PROFILE: 押田梨沙/グローバルワーク営業本部 MD部 キッズチーフMD

現場と経営層とをつなぐ需要な役割を果たすのが、中間管理職(課長クラス)だ。プレイヤーでありながら、マネジャーとしてチームメンバーを鼓舞し、成果を出す――ファッション&ビューティ企業で活躍する、そんな「令和のプレイングマネジャー」たちに、マネジメントの秘訣を聞いた。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月14日号からの抜粋です)
ADASTRIA
売上高500億円を超えるアダストリアの旗艦ブランド、「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」のMD部で、キッズカテゴリーのリーダーを務めるのが押田梨沙さんだ。VMDや企画ディレクターなどを含む総勢11人のキッズチームを率い、キッズ全体の売り上げに責任を負う。また、半年前に発足した、「グローバルワーク」事業部全体としての、より公平な処遇のための仕組み作りや人事考課の取り組みにも携わっている。
MY RULES
〇 ゴールを設定する
〇 主語をお客さまにする
〇 家族も含め幸せであるように
公平さが信頼関係のベースに
「MDは“何でも屋”であり、これだけやっておけば大丈夫ということはありません。明日の売り上げのためにやるべきことをやり、同時に未来への投資も行わないといけない。その両方の目線を持ちながら働くことが、MD兼マネジャー職の醍醐味です」と押田さん。国内のキッズマーケットは、少子化の逆風にさらされている。その中で成果を出し続けることは至難の業だ。「私の指し示した方向へチームの皆が進んでくれる中で、迷うこともあります。反対意見を含めてさまざまな声をもらうけれど、スピーディーに進んでいくためには、全ての声を取り入れることはできない。自分で決断しなければいけません」。大事にしているのは、誰に対しても公平に接すること。そうすれば「ベースとして信頼関係を築けるので、多少の反対意見が出たり、反発が起こったりしても、チームをまとめられます」。これは、上司のチームとの関わり方を見て学んだことだ。
さかのぼること数カ月前、チームはまさに危機に瀕していた。キッズ市場で生き残るため、押田さん主導でMDの「大手術」を行ったが、半年経っても数字がついてこない。「チームみんなが連日頑張ってくれているのに結果が出ない」という非常に苦しい事態の中、ここからどうチームを立て直せばいいのか考えあぐねていた。その時取った行動は、正直に上司に状況を話し、上司を巻き込むこと。「自分が組織にとって必要だと思うことをやるためには、上司に動いていただいた方がいい時もあります」。マネジャーなんだから自力で乗り越えるべき、マネジャーはこうでなければならない、といった「ステレオタイプな理想像は捨てた方がいい。全てが完璧なマネジャーなんているはずがないのに、いざ自分がその立場に就くと、完璧でないといけないと思い込んでしまう」。それが、今後マネジャーになる人への押田さんからのアドバイスだ。
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