ファッション
特集 令和のプレイングマネジャー 第5回 / 全18回

自然体で交流 でも親しき仲に礼儀あり【ウィゴー PR促進部 登美幸マネージャー】

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PROFILE: 登美幸/PR促進部 PR制作チーム マネージャー

登美幸/PR促進部 PR制作チーム マネージャー
PROFILE: (のぼり・みゆき)2010年に若槻千夏プロデュースブランド「ダブル シー」の大阪HEP FIVE店アルバイトスタッフとして勤務。12年正社員として入社、心斎橋OPA店の店長として勤務。14年「ダブル シー」「ウィゴー」兼任のプレススタッフとして東京オフィスに異動、上京。21年から現職 PHOTO : TAMEKI OSHIRO

現場と経営層とをつなぐ需要な役割を果たすのが、中間管理職(課長クラス)だ。プレイヤーでありながら、マネジャーとしてチームメンバーを鼓舞し、成果を出す――ファッション&ビューティ企業で活躍する、そんな「令和のプレイングマネジャー」たちに、マネジメントの秘訣を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月14日号からの抜粋です)

WEGO

ウィゴー(WEGO)」のプレストップを務める登美幸さんの、チームを引っ張る秘訣は、「自分自身が楽しんで仕事をすること」。「だって、誰も暗い人に付いていきたいなんて思わないじゃないですか。子どもが勝手に成長するように、部下も勝手に成長すると思うんです。細かいことよりも、自分が楽しく働くことが一番大事だと思っています」。登さんの言葉は直球で迷いがない。そのキャラクターが、「強烈なリーダーシップ」と評されるゆえんだ。

MY RULES

〇 自分を飾らない。常に自然体
〇 怒るときは怒る
〇 適度な距離感をキープ

「ダブル シー」で入社 悔しさもパワーに

幼少期は天真らんまんな性格で、学生時代はリーダータイプではなかったと振り返る。「中学校の部活はやる気のない卓球部で、先生の目を盗んでは友達とお菓子食べたりして(笑)。後に『小悪魔ageha』にハマって、あの格好がしたいがためにキャバクラでアルバイトしていました。とりあえずキャバ嬢の格好がしたいだけだったので、2時間くらいでさっさと帰っていましたね。やりたいと思い立ったらすぐ行動。今の仕事でも、決断力やスピード感は通じるかもしれないです」。

登さんは、大ファンだったという若槻千夏が手掛ける「ダブル シー(WC)」の店舗スタッフとしてウィゴーに入社。アルバイト時代の厳しい店長に上下関係をたたき込まれた。その後「ダブル シー」のプレスとして本社勤務へ。「当時『ダブル シー』への思い入れは強かったけれど、『ウィゴー』で働きたいという意識は正直なかったんです。ただプレスルームが隣だった関係で、いつの間にか『ウィゴー』の業務もぬるりと任されるようになって。最初はすごい反発していたんです。『いや、聞いてないし!』って。でも、あるとき園田(恭輔)社長に呼び出されて、『ウィゴーも頼むよ』と。正式に頼まれたらやるしかないと頑張れるタイプなんです(笑)」。

販促物の撮影やイベント企画など、ゼロからイチを生み出す業務の面白さに夢中になり、現在に至る。「当時の上司は結構厳しい人でした。でも私はメンタルがめちゃくちゃ強くて、むしろ悔しい気持ちがパワーになる。マネジャーを目指すつもりはなかったのですが、上司が退職したため、私が引き継ぐことになりました」。PRは園田社長の直轄だ。企画の提案はもちろん、こまめな報連相が信頼関係構築の土台になっていると言う。

後輩の成長にやりがい

現在は店舗やECで使用する販促物の制作、アーティストとのコラボ企画、店頭イベントの企画運営など、多岐にわたる業務を登さんが主導。4人の部下がアシスト業務やSNSの運用を担当する。プレイヤーの側面が大きいからこそ、部下の教育面は課題だと言う。「やっぱり、自分がやった方が早いことが多い。でも、それでは下は育たないまま。そのバランスはずっと課題な気がします。でも、後輩が前はできなかったことができるようになっているのを見たときはやっぱりうれしいですね」。

2024年春には9人組グローバルグループ、&TEAM(エンティーム)を起用した広告とコラボアイテム発売を実現するなど、プレイヤーとして多くの仕事を遂行しつつ、チームもドライブさせるコツは「適度な距離感」。言いたいことは言い合えるフラットなコミュニケーションと緊張感のバランスが活気あるチーム作りにつながっている。「自分をマネジャーとして意識することはあまりないですが、あくまで “先輩”。性格的に自分を取り繕ったり、相手に壁を作るのはそもそも苦手なんです。でも、だからといって仲良しの部活にはしたくない。私たちの部署は、外部とのやり取りも多く、小さなミスが大事になりかねないようなことがゴロゴロ転がっています。怒るときは、きちんと『それはダメでしょ』と言う。でも一度注意したら、それきり。後に引きずったりはしません。親しき仲にも礼儀ありという空気は大事にしています」。

今後の目標は「コロナでちょっと元気がなくなってしまった会社を活気づけること」。「お客さまも社員にも喜んでもらえるようなPRができたらいいですね。これが『ウィゴー』愛って言われたらそうかもしれない。『ウィゴー』でしかできないことに挑戦し続けたいですね」。

SCHEDULE for ONE DAY
07:00 起床、準備
09:00 撮影ケータリングの買い出し
10:00 スタジオ入り
11:00 撮影スタート
15:30 撮影終了
16:00 取引先のレセプションパーティーに参加
18:00 帰宅、在宅ワーク
19:30 終業
20:00 入浴、掃除など家事
21:00 夕食、自由時間
23:00 就寝

COMMENTS

推薦者コメント
澤石潤/人事総務部部長

登さんは当社のPR部門プレスのリーダー、まさに会社の顔として常に最前線で活躍しています。一見、華やかな職種ですが実際には地道で工数がかかる作業が盛りだくさん。それをそつなくこなすというよりは、見た目と裏腹に強い目的意識を持って、気合と根性でやり遂げる後ろ姿がまさに現代に活躍するマネジャーの鑑です。

チームメンバーコメント
比留間杏佳/プレス

いつも明るく、そばにいるだけで自然と周囲を笑顔にしてくれます。撮影日が雨予報で「どうしよう……」と思っていても、当日には晴れることが多くて、「やっぱり登さんって持ってるよね~!」とスタッフさんたちの間でも話題になるほど。明るい性格とポジティブなオーラに加え、天気さえ味方につける強運の持ち主です。


EDITOR’S VIEW

編集部コメント
木村和花/編集部記者

自分が率先して仕事をこなし、楽しんでいる姿を見せるのが登さんのリーダーシップのスタイルだ。そこに細かなノウハウはあまりない。でも、登さんの生み出す仕事への熱量と勢いがチームを自然とまとめ上げているようだ。カッコ良く働く「憧れ像」を部下に見せることも、リーダーシップのありようだと思った。

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