百貨店はその総合力を武器に、独自の価値創出に向けた取り組みを深化させている。サブスクリプションから循環型経済、心を動かす接客体験、デジタル強化に至るまで、多様なアプローチで消費者と新たな関係を築き始めている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月21日号からの抜粋です)
CASE 3
CIRCULAR ECONOMY
高島屋
スーツの循環を通じて
消費者と新しい関係築く
高島屋がスーツの循環プロジェクトに取り組み始めた。消費者のタンスに眠る着なくなったスーツを店頭で回収し、リサイクル素材に生まれ変わらせ、カジュアルウエアなどとして販売する。衣料品のリサイクルは各所で進んでいるが、スーツは手間暇がかかるため難しいとされてきた。これを取引先の技術を組み合わせて、ビジネスとして回る仕組みを作る。
スーツは通常の既製服に比べて、個々にカスタマイズされることの多いサイズの特性もあって古着としての再販売には向かない。再生素材にするにしても複数の素材が混じり合う商品が多いため、技術的な難しさもあった。一方でビジネスシーンのカジュアル化に伴い、家庭には着られないスーツが増えている。プロジェクトを主導する米島力伊バイヤーは「高島屋はたくさんのスーツを販売してきた。循環の課題に向き合わなければならない」と立ち上げ理由を述べる。
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