業績が低迷するケリングで人事改革が続いている。米「WWD」が入手した複数の関係者からの情報によると、同社で最も著名かつ実績ある幹部の一人であるフランチェスカ・ベレッティーニ(Francesca Bellettini)=ブランド開発担当副CEOが傘下ブランド「グッチ(GUCCI)」の次期CEOに就任するようだ。実現すれば、1日1日付で副CEOから昇進したステファノ・カンティーノ(Stefano Cantino)CEOは、わずか9カ月でブランドを去ることになる。ケリングは現在契約の最終調整中とみられ、早ければ今週中にも正式に発表される可能性がある。ただし、現時点で「グッチ」およびケリングの担当者はコメントに応じていない。
彼女の任命は、9月15日付で着任したケリングのルカ・デメオ(Luca de Meo)新CEOが下す最初の最も重要な決定の一つになる。デメオCEOは先週、経営不振のラグジュアリーグループに対する再生計画に年内に着手すると表明していた。なかでも、主力ブランドである「グッチ」の軌道修正を迅速に進めることは、デメオCEOの最優先課題の一つだ。ケリングは同ブランドの急激な売上減少と膨れ上がった負債により、25年1~6月期(上半期)のグループ全体の純利益が44.4%減。店舗閉鎖や不動産売却、人員削減を余儀なくされている。関係者によると、「グッチ」のアルベルト・ヴァレンテ(Alberto Valente)最高財務責任者(CFO)も退任する見通しだという。
フランチェスカ・ベレッティーニ氏の実績
ベレッティーニ副CEOは、投資銀行家としてキャリアをスタート。1999年にプラダ・グループ(PRADA GROUP)に入社し、事業企画開発部に配属された後、「ヘルムート ラング(HELMUT LANG)」のオペレーション・マネージャーに就任した。2003年にケリングに入社し、「グッチ」のストラテジック・プランニング・ディレクターおよびアソシエイト・ワールドワイド・マーチャンダイジング・ディレクターを歴任。「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」を経て、13年に「サンローラン(SAINT LAURENT)」のCEOに就いた。当時クリエイティブ・ディレクターを務めていたエディ・スリマン(Hedi Slimane)と共に仕事をした後、16年にはエディの後任としてアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)を任命。関係者によると、彼女は在任中にビジネス規模をおよそ6倍に成長させたという。
そして、23年7月からはケリング副CEOも兼務し、ブランド開発を担当。昨年には、フランソワ・アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)会長兼CEO(現在は会長)と共に、「グッチ」「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「ボッテガ・ヴェネタ」「ブリオーニ(BRIONI)」「サンローラン」における新たなクリエイティブ・ディレクターやCEOの人事を主導した。25年1月には「サンローラン」のCEO職を退き、現在は全傘下ブランドの統括業務に専念している。