
7月7〜10日に開催された2025-26年秋冬オートクチュール・ファッション・ウイークは、デザイナー交代や戦略の見直しの影響を受け、「ディオール(DIOR)」や「ジャンポール・ゴルチエ(JEAN PAUL GAULTIER)」など常連ブランドが不在という少し寂しいスケジュールになった。そんな中で注目を集めたのは、一つの終わりと二つの始まりだ。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」は、15年からアーティスティック・ディレクターを務めてきたデムナ(Demna)によるラストコレクションを披露。一方、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」は、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)の後任グレン・マーティンス(Glenn Martens)によるデビューショーを開いた。さらに開幕前日の6日には、マイケル・ライダー(Michael Rider)率いる新生「セリーヌ(CELINE)」が26年スプリング・コレクションを発表。クチュールではなくプレタポルテだが、上々のスタートを切り、今季を象徴する話題の一つになった。
そのほか、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel)が初めてクチュール・コレクションを制作してから110年になる「シャネル(CHANEL)」や、ブランド設立50周年でクチュール始動からも20周年を迎えた「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVE)」は、メゾンのコードや美学を追求。「ロバート ウン(ROBERT WUN)」や「イリス ヴァン ヘルペン(IRIS VAN HERPEN)」は、それぞれの色濃い世界観で魅了した。(この記事は「WWDJAPAN」2025年8月4日号からの抜粋です)
「バレンシアガ(BALENCIAGA)」
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ファッションに変革をもたらした10年間の集大成
デムナにとって5回目のクチュール、そして「バレンシアガ」で手掛ける最後のコレクションは、これまでより洗練されたスタイルに重きを置いたもの。彫刻的かつ精緻な構造でありながらミニマルであること、そして軽やかさや快適さを表現することを探求した。これまでに用いたデザインや技術の応用と創業者やハリウッドの黄金時代へのオマージュを交えた10年間の集大成で、常識を打ち破りファッション史に残る一時代を築いた「バレンシアガ」での一章を締めくくった。移籍先の「グッチ(GUCCI)」でのデビューショーは、2026年3月になる予定だ。
COMMENT
私は「バレンシアガ」を愛しているし、最も美しいクチュールメゾンだと思う。ただ、そのコードは限定的。この10年間、私はコクーンやアワーグラスのシルエットに取り組んできたが、それだけでは十分ではなかった。そのため、たくさんの“デムナ”コードや私自身のパーソナルなスタイルを組み込む必要があった。(「グッチ」での)次の章には、これまでに使ったことや手にしたことがなかった多様なコードがそろっているという豊かさがある。私はシェフのような存在であり、料理を作るための材料が増えることはエキサイティングだ。
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