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「音楽を愛しているのか?」ステラ・ドネリーが語る大きな転機 30代で辿り着いた“自然体の強さ”

1992年生まれ、オーストラリア・パース出身のシンガー・ソングライター、ステラ・ドネリー(Stella Donnelly)。美しく透き通った歌声と、社会の不条理や家父長制を鋭くかつユーモラスに切り取るソングライティングで、2019年のデビュー作「Beware of the Dogs」は世界的な絶賛を浴びた。同世代の代弁者として瞬く間にインディー・シーンの最前線へと躍り出た彼女だが、数年にわたる多忙なツアー生活の中で疲弊し、一時は音楽から完全に距離を置いていたという。

「自分はまだ音楽を愛しているのか」。そう自問自答する期間を経て、25年11月にリリースされた3rdアルバム「Love and Fortune」。30代を迎えて初めて制作された同作は、社会への怒りから自身の内面へと視点を移し、親友との別れや過去の自分との決別など、極めて身近でパーソナルな出来事をテーマにしている。

「Love and Fortune」では、ピアノとギターを基調とした飾らないサウンドに乗せて、自身の弱さを素直に認め、変わってしまった関係性を受け入れていく自然体な強さが綴られている。一度立ち止まった彼女が、いかにしてありのままの自分を取り戻したのか。3度目のジャパン・ツアー最終日となった東京公演の2日後、前日に誕生日を迎えた彼女に話を聞き、その等身大の歩みを紐解いていく。

今回の来日公演の思い出

——今回、日本での3公演(東京・名古屋・大阪)を終えてみて、特に印象に残っていることは何ですか。

ステラ・ドネリー(ステラ):まず、桜の季節に日本に来られたのは本当にラッキーでした。前回とは全然違う雰囲気で、街の空気に魔法がかかっているような感じがして。それに、少し間が空いてしまったけれど、また日本のファンのみんなと再会できたことがすごくうれしかった。今回は大阪を少し長めに散策できたんです。街を歩き回って、入り組んだ道を抜けたりしながら、何度か迷子になったりもして(笑)。それから、これまで行ったことのなかった大阪城にも行けたし、いろいろと探索できて、とてもラッキーでした。

——一昨日の東京公演では、シンディ・ローパーの「Time After Time」のカバーも印象的でした。前回のジャパン・ツアーでも披露されていて、日本のファンにとってはお馴染みなところもありますが(笑)。

ステラ:はい(笑)。あの曲は、ライブの最後を締めくくるのに最高の曲だと思っていて。私はいろいろなことを歌にしていますが、この曲のメッセージは「どんなに怒りや悲しみを感じても、世界に絶望しても、お互いに寄り添い合うこと」だと思うんです。だから、お客さんがこの曲を心に留めたまま会場を後にできるのは、素晴らしいことだと感じていて。私自身もこの曲で終わるのが好きなんですが、実はもう一つ理由があるんです。日本でのライブは90分なんです。他の国では大体1時間のことが多いので、90分を埋めなきゃいけなくて(笑)。それはすごくありがたいことなので、「よし、過去の曲もいろいろ引っ張り出してこなきゃ!」って感じでしたね。

——ニュー・アルバム「Love and Fortune」はとてもパーソナルな内容の作品になりましたが、そうした曲をさまざまな場所で演奏していく中で、録音した当時と曲が持つ意味合いが変化していくような感覚はありましたか。

ステラ:そうですね……以前、ジュリア・ジャックリンが言っていたことの受け売りかもしれないけれど、「ツアーが終わる頃になって初めて、自分の曲が本当は何について歌っていたのか気付く」と彼女は言っていて。目の前で聴いてくれる人たちと曲を通してつながるからですよね。今回も、日本のライブはすごく良い雰囲気でした。日本のお客さんはとても集中して、熱心に耳を傾けてくれて。そのおかげで、アルバムの中の静かな曲にも、しっかりとした空間が生まれたように感じました。そうした曲を演奏するのに、とても敬意に満ちた素晴らしい環境だったと思います。

「自分はまだ音楽を愛しているのか?」

——今作「Love and Fortune」は、「自分はまだ音楽を愛しているのか?」と自問自答した時期から始まったと伺いました。

ステラ:音楽を愛する気持ちは変わらないと分かっていたけれど、まだ自分に曲を書く能力が残っているかどうか分からなかったんです。ツアーに明け暮れていたので、自分がこれからも音楽をやりたいのかどうかを見つめ直すために、一度立ち止まる必要があった。自分が納得できる良いアルバムをつくりたいなら、休まなければならないって。

だから、パン屋さんで働き始めました。そして毎日自転車で通勤するうちに、また音楽をつくりたいと思うようになったんです。音楽も以前よりたくさん聴くようになったし、ライブにも足を運びました。他のバンドで演奏したりもして。ただの「ツアー・アーティスト」としてではなく、一人のミュージシャンとしての自分を思い出すために。

——例えば、その音楽への情熱を見失いかけた時期に、昔好きだった音楽や、自分の原点となるようなアーティストの曲を聴き返すような瞬間はありましたか。

ステラ:確かに、音楽を聴く時間が格段に増えました。家にある古いレコードもよく聴いたけれど、実際には新しい音楽を聴くことの方が、より多くのインスピレーションを与えてくれた気がします。働いていたパン屋さんでは、いつもラジオが流れていたんです。すごくセンスの良いラジオ局で、常に素晴らしい新曲がかかっていて。だから、過去の古い音楽を聴き直すだけでなく、新しいものをたくさん吸収できたことが、自分にとってはすごく良かったんだと思います。

——ちなみに、どんな音楽が流れていたんですか。

ステラ:そうだな……あの頃は、ハナー・マッキトリックやローラ・ジーンといったメルボルンの地元アーティストの曲をたくさん聴いていたし、世界中のいろいろな音楽も聴いていました。ええと、あ、ロザリアも聴いていましたね。それから、家の近くの映画館で月曜の夜に7ドル(オーストラリアドル、約800円)で映画を観られる日があって、よく観に行っていたんです。映画のサウンドトラックからもたくさんの刺激を受けました。例えば「落下の解剖学」という映画のサントラがすごく良くて、あとで調べたたりしました。

——そうして触れた音楽たちのどんなところが、自分を再び音楽へと押し戻してくれたんだと思いますか。

ステラ:もちろん素晴らしい音楽から刺激を受けたのもあるんですが、それ以上に、毎日働いていたので、正直退屈だったんです。だからこそ、家に帰ってピアノやギターを弾きたくなって。私にとって「退屈すること」はすごく良いことなんだと思います。退屈な時間が必要だったし、本を読んだり映画を観に行ったりする時間があることで……なんて言うか、自分の中で何かを育てて、つくり上げるための「贅沢な時間」を持てたんだと思います。

30代になって心境の変化

——ところで、昨日(4月10日)お誕生日を迎えられたということで。おめでとうございます!

ステラ:わ、(日本語で)アリガトウゴザイマス!

——「Love and Fortune」は、ステラさんが30代を迎えて初めて書かれたアルバムだと思うんですけど、例えば20代の頃と比べて、歌詞に書き留めたいテーマや、人生の優先順位に変化はありましたか。

ステラ:そうですね、今の私は、純粋に「良いレコードをつくりたい」という気持ちで音楽を書いています。でも始めたばかりの頃は、ただ「有名になりたい」「認められたい」と思っていた気がして。注目されたかったんですよね。でも今は、純粋に良い音楽、自分自身がライブで演奏して心から楽しめる音楽をつくりたい。その気持ちをすごく大切に守っています。10年前は「他人が自分に何を求めているか」にすごく影響されていたけど、今は「自分の直感を信じるしかない。もしそれでうまくいかなくても、それはそれで構わない」と、結果を受け入れられるようになりました。

——そうした意識の変化を経て、今後のミュージシャン/ソングライターとしてのモードや、次に向けたビジョンなどは見え始めているのでしょうか。

ステラ:実は、次のアルバムはもう半分くらい書けていて、今作とは全然違うんです。もっとエネルギッシュで、オープンで。季節に例えるなら、冬のアルバムでは全くなくて、ずっと「夏」っぽい感じ。自分がアーティストとして今後どう進歩していくかは分からないけれど、私はよく“直前にやったことと全く逆のことがしたくなる”タイプなんです。

今回のアルバムが“座って”つくったものだとしたら、次のアルバムは“立ち上がって”つくったような感覚で。サウンドも全然違っていて、私らしさは残しつつも、もっと遊び心があって、アップビートな要素が引き出されている。私の「Die」という曲に近いかもしれないし、もっとスケールの大きな曲というか……そうですね、もっと“周りを見渡している”ような感覚に近いかな。

ありのままの自分を表現する

——今回のアルバムでは、恋愛だけでなく、親友とのプラトニックな関係の終わりや、過去の自分との決別など、さまざまな形の“別れ”が描かれています。このアルバムを書き上げたことで、ステラさんの中で何か「手放せたもの」はありましたか。

ステラ:このアルバムをつくる前は、目の前に大きな壁が立ちはだかっていて、どう乗り越えればいいか全く分からなかったんです。だから、私が“完璧ではない、めちゃくちゃな部分も含めた自分自身”を心から受け入れるために、あのアルバムをつくる必要があった。私は完璧じゃないし、完璧には程遠いけれど、今自分の人生にいてくれる人たちや、自分が持っている環境にすごく幸せを感じられるようになりました。あのレコードを通して得たものは、そういう「新しい視点(パースペクティブ)」なんだと思います。

——そうしたさまざまな“別れ”を経て、今のステラさんを満たしているのはどんな感覚なんでしょうか。

ステラ:今は、友達と一緒に過ごせるだけで満たされるし、晴れた日ってだけで十分で。本当に、一人の人間として以前よりずっと大きな満足感を感じているんです。その上で、これからも音楽をつくり続ける機会をもらえるなら、それはもう「ボーナス」みたいなものというか。ただ、コミュニティーに属しているという感覚や居場所があることを、これからも感じていたいなとは思います。

——個人的な体験や、時に生々しい感情までも曲にすることに、ためらいを感じることはないですか。そうやってありのままを表現することこそが、ステラさんにとって重要なのでしょうか。

ステラ:私にはそのやり方でしか音楽がつくれない気がする。何か感情が湧き上がってきたら、それについて書かなきゃいけないし、それが私にとっての“基準”なんです。自分が正直でいられているなら、正しい音楽をつくれていると分かるから。だから、気の利いたつくり話をするよりも、ありのままの生々しい自分を出す方が、私にとっては案外簡単なんです。

——一度立ち止まって日常を取り戻し、全ての経験を振り返ったことで、今のステラさんはご自身をどのように捉えていますか。

ステラ:「本来の自分に戻れた」って感じかな。少し自分を見失っていた時期もあったけれど、「Thrush Metal」(※初期のEP作品)を書いた頃の自分に近付いた気がしていて。もちろん、新しく成長した自分でもあるけど、でも、クレイジーな時期を何とか乗り越えて、ようやく答えを見つけられた気がする。そもそも、西オーストラリアを飛び出して、アルバムを出して、世界中をツアーするなんて、本当に正気の沙汰じゃないというか(笑)。自分の人生でそんなことが起きるなんて、全く予想もしていなかったし。だから今、その全ての経験をようやく消化し、整理する時間が持てたんだと思います。

音楽業界の変化

——ところで、最近のライブではチャペル・ローンの「The Subway」をカバーされてますよね。別れた恋人への未練と喪失感を歌った曲ですが、ステラさんにとってはどんな曲なんですか。

ステラ:あの曲、すごく大好きなんです。チャペル・ローンがクィアの視点にフォーカスしていて、とてもフェミニンなところが素晴らしいなって。あの曲を選んだのは、オーストラリア・ツアーでサポートアクトを務めてくれたウラ(Ullah)の歌声が本当に素晴らしかったからで。彼女と一緒に歌って、彼女の歌声がいかに美しいかをみんなに知ってもらいたかった。そのためにあの曲は完璧だと思いました。それに、ステージにはたくさんの女性が立っていて、曲の最後には女性のコーラスがいっぱい入るので、「これは私たちにぴったりだ!」って。本当に素晴らしい曲。彼女は最高のポップミュージックを書きますよね。

——チャペル・ローンといえば、昨年のグラミー賞の受賞スピーチで、音楽業界に対してアーティストの労働環境の改善を訴えたことが反響を呼びました。そうした彼女の姿勢にも共感するところが大きいですか。

ステラ:ええ、本当にその通りですね。正直なところ、私は音楽業界にいるほぼ全ての女性とつながっていると感じています。私たちはみんな、常に壁を押し除けて進もうとしているから。だから、彼女が自分のプラットフォームを使って、さらにその壁を押し広げようとしているのは、本当に素晴らしいことだと思います。

——ステラさん自身、デビューした頃と今を比べて、音楽業界の変化を感じるところはありますか。

ステラ:オーストラリアでは良い方向に変わってきていると思います。ただ、また別の問題がオーストラリアの音楽業界に打撃を与えているのも事実で。気候変動の影響で、オーストラリアのフェスの85%がなくなってしまいました。日本でも同じような状況か分からないけど、悪天候や保険、資金難などが原因で、フェス全体の15%しか残っていないんです。そういう意味では、以前とは少し状況が違います。

ただ、女性アーティストや黒人アーティスト、トランスジェンダーのアーティストに対する「機会」という点では、間違いなく状況は改善されていると感じます。とはいえ、私が音楽を始めた頃とはまた違う種類の壁に、今は直面しているんですけどね。

——ところで先日、スネイル・メイルのリンジー・ジョーダンに話を聞く機会があったのですが、そこで彼女は「“sad girl”の枠組みから飛び出したかった」と語っていて。つまり、“悲しみを歌う女性インディー・アーティスト”――ステラさんもまた、そうしたカテゴライズで語られてきたこともあったと思いますが、それについては率直にどのように感じてこられましたか。

ステラ:そうですね……まだまだ改善の余地はあると思います。というか、私自身がまさに“sad girl”のアルバムを書いたばかりなので、その状況を打破するのには全く貢献できていないんですけど(笑)。でも、リンジーが言っていることはすごくよく分かります。「自分らしくありたい」「枠にはめられたくない」「女の子だから悲しい歌を書かなきゃいけない」と強制されたくない、ということですよね。だから彼女の言葉には完全に同意します。

結局のところ、それは「オーセンティシティ(自分らしさ、本物であること)」の問題なんです。男性と同じように、クリエイティブな機会をたくさん持てること。そして純粋に「自分の言いたいことを言える」環境があること。私自身、常にそうあろうと心がけています。「この曲は悲しい」「この曲は怒っている」「この曲はハッピー」という風に。私の中には、処理しきれないくらいたくさんの感情があるから。

物事は期待通りには進まない

——デビュー作の「Beware of the Dogs」(2019年)に代表される初期の頃は、家父長制や「有害な男らしさ(Toxic Masculinity)」といった社会の不条理に対する鋭い批評性が高く評価されていましたよね。そこから今作のような、極めて個人的で内省的な作風へと変化したのは、意識的なシフトだったのでしょうか。それともごく自然な流れでした?

ステラ:最初のアルバムでは、外に向かって指を差すようなことが多かったんです。「これがおかしい、あれがおかしい」という風に。でも、どこかの段階でその指を自分に向け直して、自分自身に鏡を突きつけ、その状況における「自分」を問い直す必要を感じて。今の私は、それができたと思っています。そして次のアルバムでは、再び外に向かって指を差すようになっている。ただ、以前のようにただ指摘するのではなく、もっと「観察者」としての視点に近いというか。さまざまな視点や物語を、より多く取り入れているような感じです。

——初期の作品から感じるステラさんの強さは、社会の不条理に対して“声を上げる”という性質のものだったと思うんです。でも今作からは、痛みを抱えたまま“壊れた状態を受け入れる”という、全く別の「レジリエンス(回復力)」を感じます。自分の中で、この数年間で“強さ”の定義が変わったようなところはありますか。

ステラ:「レジリエンス」が形になるには、時間が必要だと思います。レジリエンスって、実は「時間をかけて培われる強さ」のことですよね。私はそういう風に捉えていて。だから今、ミュージシャンとしてより強いレジリエンスを持てていると感じるんです。

かつてと同じような名声はないかもしれないけれど、ミュージシャンとしての芯は今の方が強くなっている気がします。なぜなら、必ずしも商業的なポップ・アルバムではないけれど、自分にとって「本物だ」と感じられるレコードを出せたから。そのことが私に力をくれたんです。アーティストとしてのレジリエンスとは、そうした“自分の直感を信じ抜くこと”なんだと思います。

——同じように人生の節目で戸惑い、大切な関係を失ったリスナーに、今作から何を受け取ってほしいですか。

ステラ:もし、その痛みを“置く場所”を見つけられるなら……それが他人を愛することであれ、絵を描くことであれ、何であれ、痛みのやり場を見つけることが大切だと思います。私自身について言えば、自分が経験していたあらゆる思考や痛みを“置く場所=音楽”があったことが本当に救いになりました。それが、あの時期を乗り越える助けになったんです。

このアルバムは「最悪だった休暇先から届いたポストカード」みたいなものだと思っていて。「私の悪夢からのポストカード」と言ってもいいかもしれないけれど(笑)。でも、それはそれでいいんです。私たちは同時にたくさんの感情を抱えられるから。喜びと痛みの両方を、同時に胸の中に持っておくことができる。これが良いアドバイスになるかは分からないけど……なんだかすごく仏教的な考え方ですよね(笑)。

——音楽を始めた頃の自分に、今の自分が言葉をかけるとしたら?

ステラ:そうだな……「自分の直感を信じて」と伝えたい。自分が「こうなるだろう」と期待した通りには物事は進まないから。右へ左へと曲がりくねっていくことになるけど、それでいいんです。あまり計画を立てすぎないこと。特にコロナ禍が、私たちに「計画なんて立てられない」ってことを教えてくれたから(笑)。

「一つのスタイルに絞れない自分」

——では、最後はカジュアルな質問です。今日のスタイルも素敵ですけど、ファッションのポイントを教えてください。

ステラ:今日のムードは、「ちょっと遊び心を効かせる」かな。普段はこういうトラックスーツに、このブーツは合わせないんですが、なんだか今日はジョッキーみたいな気分で(笑)。だから、着心地の良さをキープしつつ、ちょっと面白い組み合わせで遊んでみたかったんです。

——日本の街を歩いていて、行き交う人のファッションに目が留まったりすることもありますか。

ステラ:もう本当にたくさんありますよ! 駅に座っていると、道行く人みんなの写真を撮りたくなるくらい。日本のみんなのファッションやスタイルは本当に素晴らしいです。日本にいると、誰もが細部にまでこだわっているのがわかる。もし日本の方がオーストラリアに来たら、「なんてみすぼらしいんだ」「ラフすぎる」「全然おしゃれじゃないな」って思うんじゃないかな(笑)。それくらい、日本のファッションにはすごくインスパイアされています。

——日本のファッションのどんなところがいいな、って思います?

ステラ:レイヤードのスタイルがすごく好きですね。それに、日本の服は本当につくりがしっかりしていて、シルエットも素晴らしい。オーストラリアの服のカットは、悪く言えばちょっと退屈なんですが、日本の服のカットはもっとボクシー(直線的でゆったりとしたシルエット)だったり、面白みがあったりして。日本の服の方が、色々なアイテムをずっとうまく組み合わせられる気がします。オーストラリアで本当に素敵なコーディネートを見つけようとすると、かなり苦労するから(笑)。

——ちなみに、普段はどんなところで買い物をしてるんですか。好きなデザイナーなどはいますか。

ステラ:正直なところ、私はほとんどスリフトショップ(古着屋)でしか買い物をしないんです。休日は古着を見て回って過ごすことが多くて。でも、面白い古着を見つけるとうれしくなりますね。自分のスタイルとしては、フェミニンな要素とマスキュリン(男性的)な要素をミックスして遊ぶのが好きで。例えば、ちょっと可愛らしいトップスを着たら、ボトムスはジーンズにしてみるとか。そういう風にして、着こなしにちょっとした面白みを持たせるようにしています。あとは……ボーイフレンドの服をよく拝借していますね(笑)。

——例えば、自分が身につけるものと、ステラ・ドネリーが鳴らしている音楽の質感には、何か共通するこだわりはありますか。

ステラ:その日によって全然違うところかな(笑)。毎日違うストーリーを語りたくなるんです。「一つのスタイルに絞れない自分」にちょっとイライラすることもあるけれど、もう「これが私なんだ」って受け入れるようにしていて。これって、私の音楽づくりと同じなんだと思います。一つのジャンルやスタイルに留まっていられなくて、色々と試してみたくなる。本当にすぐ飽きちゃうタイプなんです(笑)。

PHOTOS:YOSHITAKE HAMANAKA

「Love and Fortune」

■ステラ・ドネリー 3rdアルバム「Love and Fortune」
01. Standing Ovation
02. Being Nice
03. Feel It Change
04. Baths
05. Year of Trouble
06. Please Everyone
07. W.A.L.K
08. Friend
09. Ghosts
10. Love and Fortune
11. Laying Low
12. Fog Light*
13. White Rd*
*日本盤ボーナス・トラック
https://bignothing.net/stelladonnelly.html

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