ファッション
連載 エディターズレター:FROM OUR INDUSTRY 第207回

VRコンサートの価値は、リアルとデジタルの交差か?同志しか存在しない「信仰の現場」か?

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先日電車に乗っていると、車内ドア上部の画面から不思議なCMが流れてきました。圧倒的なメディア・インパクト・バリューでファッション業界でもお馴染みのENHYPENが、VRコンサートツアーを映画館で開くと言うんです。

早速ホームページを見てみると、昨年も映画館で開催したVRコンサートツアーの写真がありました。当然、全員VRヘッドセットを着用しています。ファンが楽しむ映像は、映画館の巨大スクリーンに投影されるものではなく、VRヘッドセットが映し出す12K(!!)の高精細映像。その映像を楽しむため、映画館の7.1chサラウンドシステムを音響環境として活用するのだそうです。確かに音響の観点から考えれば、映画館で開催する意味はありそうです。しかし究極、「コレって、自宅でも良くないですか?」と思いませんか?少なくとも配信チケットも販売して、自宅で、私物のVRヘッドセットを着用して楽しむという選択肢があっても良さそうです。

なのにENHYPENはENGENE(ENHYPENのファンダム名)を映画館に誘います。なぜでしょう?ホームページには「ENGENEの皆さんを現実と非現実が溶け合う幻想的な世界へお連れする」とありますが、VRヘッドセットがあれば、技術的にはどこでも「現実と非現実が溶け合う幻想的な世界」になりますよね?となるとENHYPENの関係者一同は、映画館に音響施設以上の、リアルな場所の価値を見出しているのではないか?と思うのです。

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