ファッション
特集 ミラノ・コレクション2024-25年秋冬

「ジル サンダー」の幸せな服、灼熱の砂漠が舞台の「ボッテガ」 2024-25年秋冬ミラノコレリポートvol.4

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2024-25年秋冬ミラノ・ファッション・ウイークが2月21日に本格的に開幕しました。「WWDJAPAN」では編集長の村上要と記者の木村和花が現地入りし総力レポートします。あっという間にミラノ・コレクションも終盤に。4日目は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」や「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」など。

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ハンサムになった「エルマンノ シェルヴィーノ」

村上:4日目は、「エルマンノ シェルヴィーノ(ERMANNO SCERVINO)」からスタートですね。今回は、ちょっと“粘っこい”コレクションな気がしました。テノールの男性歌手が熱唱するBGMの影響もあるでしょうか(笑)?

ファーストルックは今季の登場頻度No.1、ウエストが緩やかにくびれたピークドラペルのジャケットでした。「エルマンノ シェルヴィーノ」は、ソルト&ペッパーの生地をチョイスしていましたね。同じような生地を使ったベアトップのコルセット風ボディウエアも悪くないし、こうしたアイテムで作るヘルシーに肌を露出するフォーマルスタイルも良いのですが、同じようなアイテムが続きすぎたでしょうか?もちろんパンツがハイウエストになったり、ベアトップのボディスーツがヌードのランジェリータイプになったり、はたまたスカートと一体化したミニドレスになったりの変化はあるものの、ソルト&ペッパーとヘリンボーン、グレーやヌードで作るミニ丈のジャケットスタイルという基本は変わらず。ここに、ますますターゲットが限られるレザーウエアが続いたから、“粘っこい”感じを抱いてしまいました。シフォンのドレスに刺しゅうを施したムートンを羽織ったりの“らしい”スタイルもあるだけに、ちょっとソンした印象があります。50ルック以上出てきたけど、35ルックくらいでまとめてもよかったのかな?

木村:グレー、カーキ、ホワイト、バーガンディー、ブラックと今季のミラノのトレンドカラーが詰まってました。体の曲線を強調するシルエットとマスキュリンな印象の重厚感のある素材の組み合わせで、「エルマンノ シェルヴィーノ」なりのハンサムウーマンを提案していました。でもハンサムになりすぎないようバランスを取るためでしょうか、多出したワイヤー入りのコルセットには息苦しさを感じてしまいました。「エルマンノ シェルヴィーノ」の服は女性の体を美しく見せる服です。細部には着やすさを担保する工夫がされていたのかもしれませんし、着こなせる人がいるからこその提案だとは思いますが、全ての女性に開かれたブランドではないのかも、と考えさせられました。

洗練度が増し、フェティッシュさを抑えた「フェラガモ」

村上:洗練の度合いを深めたと共にアイデンティティを発揮仕切れなかった印象で、ちょっぴり勿体無い気がしたのは、私だけでしょうか?マクシミリアンの「フェラガモ」って、ちょっぴりフェティッシュなムードがオリジナリティだと思うんです。それはハーネスやボンテージウエアに着想を得たスタイルから、レザーのパーツ使い、アイコンバッグの“ハグ”にも多いガラス加工のレザー、ボディコンシャスなシルエットと肌見せ、「フェラガモ(FERRAGAMO)」らしい官能的なレッドに至るまで、通底しているオリジナリティだと思います。もちろん、その要素が全面に出てくると売りづらくなっちゃうのはわかるのですが、我々のようなマクシミリアンファンからすると、もうちょっとフェティッシュでもいいのに……って思っちゃう。それはシフォンのドレスやレースやシルクサテンのペチコート、こうしたアイテムに大きなコートを羽織るようなスタイルが多出している今シーズンだからこそ、「フェラガモ」にはそれ以上を期待しちゃったのかもしれません。

ガラス加工のサイハイブーツや、メンズのコンパクトショーツ、徹底した1カラーコーディネート、オーバーサイズのアウターにカラータイツオンリーのスタイルはフェティッシュなムードを漂わせますが、もうちょっと堪能したかったかな。終盤の魚のウロコを模したパートには、ドキッとさせられました。こんなカンジが欲しかったんです。

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