
百貨店はその総合力を武器に、独自の価値創出に向けた取り組みを深化させている。サブスクリプションから循環型経済、心を動かす接客体験、デジタル強化に至るまで、多様なアプローチで消費者と新たな関係を築き始めている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月21日号からの抜粋です)
CASE 5
COMMUNICATION
松屋
銀座の街で1世紀
感謝と恩返しの100周年販促
松屋銀座が開業100周年を迎えた。節目の年に「つなぐ・つながる・つなげる」をテーマに掲げ、顧客、地域、従業員を巻き込んだ多彩な施策を展開している。周年事業の核は、「松屋銀座らしさ」の再確認と、地域との共創を深めること。上期はこれまでの感謝を示す施策として、地元銀座との連携を意識した限定商品や特別企画を実施。下期には、「次の100年」へとつなげる取り組みを本格化させる。
社内においても「つながり」をキーワードにした取り組みを実施。昨年から約9カ月間の期間限定で、社員や取引先の販売員を対象にした部活動制度を導入し、約330人が参加した。その一環で立ち上がった「100周年企画検討部」は、100周年を盛り上げるために結成。その後も継続的にプロジェクトを推進し、企画を実現するために奔走している。その一員でもある米田洋子・松屋銀座本店 顧客販促部 顧客販促課 専任課長補佐は、「松屋には良い商品が多くあるが、まだお客さまに伝えきれていない」という思いから、顧客と売り場のクルーも参加する「みんなの!松屋銀座 大賞」を企画。食品やコスメ・ファッションなど5部門で投票を募り、創業日の11月3日にグランプリを発表する。「お客さまと一緒に100周年を楽しめていることを日々実感している」と笑顔を見せる。地域とつながる商品開発にも力を入れ、今春にはかつて話題となった「銀座コッペパンプロジェクト」を復活。銀座の名店とコラボしたコッペパンを販売し、好評を博した。
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