ニルヴァーナ(NIRVANA)の元ドラマーであり、現在はフー・ファイターズ(Foo Fighters)のフロントマンとして知られるデイヴ・グロール(Dave Grohl)。そんな偉大なロック・アイコンを父にもち、音楽が溢れる環境で育ったヴァイオレット・グロール(Violet Grohl)は、フー・ファイターズの作品での共演や、13歳の時にニルヴァーナの元メンバーが再集結したコンサートで「Heart-Shaped Box」のボーカルを堂々と務めるなど、その非凡な歌声で早くから注目を集めてきた。
そして現在、20歳を迎えた彼女は、自身の名義で本格的なキャリアを歩み始めようとしている。5月29日にリリースされたデビュー・アルバム「Be Sweet to Me」は、そんな彼女の音楽への愛情と確固たるビジョンが、極めてパーソナルな形で結実した作品。プロデューサーにジャスティン・レイゼン(キム・ゴードン、チャーリーXCXなど)を迎えた本作は、コクトー・ツインズのような浮遊感のある美しさと、サウンドガーデンを彷彿とさせる重厚なスラッジ・ギターが交差する鮮やかなサウンドスケープを描き出している。さらに、単なる90年代への憧憬に留まらず、現代のシーンに残る排他性や偽善にはっきりと「NO」を突きつける、しなやかでタフなアティチュードが貫かれている。
世間からはどうしても“恵まれた二世”という色眼鏡で見られがちな彼女だが、当の本人はインポスター症候群(自分を過小評価してしまう心理)を吐露するほど、自身の立ち位置に対して極めて自覚的で謙虚である。今回、アルバムのプロモーションで来日した彼女に、一人のインディペンデントな女性アーティストとして力強い一歩を踏み出した本作の制作背景について聞いた。
デビュー・アルバムのリリースに向けて
——素晴らしいデビュー・アルバムが完成しました。遂に作品がリリースされること、そしてこうして日本のファンに届けられたことについて、今どんなお気持ちですか。
ヴァイオレット・グロール(以下、ヴァイオレット):すごくワクワクしています。ついに世に送り出して、みんなに聴いてもらって、自由に楽しんでもらえるなんて、本当に最高の気分。このアルバムのレコーディングを始めたのは2024年の8月で、完成したのは去年の1月頃でした。だから、しばらくの間自分の中だけで温めていたんです。でも、特に日本のみんなに聴いてもらえるのがすごく楽しみです。
——完成したアルバムについて、友人や身近な人からもらったうれしかったコメントはありましたか。
ヴァイオレット:一番うれしかった、あるいは一番記憶に残っているコメントは……親友のペルシャとレイヴン姉妹に「Mobile Stars」という曲を聴かせた時のことで。LAをドライブしていた時で、ちょうどアルバムのファイナルミックスが上がってきたばかりだったので、曲順通りに全曲流して聴いてもらってたんです。
そして、その曲がかかった瞬間、車内が完全に静まり返って。ただ車を走らせながら、2人がどれだけ深く聴き入って、曲を感じてくれているかが伝わってきました。曲が終わると、2人は振り向いて私を見て、「今まで聴いた曲の中で一番好きかも」って言ってくれたんです。それはもう、最高の褒め言葉でした! だって彼女たち、なかなか満足してくれないというか、すごく耳が肥えてるんです。そんな2人が心からそう言ってくれたことで、自分がつくり上げてきたものを心から誇りに思えたし、「よし、これでやっとみんなに聴いてもらう準備ができた!」って思えたんです。
影響を受けたアーティストは?
——ヴァイオレットさんは「グレート・ディガー」を自称されていて、これまでジャンルを問わずたくさんの音楽を聴いてこられたと思います。その中でも、単なるリスナーから、自ら音を鳴らす「アーティスト」へと背中を押してくれた作品は何でしたか。
ヴァイオレット:いくつかあります。ザ・ブリーダーズの「Last Splash」は、私の中でかなり際立った存在ですね。「Cannonball」を初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。女性があんな風に歌い、演奏し、曲を書くのを聴いて、ものすごくインスピレーションを受けました。「自分もギターを手に取って、アンプの前に座って曲を書きたい!」って、心から思わせてくれたんです。
でも、子どもの頃に聴いたアルバムの中にも、心の底から共感できる作品はたくさんあって。自分がつくる音楽とはジャンルが全然違ってもすごく影響を受けています。例えばエイミー・ワインハウスとか。あとは、ビートルズの「White Album」! これは私にとって史上最高のアルバムの一つです。子どもの頃、レコードプレーヤーに乗せて、本当に何度も何度も、繰り返し聴いていました。あの音の壁の中にただ座っているのが好きで……そうやって色々な音楽を聴いていくうちに、最終的に自分でも演奏するようになって、音楽の虜になっていったんです。
——13歳の時にコクトー・ツインズ(Cocteau Twins)の「Heaven Or Las Vegas」と出会い、大きな衝撃を受けたと聞きました。
ヴァイオレット:はい。彼らのギター・サウンドやドラムマシンの実験的なアプローチは、当時の(私がよく聴いていた)音楽よりも少し抽象的で。それに、エリザベス・フレイザーの声の使い方や重ね方、メロディーの書き方が、すごく複雑でとにかく美しいんです。初めて聴いた時は、一瞬で引き込まれました。「何これ!?」って、完全に圧倒されてしまって。
——エリザベス・フレイザーの、言葉の意味すらも超えて、声そのものを一つの楽器やテクスチャーとして響かせるボーカル・スタイルが、今回のアルバムにおける自身の声の重ね方や歌い方に影響を与えている部分もありますか。
ヴァイオレット:間違いなくそうですね。彼女のハーモニーの重ね方は本当にすごい。ボーカルがガツンと前に出てくる時もあれば、他の楽器の中にスッと溶け込んでいる時もあって、それがたまらなく美しいんです。
ボーカリストとして自分の限界を押し広げて、「自分には何ができるんだろう?」って探求するのってすごく楽しいことだと思います。彼女は自分の可能性を最大限に引き出して、声を一つの「楽器」として使っている。そこからは、本当にたくさんのインスピレーションをもらっています。
——コクトー・ツインズの影響もそうですが、今回のデビュー・アルバム「Be Sweet to Me」は、ジョニ・ミッチェルのような繊細なチューニングと、サウンドガーデンも彷彿させる重厚なスラッジが同居した、コントラストの効いたダイナミックなサウンドが魅力です。このアプローチはどのようにして生まれたのでしょうか。
ヴァイオレット:そうですね……私にとって、ジョニ・ミッチェルの影響はすごく大きいです。彼女のアルバムを聴いて、いろいろなチューニングを解読しながら独学でギターを覚えたくらいで。でも私、美しさとダークさ、怖さや重たさ、あるいは光と影のような「二面性」のあるものに昔から惹かれるんです。そういう相反するものが同居しているところに、すごく美しさを感じます。だから、そんな風に曲を書くのは私にとってごく自然なことでした。
自分の人生の中でもそういう性質を持つものによく目を向けているし、映画でも音楽でも、そういうコントラストがある作品が大好きなんです。一見分かりにくいこともあるかもしれないけど、例えばクリス・コーネル(※サウンドガーデンの元ボーカリスト)。彼は本当に素晴らしいボーカリストで、その歌詞はすごく詩的で美しいですよね。でも、それがものすごくヘヴィな楽器のサウンドと組み合わさっている。そのバランスが絶妙で、本当に美しいなって思うんです。私はずっと、そういうものに惹きつけられてきました。
ジャスティン・ライゼンとの制作
——そうした複雑なビジョンを形にする上で、プロデューサーを務めたジャスティン・ライゼンとの共同作業は「テレパシーが通じるようだった」とコメントしてましたね。
ヴァイオレット:本当に最高でした。彼が、私がずっと聴いていなかったバンドや、自分ではインスピレーションを受けるとは思ってもみなかったバンドの名前をポンポン出してくれたりして。おかげで、さまざまなジャンルや要素からインスピレーションを見つけ出すことができました。
でも何より彼は、常に私のビジョンをサポートしてくれて、まるで指揮者のようにスタジオでまとめ上げ、音楽を美しい形にアレンジするのが本当に上手だった。私のアイデアを見事に「翻訳」してくれたんです。私が何か抽象的なアイデアを持っていて、それをどうやって専門的な音楽用語に落とし込めばいいか分からない時でも、彼はすぐに意図を汲み取って弾き始めてくれた。それって、本当にすごく特別な経験でした。
——ライゼンのプロデュースによって、自分の音楽的な限界が押し広げられた?
ヴァイオレット:そうですね。それまでずっと、自分の部屋に引きこもって、一人でパソコンに向かってデモをつくることに慣れきっていたので……そこからいきなり、他に6人もいるスタジオに飛び込むなんて、ちょっと未知の世界というか、最初はすごく怖かったんです。でも彼のおかげで、それがとても素敵なプロセスになりました。自分のアイデアをみんなと共有することに抵抗がなくなったし、他の人の意見を素直に聞いたり、協力して一緒に作業したりすることの楽しさを教えてもらいました。
——ところで、レコーディングにはブライアン・イーノの「オブリーク・ストラテジーズ」(※カードに記されたさまざまな言葉に従うことで発想を拡張させる試み)が持ち込まれたそうですね。そうした”偶発性”を重んじるアプローチが、インスピレーションを触発する場面もあったのでしょうか。
ヴァイオレット:もちろん。私たちはできる限り”生々しい状態”を保ちたくて、曲が生まれた瞬間の息遣いをそのまま作品に封じ込めたかったんです。あのカードデッキには本当に導かれましたね。行き詰まったり、次にどうすればいいか分からなくなった時は、ただカードを1枚引いてテーブルに置くんです。そうすると、必然的に正しい方向へ導いてくれる。「君たちはすでに正しい道にいる」と出て、そこで曲が完成することもあれば、「そのままにしていたインストゥルメンタル部分をもう一度つくり直せ」というお告げが出ることもありました。プロセス全体をガイドしてくれて、本当に楽しかったです。
それに、自分のコンフォートゾーンから抜け出す助けにもなりました。「ボーカルのテイクはこれでいいのか」「本当に伝えたい表現になってるか」「探していた音はこれかな?」って、頭で考えすぎてしまうネガティブな執着を手放すことができた。「よし、これが本来あるべき姿なんだ。これでいいんだ」って、自然と受け入れられるようになりました。
イアン・カーティスについて
——直感やインスピレーションといえば、先ほど話に出た「Mobile Stars」は、イアン・カーティス(ジョイ・ディヴィジョン)の死に触発された曲だと聞きました。
ヴァイオレット:あの曲は、頭の中に浮かんだある映像から始まりました。赤ちゃんのベビーベッドの上に星のモビールが吊るされていて、それがくるくる回っているという、すごく強烈なイメージがあったんです。ちょうど(プロデューサーの)ジャスティンにはジューンちゃんという娘さんがいて、おもちゃの楽器をたくさん持っていたんですよ。その中にいろんな音色が入ったキーボードがあって、グロッケンシュピールのプリセット音で遊んでいたら、その音色に私がすっかり惚れ込んでしまって。そうしたら、今回のアルバムでギターを弾いてくれて、何曲か共作もしたジョー・ケネディがそのキーボードの前に座って、あるメロディ^を弾き始めたんです。それがもう、忘れられないほど美しくて、心に深く響く響きで。
実はその日、私たちはイアン・カーティスやジョイ・ディヴィジョンの話をずっと熱く語り合っていたんです。そこで、「モビールの星(Mobile Star)」という言葉に、どこか奇妙でダークなダブルミーニングがあることに気づいて。イアン・カーティスは首を吊って亡くなりましたよね。あの映像と、そのダブルミーニングの中に、私たちがどうしても掘り下げたい何かがあったんです。ただ、彼の人生の終わり方に焦点を当てるのではなく、アーティストとして、そして一人の人間として、彼がどれほど奥深く美しい存在だったかを讃えたくて。そして同時に、この世界が時に重くのしかかり、人によっては抱えきれなくなってしまうこともあるんだということを表現したかったんです。
偉大な女性アーティストへのリスペクト
——「Cool Buzz」では、進歩的なふりをしながら女性を排除するハードコア・シーンや男性社会の偽善を厳しく告発しています。あの曲は、実体験から生まれたものなのでしょうか。
ヴァイオレット:正直に言って、そういう経験は数え切れないほどしてきました。ライブの現場であれ、ハードコアやパンクのコミュニティーであれ、ただ他の人と一緒に音楽をやろうとしている時であれ……。私がギターを弾こうとしているのに、「あーあ、全然分かってないな」って感じで、勝手に私のアンプをいじってくる人がいるんです。「いやいや、私もう8年もギター弾いてるんだけど! アンプの使い方くらい分かるし、自分のやってることは分かってる!」って言いたくなりますよね。「どうすればいいか、あなたに教えてもらう必要はない。私は無力でもないし、子どもでもない!」って。私は自分のやっていることに自信を持っているし、これが私のやるべきことだと思っています。
音楽の場、特にパンクのコミュニティーの中には、まだそういう偽善がはびこっていると感じます。男の子たちはよく、「俺たちのシーンには女性にも入ってきてほしい」「ライブに来て、モッシュして、ステージに上がってほしい」なんて言うんです。でも、実際に女性がそうしようとすると、全然安全じゃないし、居心地も悪いし、受け入れられているとも感じられない。またしても、”無力で小さな女の子”扱いされるんです。「いや、私だってあなたたちと同じように腕を振り回して暴れたいし、同じくらい激しくぶつかっていけるんだよ」って思うのに。結局のところ、多くの男性が「自分はそんなことない」と思い込みながらも、いまだに手放せていない内面化されたミソジニー(女性嫌悪)なんだと思います。本当に奇妙で、理不尽な話ですよね。
——そうした理不尽な状況に対して、はっきりと「NO」と言えるスタンスを築けたのは、やはり先人たちの影響も大きいのでしょうか。
ヴァイオレット:ああ、もう絶対にそうです! キャスリーン・ハンナやビキニ・キル、それに90年代のライオット・ガール・ムーブメントですね。あれは、完全な男社会だったパンクシーンに対するカウンターカルチャーでした。当時はレイプ・カルチャーが本当に蔓延していて、多くの女性がクラブで薬を盛られてつけ込まれたり、性的暴行を受けたりしていました。でも、彼女たちにはそれを訴える場所がなかったんです。アメリカではそういう被害に遭っても、警察に行ったところで結局何もしてくれないという悲しい現実があるし、そもそも怖くて声すら上げられないことも多い。
——ええ。
ヴァイオレット:だからこそ、彼女たちはその怒りを曲にして、女性のための安全な場所をつくり出した。女の子たちが実際に一緒にモッシュできて、そうした被害について語り合い、私たちが今もなお生きているこの理不尽な社会に対して反撃できる場所を。私より前にそうやって立ち上がってくれた女性たちはたくさんいます。彼女たちが声を上げ、居場所をつくってくれたからこそ、今の私の世代の女性たちが、実際に自分の意見を言える道が開かれたんです。
——そうした“先人”といえば、今回のアルバムをジャスティン・ライゼンがプロデュースすることになったのは、同じくライゼンがアルバムを手がけたキム・ゴードンのライブを父のデイブ・グロールさんが観に行き、そこでライゼンとあなたの話題になったのがきっかけだったと聞きました。オルタナティブ・ミュージックにおける女性のパイオニアであるキム・ゴードンは、あなたにとってどのような存在ですか。
ヴァイオレット:間違いなく、私の最大のアイドルの一人です! 彼女の佇まいや、物事に対するはっきりとした発言、それに、その場にいる男性たちからどう思われようと全く気にも留めないそのスタンスが本当にかっこよくて。男性がどう感じようが関係なく、彼女は”自分のやりたいことをやる”んです。その姿勢を心から尊敬しているし、私自身も自分の人生にそういうマインドを取り入れて、彼女の足跡をたどっていきたいと強く憧れています。キムのことが本当に大好き。彼女はとてつもなく素晴らしい人です。
ヴァイオレット流ファッション
——今回の来日では、数日前に東京入りしてからは洋服屋巡りを楽しまれたそうですね。例えば、“自分らしさ”をファッションで表現する時、服を選ぶ基準や、絶対に取り入れたいアイテムなどはありますか。
ヴァイオレット:最近はブレザーにすごくハマっていて。仕立ての良いスーツジャケットが大好きなんです。今日着ているのも40年代のヴィンテージ。昔の服には目がなくて、30年代や40年代のもの、あとはビクトリア朝時代のアンティークも大好き。レースやリネン、コットンの質感が本当に美しいですよね。基本的には、カチッとした力強いジャケットに、クールな靴を合わせるのが私のお気に入りのスタイルかな。
——今回の東京滞在で、何かお気に入りのアイテムに出会えましたか。
ヴァイオレット:実はこれを買ったばかりなんです。(と、履いている靴を指して)「ドーバー ストリート マーケット ギンザ」で見つけて。いいでしょう?(笑)。
——ちなみに、これまで撮影などでいろいろな衣装を着た中で、一番気分が上がった服は何ですか。
ヴァイオレット:そうだな……最近だと「British Vogue」の撮影で着た「グッチ(GUCCI)」のドレスかな。メッシュ地にフェザーがあしらわれていて、裾にもたっぷりと羽根がついている、すごくクレイジーでシックな一着で。本当にクールで美しかった!(笑)。
あとは「Cool Buzz」のミュージックビデオで着た「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」の一着。シャツ仕立てのジャケットなんですけど、今まで着た服の中でも特にお気に入り。それから、アルバムのジャケット撮影のために1910年代のオペラ衣装をレンタルしたんです。ビーズ細工が施されたビスチェに、大きな袖とボリュームのあるスカートがついたすごいデザインで。そんなに古い時代のものを、現代の全く新しい文脈で着るというのは、すごく刺激的で特別な体験でした。
——今日の装いもそうですが、“男性らしさ”と“女性らしさ”の間を行き来することに、表現としての自由や楽しさを感じている?
ヴァイオレット:まさにその通りです。マスキュリン(男性的)な要素と、ハイパー・フェミニンな要素をミックスするのが大好き。それも、ちょっとクラシックなアプローチで混ぜるのが私流なんです。ヴィクトリア朝時代の過剰なまでの女性らしさ――ハイカラーやレース、透けるような軽い素材――は大好きだけど、そこに大きなメンズのブレザーを羽織ったり、ブーツを合わせたり。そうやって両方の要素を自分の中に取り入れることに、昔からずっと惹かれ続けています。
ニルヴァーナについて
——今の話を伺いながら、かつて90年代に、女性用のドレスやランジェリーを身にまとって演奏したりフォトシュートに臨んだバンドを思い出したんです。シアトル出身の3人組なんですけど——。
ヴァイオレット:(笑)。
——はい(笑)。そうした彼らの行動って、当時のマッチョで男性優位的な音楽シーンの価値観を揺さぶりかける姿勢の表れだったと思うんですね。そうした、既存のジェンダー観に縛られない自由さや批判精神は、あなた自身にも引き継がれていると思いますか。
ヴァイオレット:ええ、そうありたいと思っています。既存の境界線を押し広げることを恐れない人たちを、私はずっと尊敬してきました。男性がドレスやスカートを着るのって、すごく「タフ(badass)」でかっこいいと思う。特に、ものすごくマッチョな空気が支配している場所で、ベビードールドレスを着てステージに現れるなんて最高じゃない?
それと同じように、女性が男性的な服を着る中で、自分なりの女性らしさを見つけていくのもすごく楽しい。私にとっては、それがすごく自然な表現なんです。
——ちなみに、2020年に開催されたチャリティー・イベントでニルヴァーナの元メンバーが再集結してライブを行った際、ヴァイオレットさんは「Heart-Shaped Box」でボーカルを務められました。自分であの曲を歌うことを決めたそうですね。
ヴァイオレット:あの曲は、ずっと私にとって特別な、最高に美しい曲なんです。これもまた「二面性」の話になりますが、詩的で美しい歌詞がありながら、ボーカルやギターはヘヴィで、ドラムも激しく叩きつけられる。ニルヴァーナの曲の中でも、ずっと一番好きな曲だったかもしれません。だから、あの場で歌うのはあの曲しかない、って自然に思えたんです。
——ありがとうございます。最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。
ヴァイオレット:私の音楽や興味があることについて、こうやって話を聞いてくれてありがとう。日本でライブをするのを、本当に、心の底から楽しみにしています。日本が大好き! 本当にありがとう。
PHOTOS:MICHI NAKANO
デビュー・アルバム「Be Sweet to Me」
アルバムの視聴・購入はこちらから
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