パリで開かれたテクノロジーの祭典、通称”ビバテック”で、ロレアルは視覚的観点において「AIを鏡に匹敵するかもしれない発明」と捉えました。下の記事にある通り、「ルネサンス期は、神だけでなく人間や個人に根ざした新しい表現が生まれ、芸術が昇華した。そして鏡が広く普及したことで、人々は美に対する関心を高め」ました。
仕事柄イタリアには何度も赴いていますが、ルネサンスは今も、イタリアの美意識に大きな影響を与えています。というより、ルネサンスはイタリアの美意識と言っても過言ではありません。美術館などで数多く見るのは、男性の逞しい体躯、そして女性のしなやかな曲線美を写実的に捉えた絵画や彫刻など。もちろん今はオーバーサイズも当たり前の時代ですが、”男性の男性らしさ”や”女性の女性らしさ”を捉えたボディコンシャスなシルエットに代表されるセクシネスや、着る人の魅力と素材の持ち味の双方を最大限に引き出すために探求し続ける色などはいずれも、芸術の対象を神から人間へと変えることで写実性を増したルネサンス期の美意識に根ざしているからで有り、パリにはないミラノ・ファッションの魅力です。
イタリアを代表するブランド「グッチ(GUCCI)」のクリエイションを手掛けるデムナ(Demna)は、ルネサンスを独自の形で表現しています。ジョージア出身だからこその客観性なのか?もしくはナラティブなストーリーテリングを得意とする彼らしさなのか?その表現方法を見ると、ルネサンスを違った形で解釈できるかもしれません。と同時に今の「グッチ」は、ルネサンスと重ねると理解しやすいのだと思います。賛否両論だったボディコンシャスなシルエット連発の26-27年秋冬コレクションは、人間の体躯を露骨なまでに強調しています。続くニューヨークでのクルーズ・コレクションを筆頭にモデル選びや演出においては、感情の発露を重視。モデルのランウエイにおける立ち居振る舞いは、感情の発露を思わせるアティチュードに溢れています。描く対象が人類を超越した神から私たちそのものに変わったルネサンス期の美術では、感情表現もまた大いに進歩しました。感情の発露は、人の心を揺さぶります。好き・嫌いはあるかもしれません。でもデムナは、そうすることで「グッチ」を再び注目される・語られる存在に昇華しつつ、誰しもが持つ感情の表現や、ゆえに憧れる感情の発露で人々の気持ちを掴もうとしています。美意識のみならず精神性まで、ルネサンスはイタリアにおける礎なのです。
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