい造形美で、「これぞロンドン」という感じでした。デザイナーのダニエル・デル・ヴァレ・フェルナンデスが、「AnOther」マガジンのインタビューで自身のプロジェクトを、ファッションブランドではなく“庭”と表現していたのも印象的でした。
小田島:そういえば、「ゴールドウイン」もロンドンに店をオープンしましたよね。
木村:はい。さまざまな実験を行う“ゴールドウイン ゼロ”のクリエイションがロンドン拠点ということもあり、オープニングには高感度な若者たちが集まっていました。加えて、サステナビリティをテーマにしたギャラリーが「ゴールドウイン」をフィーチャーしていて、スパイバーやシンフラックスとの取り組みも紹介。日本の取り組みが注目されていてうれしかったです。