PROFILE: 左:MEGUMI/プロデューサー、俳優、タレント、実業家 右:Awich/アーティスト、ラッパー
シーズン1の成功から驚異的なスピードで、さらにスケールアップして帰ってきたNetflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」シーズン2。今回は舞台を沖縄へと移し、より深く個人の再生やリアルな人間模様に迫るドキュメンタリーとしての強度を増している。 プロデューサー兼MCを務めるMEGUMIと、新MCとして加わった日本を代表するフィメールラッパー、Awich。枠にとらわれない表現で多くの女性をエンパワーメントする2人に、本作に込めた並々ならぬ思いや制作の裏側、そして沖縄という舞台とカルチャーがもたらした強烈な化学反応について聞いた。
シーズン2への重圧を打ち破った
スタッフたちの熱狂
——前作の成功があるからこそシーズン2制作は「怖さ」もあったと思います。どう向き合い、乗り越えたのでしょうか。
MEGUMI:恐怖はね、最初の瞬間はもちろんありました。でも、やっぱりそこにとらわれていてはいけないので、「面白いものを作ろう」というマインドにシフトしました。制作をしていくうちに、またすごい人たちが集まってくれたなという実感が湧き、シーズン2への自信にどんどん繋がっていったんです。今回は学校を沖縄に移しました。外観もすべて塗り直して、中のしつらえもとんでもないスケールの美術になっていて、スタッフのみんなもワクワクしていたんですよね。
——現場の熱量が映像からも伝わってきます。
MEGUMI:みんなの恋愛模様を見ていく中で、スタッフさんも泣いたり笑ったり、みんなを抱きしめたりと家族みたいになっていて。最後、卒業した子たちに対して号泣してお別れしているのを見た瞬間に、「もう、大丈夫かも」と思えたんです。モニター室があるんですが、そこでスタッフが立ち上がって「頑張れ!」って応援していたり。本当に昔、テレビが何軒かに1台しかない時代に、人が集まって「ワーッ」と観ているくらいのテンションでワサワサと熱狂しているんですよ。これまで映画やドラマを作ってきましたが、ここまでみんなが震えながら応援しているのは初めての体験で、その経験の一つ一つが「大丈夫なはず」という自信に変わっていきました。
——今回は出演者の全国オーディションを開催されたとのこと。何が印象的でしたか?
MEGUMI:目の前でバチバチに喧嘩する子もいましたね。でも一方で、地元の介護の事情をオーディションでしっかり話してくれる子もいたんです。地方に行けば、今まで出会ったことのないような方々に出会えるかなと思っていましたが、まさにその通りでした。
新MC・Awichの参加
「良き通訳者」としての覚悟
——Awichさんは新MCとしてオファーを受けたとき、どう思われましたか?
Awich:シーズン1が人気だったのでオファーをいただく前から観ていました。「めっちゃ面白いやん!」と思っていたところでの依頼だったので、最初は「えっ! 私ちょっとできるかどうかわかんない」と思っていましたね。プレッシャーすぎて。
——MEGUMIさんから見て、さまざまな逆境をくぐり抜けてきたAwichさんがMCに加わったことは、番組にどのような強さをもたらしたと感じますか?
MEGUMI:ヒップホップというめちゃめちゃ男社会の中で、それでも女性として「私つらいの」と嘆くのではなく、「みんな行くぜオラ!」というメッセージを伝えるパイオニア的な存在ですよね。それに、お母さんでもある。今回は女の子メンバーがめちゃくちゃ強いんですけど、彼女たちが「なぜこうなっているのか」という背景を理解し、包み込む愛とのバランス感覚を持てるのはAwichさんしかいないと思って、思い切ってオファーさせていただきました。ご自分のこともすごく開示してくれて、「ヤンキーはまっすぐで筋が通ってるから、自分もそれに合わせていかないと」と新しい意気込みで来てくださったんです。
Awich:生半可な気持ちではできないなと思ったんです。反骨精神を持って生きている人たちの、本当に「良き通訳者」でいなければならない。みんなが勇気を持って自分のストーリーや感情をさらけ出している中で、私はゆっくりソファーに座って知らん顔で偉そうなことは言えません。私の赤裸々な話もしながら、みんなの気持ちが世間に伝わるように臨みました。
傷をケアする「回復共同体」
1回で終わらせない社会へ
——作中でメンバーたちが車座になって対話する「道徳の時間」は、映画「プリズン・サークル」で受刑者同士が対話で傷や過去を探る「セラピューティック・コミュニティー(回復共同体)」のようでもありました。この時間にプロデューサーとしてどのような思いを込めましたか?
MEGUMI:私は周りにそういう人がいたから、彼らのキュートさや、本当はピュアだからこうなっているとか、深い傷があるからこその行動だという理由は分かっていました。でも、当然そういった背景が分からないままエンタメとしてシーズン1を楽しんでくださった方もいっぱいいます。 シーズン2では、シーズン1を超える意味でも、彼らのより本質的な部分をもう一段みなさんにお届けするために、ドキュメンタリーとしても強化したかったんです。だから「道徳の時間」をしっかりと授業としてとり、みんなの前で話してもらいました。それによって仲間意識も育まれ、今までの悲しみを乗り越えて手放し、次に行こうとする「作品を超えた人としての良き時間」になればいいなと。回を重ねるごとに感じられるみんなの晴れやかな顔も、自分の過去や弱さを開示して次に行けたからだと思います。
——Awichさんは「個人の再生」や「傷のケア」という観点をどう観られましたか?
Awich:日本って「1回捕まったらもう終わりでしょう」みたいに、刑務所に行く意味が「更生」だとは思われていない風潮があると感じます。1回過ちを犯した人は受け入れません、という空気ですよね。でも今回、その過ちがどうして起こったのか、そこからどうしていくのかを各々が受け止めていく場面がいっぱいあったと思います。 もちろん過ちは起こさない方がいいに決まっています。でも、いろいろな要因があって起きてしまうということを、私たちはもっと理解しないといけない。その原因がある社会についてみんなで考える機会になればいいなと思います。共感を持って「なるほどね」と言ってあげること、そして「はい、ダメ」ではなく「じゃあどうしようか」と考えてあげられる世の中になればいいなと考えていましたが、本作はその一助になってくれると思います。
沖縄のチャンプルー文化と
独自の「ヤンキーカルチャー」
——今回、物語の舞台を沖縄に選んだ理由を教えてください。作中で沖縄の伝統文化や歴史に触れています。エンタメを通じて沖縄のことを伝える意義をどう感じていましたか?
MEGUMI:シーズン1を作って学んだのは、恋愛を軸に置きながらも、彼らの成長と「今置かれている社会問題」を映す役目があるということでした。沖縄には良い歴史も、壮絶な歴史もあります。課外授業としてそこに触れて対話をすることで、「自分が置かれている状況はいかにありがたいか」と気づく子もいました。それを説教がましくなく視聴者の方にお伝えする意義があると思い、意図的に組み込みました。
——戦後沖縄は基地由来の事件・事故という重い現実がある一方で、異国文化を吸収した「チャンプルー文化」や多様なルーツが共存する場所でもあります。 単なる「明るいリゾート」でも「悲劇の島」でもない、怒りや悲しみ、たくましさが絡み合う「一言では括れない沖縄の複雑なアイデンティティー」について、沖縄出身のAwichさんはどう捉えていますか?
Awich:私はまさに沖縄のそこが大好きなんですよ。いろんな痛みを経験してもなお、「人を愛そうよ」という精神を持っている。「いちゃりばちょーでー(=ここに居合わせただけでもううちらは兄弟でしょ)」「ゆいまーる(=みんなで働けばすぐ終わるでしょ)」という精神。これを、メンバーたちも見せてくれたなと思いました。それも押し付けがましくなくできていて、本当に素晴らしいなと思いました。
MEGUMI:うれしい!
Awich:私もそういうことをずっとやってきたし、これからもやっていこうと思っているので、そういう意味では今回この場にいられて、コメントできる立場になれてよかったなと思います。
——「ヤンキーカルチャー」に関しても沖縄には独自のものがありますよね。Awichさんの目から見てそれはどのような空気感や特性があるのでしょう。
Awich:地元の学校のヤンキーカルチャーにはめっちゃ憧れていました。私の通っていた学校にはなかったのですが、「あしばー(=不良や遊び人を指す言葉)制度」というのがあって。自分と相手で決めて「姉・妹分」「兄・弟分」という直属の先輩後輩関係を結び、忠義を尽くす家族みたいになるんです。 あとは「小麦粉戦争」って分かります?
MEGUMI:さすがに初耳です(笑)。
Awich:公園で小麦粉を投げ合って遊ぶっていう。「お前は小麦粉何キロ持ってこい」と言われ、妹分は姉のために集めるんです。今は沖縄でもやらなくなりましたが、当時は私もやりたくて、妹分になりたくて。なれなかったんですけど(笑)。
SPEEDの主題歌と
剥き出しのエネルギー
——今回、主題歌がSPEEDに決まりました。楽曲が作品に吹き込んだエネルギーがまた素晴らしいです!
Awich:最初は、シーズン1の「Love again」のつもりでスタジオに来ていたから、新しいオープニングにびっくりしたんですけど、沖縄でSPEEDが流れるの、めっちゃうれしかったです! しかも「Body & Soul」が一番好き!
MEGUMI:エグゼクティブプロデューサーの太田さんと「SPEED先生しかいないでしょ」と話をしていて、サプライズ的に「バン!」を使わせていただきました。毎回この番組において主題歌は、ちょっと笑ってちょっと泣ける、懐かしくて嬉しい気持ちをくすぐりたくて。
Awich:みんなの教室入りの初登場シーンも、1曲1曲その人のストーリーをリリック(歌詞)にして作っていますよね。あれめっちゃすごいと思います。
MEGUMI:よく気づいてくれました! そうなんです、シーズン1から登場シーンはその子のテーマソングとして贅沢に作っています。
嘘のない恋愛観
「ありのままで生きたい」
——今作のメンバーの熱量や不器用さなど、印象的だった恋愛のエピソードはありますか?
Awich:私は「あっすん」と「まーくん」の、最初から一途で両思いの強さが、本当に恋愛しに来ているんだなという熱量の高さが伝わってきて、素敵だなと思いました。あと「るる」も好きなんですよ。正直に「私浮気するんです」と無邪気に自分の性質を言って、ありのままの自分を認めてほしいという気持ちが私にはすごくわかって。
MEGUMI:共鳴していましたもんね。
Awich:「ありのままに生きたい」ってことなんですよね。
MEGUMI:男の子の一途さは確かにいいですよね。「坊」も、一番最初のオーディションの時はすごい素朴で可愛らしい子という印象だったのに、実は刑務所に入ったことがあるという経歴で。みんな好きになるだろうなと思ったし、私も大好きでした。 メンバーを決める時って恋愛の相関図はイメージできていなくて、最後の最後まで、本当に卒業式まで誰がどうなるかマジでわからない人たちなんです。だからこそ、どうやって始まるかもわからないリアルな展開を楽しんでいただけると思います。
PHOTOS:TAKUYA MAEDA(TRON)
HAIR & MAKEUP:[MEGUMI]MEGUMI KATO、[Awich]Chihiro Yamada
Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」シーズン2
◾️Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」シーズン2 独占配信中
企画・プロデュース:MEGUMI
MC:MEGUMI、永野、Awich
主題歌:「Body & Soul (Remastered 2026)」 SPEED
エグゼクティブ・プロデューサー:太田大(Netflix)
プロデューサー:緒方夏子
演出:木村剛
総合演出:池田睦也
制作プロダクション:スタッフラビ
製作:Netflix
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