PROFILE: 友部博教(ともべ・ひろのり)/WorkTech研究所所長

中間管理職は、トップとは異なるかたちで組織を支えている。なかでも「プレイングマネジャー」と呼ばれる人たちは、プレイヤーとして活躍しながら、チームをマネジメントする責任も担っている。(この記事は「WWDJAPAN」2025年7月14日号「令和のプレイングマネジャー」特集からの先行公開で、無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
かつては、「マネジャーは管理に専念し、プレイヤーは成果に集中する」という役割分担が前提だった。しかし今、終身雇用は崩れつつあり、働き方も変わり、市場の流動性も高まっている。そうしたなかで、信頼をどう築き、評価をどう設計していくべきなのかが問われている。
ビズリーチの友部博教・WorkTech研究所所長に、変化の時代におけるマネジメントの本質を聞いた。ピープルアナリティクスや人材戦略に長けた視点から、プレイングマネジャーの“現在地”を読み解く。
WWD:現代のプレイングマネジャーに求められる資質とは?
友部:かつて、「マネジメント」と「プレイヤー」は明確に分離された役割でした。管理職になればプレイヤー業務から外れ、全体を俯瞰しながらメンバーの動きを把握していくという形が一般的だった。ところが今は、成果も求められる中で、自らプレイヤーとしても動きながら全体を管理するという「二重責任」が求められています。つまり、マネジャーとして全体最適を考える視座と、プレイヤーとして成果を出す実行力、両方のスイッチを常に切り替えながら働く必要がある。これは非常に高度で負荷も高い立場です。
WWD:そうしたプレイングマネジャーを企業が求める動きは増えていますか?
友部:明確に増えています。背景には、終身雇用や新卒一括採用が前提だった従来の人事制度が機能しなくなってきたことがあります。昔は長期育成のもとで管理職をつくっていましたが、今は在籍期間も前提も異なる。結果として、現場で成果を出しているプレイヤーがそのままマネジメントを担うケースが増えています。
ただし、その人がプレイヤーとしてチームの中核であることも多く、マネジメント専任にすると全体のパフォーマンスが下がってしまう。だからこそ、プレイヤーとマネジメントの兼任型が合理的な選択肢になっているわけです。
WWD:一方で、その役割に不安を感じる若手も多いと聞きます。
友部:若手が「マネジャーになりたくない」と感じる背景には、労働時間の増加、精神的負荷の高さ、ハラスメント対応など多面的な要因があります。近年はコミュニケーションにおいても配慮が求められる場面が増え、信頼構築と距離感の調整が一層難しくなっています。
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