
百貨店はその総合力を武器に、独自の価値創出に向けた取り組みを深化させている。サブスクリプションから循環型経済、心を動かす接客体験、デジタル強化に至るまで、多様なアプローチで消費者と新たな関係を築き始めている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月21日号からの抜粋です)
CASE 6
INBOUND
三越伊勢丹
海外顧客のエンゲージメント
アプリで常時接続
三越伊勢丹ホールディングスが、「個客業」への転換を一段と加速させている。「識別化してつながった私たちのお客さま=個客」に向けてよりパーソナライズされた価値の提案を行うビジネスモデルを推進。今後は海外顧客にも本格的に広げていく。
その要となるのが、アプリの活用だ。これまで国内顧客向けのアプリ「三越伊勢丹アプリ」を通じて識別化し、国内客それぞれの関心事や悩みを可視化することで、よりパーソナルなマーケティング施策を展開してきた。特にコロナ禍以降、こうした取り組みは着実に成果を上げている。
訪日客に関しては、従来「一期一会」の関係にとどまり、個別のニーズを把握した販促活動が難しかった。そこで、国内客同様のアプローチを図るべく、海外顧客向けのアプリ「MITSUKOSHI ISETAN JAPAN」を3月に本格展開した。為替や国際情勢など外部環境の影響を受けやすいインバウンド需要に対し、アプリを活用して継続的な顧客接点の構築を進める。「海外のお客さまの多くは1〜2週間の滞在中に複数回店舗を訪れる」(大嶋一秀 三越伊勢丹 営業本部 アプリビジネスグループ アプリ運営部マネージャー)傾向を踏まえ、初回来店時から関係性を築き、再来店や次回訪日時の再訪につなげる狙いだ。
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