韓国の人気アイドルグループENHYPEN(エンハイプン)は、3度目のワールドツアー「ウォーク ザ ライン(Walk The Line)」でアメリカを訪れ、ロサンゼルスのBMOスタジアムで観客を大いに盛り上げた。同ツアーは、2024年の10月から韓国でスタートし、すでに日本、フィリピン、タイでの公演を終えている。
2025年は、メンバー全員にとって重要な節目の年に違いない。4月にはフェス「コーチェラ」デビューを成功させ、6月には6枚目のミニアルバム「Desire:Un leash,(原題)」を発売、さらに今年は記念すべきデビュー5年目の年でもある。
彼らがアメリカに降り立ったのは、日本での追加公演の後だった。ツアーはこれから、初のヨーロッパを回り、シンガポール、韓国でのアンコール公演によって終演を迎える予定だ。メンバーのジェイ(Jay)は、「アメリカのツアー期間はすごく短かったけど、最終日に初めてスタジアムでパフォーマンスをできたことは、とても意味のある新鮮な経験だった」と語る。
ENHYPENはロサンゼルス公演の翌日、米「WWD」とのインタビューでツアーに欠かせないアイテムやツアーバッグの中身を明かしてくれた。「なんか犯罪現場の撮影みたいですね」とジョンウォン(Jungwon)は笑いながら、各バッグの中身を写真に収める私たちに言った。
ジョンウォン
ジョンウォンは、長い旅だから、と「サムスン(SAMSUNG)」の“ギャラクシータブ(Galaxy Tab)”、「ジンズ(JINS)」のメガネ、そして「プラダ(PRADA)」のお財布を持参した。さらに、耐熱ナイロンと高品質なイノシシ毛で作られたヘアブラシ「フィールナップ(FEEL NAP)」も共有してくれた。
WWD米国版(以下、WWD):新しい都市のホテルに着いて、部屋で初めにすることは?
ジョンウォン:いつも部屋の照明を全部チェックします。どんなタイプがあるのかを確認してから、いったん全部の明かりを消します。時々、照明のリモコンが使えない部屋があって、明かりを付けたまま寝たことがあるのですが、あの時以来、必ず確認するようにしています。
ニキ(Ni-ki):僕も一緒です。
ソヌ(Sunoo):僕は部屋に入ったらまずカーテンを閉めますね。
WWD:ファンの方がバッグの中身を見て驚きそうなものは?
ジョンウォン:イノシシ毛のヘアブラシだと思います。とかしやすいし、髪にも良いです。試してみるべきですよ。私たちのヘアメイクチームが勧めてくれたんです。本当に良いです。今回の旅行にはタブレットやライブ配信用の予備スマホなど、たくさんの電子機器も持ってきました。
ヒスン(Heeseung)
ヒスンは新しい「プラダ」のバッグの中身を確かめながら「普段使う本物…」と呟き、サングラス、「クロムハーツ(CHROME HEARTS)」のレンズクリーニングクロス、「プラダ」のリップバーム、「タンバリンズ(TAMBURINS)」のエッグパフューム(香りは”カモ”)を取り出した。WWD:アメリカ公演での一番の思い出は?
ヒスン:個人的な話になりますが、ヒューストンでヒューストン ロケッツ コート(Houston Rockets’ court)に行きました。そこの担当者がNBAのトレーニングも手伝っていて、うちの警備員の1人もNBAで働いていて「ヒューストン ロケッツ」所属のケビン・デュラント(Kevin Durant)選手とプレーしたことがあるから、彼らとバスケットボールをしたのは本当に思い出深いです。
WWD:バスケットボールは得意?
ヒスン:(笑いながら) 今回はうまくできましたよ。
WWD:新しい都市のホテルに着いて、部屋で初めにすることは?
ヒスン:まずエアコンの電源を切ります。暑い都市のホテルに滞在するとき、事前に部屋が寒く設定されているので、エアコンをオフにします。
ジェイ
ジェイは大きな「プラダ」のダッフルバッグを持ち込み、中を漁って今回のツアーに持参した3つのアイテムを取り出した。最初に引っ張り出したのはデンタルフロスの袋だ。「毎日使っています。これは本当に必須アイテムです」と伝えてくれた。さらにフランス語の教科書も見せてくれた。初のパリ公演でフランス語を話す予定か、と尋ねられると、「今はまだ頑張っているところです。6~7回しかレッスンを受けていないから、ツアーの合間に勉強しています」と語った。次に取り出したのはギターピックが詰まった缶ケース。彼のギター愛好家としての側面や、今回のツアーで披露している「Blessed-Cursed(原題)」のギターソロを考えれば、これはそれほど驚くべきアイテムではない。
WWD:今回のヨーロッパツアーで楽しみにしていることは?
ジェイ:初めて訪れる街では、地元のお店でローカルな雰囲気を味わいたいと思っています。今回のヨーロッパツアーでは、ロンドンには行ったことがあるけど、ほかの新しい街でファンの人がライブをどう楽しむのか、ほかの街とどう違うのかを探すのが楽しみです。
WWD:人混みの中でも、ENHYPENのファンだと気付かせるアイテムは?
ジェイ:トウモロコシかな。ファンの方々は、トウモロコシのぬいぐるみやトウモロコシヘルメットを持参しています。前にトウモロコシの衣装で(コンサートに)来てくれた人もいますよ。
ソンフン(Sunghoon):ファンの人たちはよく”If You Say”(2024年にリリースした楽曲「XO (Only If You Say Yes)」)が書かれたTシャツも着ていますよ。昔、僕たちが似たようなデザインのTシャツを着ていました。
ヒスン:僕は最近まで髪が赤かったんですが、この前、髪を赤く染めたファンの人を見かけました。時々、僕たちが昔していた髪色で来てくれる人もいます。
ジェイク(Jake)
ジェイクは日本で買ったイタリアのレザーブランド「グイディ(GUIDI)」の黒いクロスボディーバッグを持って入ってきた。アイテムは全て、自分自身に関係のあるブランドだと笑いながら言う。「『サムスン』、『プラダ』、『「ティファニー(TIFFANY & CO.)」とかですね」。ジェイクは、アンコールのような時にファンの服装の変化に気づく、と続ける。「ファンの人たちの服装やアクセサリーは、僕たちが着けていたものと同じものを着けていたりします」。
WWD:これまでに数多くのツアーを経験しているが、経験から言えるアドバイスは?
ジェイク:みんなに当てはまるかはわからないですが、僕たちは引っ越しのような長旅が多いから、よく預け荷物を先にまとめて、機内用の手荷物はすぐに取り出せるようにしなきゃいけない状況になります。だから前夜には、帽子から靴下まで一式の服を準備してベッドの上に置いておきます。学生時代を思い出します(笑)。
WWD:パッキングが一番上手なメンバーと一番時間をかけるメンバーは?
ジェイク:最近はみんな上手だと思います。ただ、今回のツアーで僕が後悔しているのは、枕を持ってくるべきだったってことですね。枕って本当に大事で、ホテルごとに全然違うからちょっと寝心地が悪かったです。
ジェイ:ソヌ以外のみんなはちゃんと荷造りしていたと思います。ソヌは半袖しか持ってこなかったんです(笑)。
ジョンウォン:ヒスンもよく物忘れすると思います・・・ズボンとかね(笑)。
ヒスン:その話はするつもりなかったんだけど(笑)。でも本当に疲れていたんですよね。次の日の服を準備しなきゃいけなかったのに、ズボンを預け荷物に詰んじゃって。結局メンバーから借りることになりました。
ソンフン:そのズボン、まだ持ってるんですか?
ヒスン:いや、もちろん返したよ!ズボンなしで空港に行くところだったんだから。
ソンフン
ソンフンはどのアイテムを共有するか考えながら、あえて時間をかける。「僕を象徴する物…帽子、メガネ?他に何があるかな…香水はありきたりすぎる。ああ、プロテインバーだ!」そう言いながら一つずつ取り出す。好きなプロテインバーを尋ねられると、特に決まっていないと明かす。「何でも食べます。でもこれは昨日会場の楽屋にスタッフが置いてくれたものの1つだから、いくつか持って帰りました」と説明してくれた。
WWD:アメリカ公演での思い出は?
ソンフン:BMOスタジアムには個人的な縁を感じます(笑)。(サッカー選手の)ソン・フンミン選手がここでプレーしていますからね。ユニホームもリクエストしたので、良い思い出になりました。
WWD:そういえば、番組で彼のゴールパフォーマンスをカメラに向けて披露していましたね。今回のツアーではオーラファーミング(SNSでトレンドのミーム)のネタも続けていますし
ソンフン:(笑)一度やっただけなのに、ファンの皆さんが「オーラファーミングして!」ってプラカードを持ち続けてくれるんです。だから続けているんですよ。
ジェイ:トレードマークになっちゃったね。
ソンフン:ライブに持ってきてくれるプラカードは、いつも「オーラファーミング」か「筋肉見せて」のどちらかなんです。持ってくる私の写真も全部、筋肉見せポーズばかりなんです(笑)。
ソヌ
ソヌはカラフルなキーホルダーやアクセサリーが付いた「プラダ」のリュックサックを持って入ってきた。「もらったキーホルダーを集めています」その中には「ダークムーン(ENHYPENをキャラクター化したアニメ)」シリーズのキーホルダー“バターベア”や、ソウル市のマスコットキャラクター“ヘチとソウルフレンズ”のキャラクターも含まれている。ENHYPENは最近、ソウル市の公式文化大使に任命されたばかりだ。
WWD:ツアー公演前や公演後のルーティンで何か特別なことは?
ソヌ:最近はスポーツマッサージを受けています。発声練習も。特に変わったことはしてないと思います。
WWD:あなただけの特別な持ち物は?
ソヌ:香水と財布…あ、このクレヨンしんちゃんポーチも。ビタミンを入れて持ち歩いてます。あと「 Let’s Meet in Our Paradise(原題)」という本も。最近読んでいて楽しいです。
ニキ
他のメンバー同様、ニキにも彼らしさがにじみ出る、独自のスタイルがある。「クロムハーツ」の“マッティボーイ・トラッカーハット”から、昨年のソロ曲「HUMBLE.(原題)」のダンス動画で着用した「クロムハーツ」のサングラス、そして「キャノン(CANON)」のデジタルカメラまで、「アクネ ストゥディオズ(ACNE STUDIOS)」のバッグから取り出すアイテムはどれも紛れもなくニキのものだった。
WWD:ツアー中に習慣になったことは?
ニキ:ライブの前後には、ファンの反応をチェックするのが好きです。(SNSに)すぐに投稿してくれるので、自分のパフォーマンスを確認することが多いです。サウンドチェックの様子もたくさん投稿されていて、普段着がステージ衣装と全然違うので、ファンの皆さんが普段着を気に入ってくれるかを見るのも楽しみなんです。サウンドチェックはリラックスして楽しんでるから、ファンもそれを気に入ってくれてるみたいです。
WWD:観客の中で、特にファンだとわかるアイテムは?
ニキ:最近よく見かけるのは、僕のマイクに入っている“one of one”というデザインを、ファンの人がプラカードに書いて持ってきてくれたり、ペンライトに同じ文字をプリントをしたりしているので、ファンの人だと認識できます。