ファッション

「バルマン」の観客6000人に驚き、「ラフ・シモンズ」のメンズスカートにキュン 22年春夏パリコレの現場からVol.2

 おはようございます。ヨーロッパ通信員の藪野です。デジタル発表が割と多くて、ゆったりしているのかな〜と思っていたパリコレですが、意外と毎日忙しく過ごしています。今回は、「クレージュ(COURREGES)」と「クロエ(CHLOE)」が新しいクリエイティブ・ディレクター就任後初のリアルショー、「バルマン(BALMAIN)」がオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)の就任10周年記念ショー、「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」がウィメンズコレ参戦と、盛りだくさんの3、4日目のハイライトをどうぞ!

9/29
10:00 COURREGES

 「クレージュ」の会場は、パリ南東部にあるヴァンセンヌの森。朝一のショーで中心地から離れた場所というのは、招待客が集まりきらないリスクもあるので、ある意味、自信がないと選べないロケーションです。ただニコラス・デ・フェリーチェ(Nicolas Di Felice)は、初のリアルショーの場所に個人的な思い入れのある、このロケーションを選びました。近年、若者たちが自然の中で踊り明かすパーティーの開催場所にもなっているそうで、音楽好きのニコラスらしいチョイスでもあります。

 雨が上がり、朝の光に照らされた気持ちいい自然の中にビックリするほどの爆音が響き、ショーがスタート。今季は、半年前のデビューコレクションで見せた、ミニマルで若々しいイメージを継続しながら、野外フェスに来ていくようなウエアを加えています。象徴的なのは、冒頭に登場した3着のポンチョ。丸、三角、四角のラインを描いたアイテムは、それぞれ1968年、69年、95年のアーカイブから着想を得たものだそう。デザインでは、76年のドレスのストラップから着想を得た、生地の交差がポイント。ホルターネックのブラトップやミニドレスに加え、パンツやスカートのウエスト、バッグのハンドル部分にクロスするデザインを取り入れています。ニコラスは創業者アンドレ・クレージュ(Andre Courreges)が築いたDNAを継承しつつ、それを今の時代にふさわしい形で表現するのが上手。今季もオシャレな若者たちが着ている姿が想像できます。

20:30 BALMAIN

 「バルマン」は、オリヴィエ・ルスタンの就任10周年を記念して、主催する音楽フェス「バルマン フェスティバル(BALMAIN FESTIVAL)」のプログラムの一部として、コレクションを発表しました。パリ郊外のセガン島にあるライブ会場ラ・セーヌ・ミュージカルで開かれたショーのゲストは、フェスの参加者も合わせると、なんと6000人以上!こんな大規模なイベントがリアルで開催されていることに正直、驚きと不安を覚えましたが、会場は大盛り上がりです。

 ビヨンセ(Beyonce)がオリヴィエに送るメッセージから幕を開けたショーは、彼が手掛けてきた10年間を集約するかのよう。パワーショルダーのテーラリングやバイカージャケットをはじめとするレザーアイテム、ミリタリースタイル、白黒のストライプやボーダー、セクシーなボディコンドレス、大胆なカット、ドレーピングやギャザー、スーパーロングのフレアパンツ、ゴールドチェーンの装飾などが、てんこ盛りです。一度暗転した後には、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)やミラ・ジョヴォヴィッチ(Milla Jovovich)、カーラ・ブルーニ(Carla Bruni)らが、クチュールのような豪華絢爛なドレスをまとって登場。そのラインアップもまた「バルマン」らしく、豪華です。

 弱冠25歳で就任し、クリエイティブ・ディレクターが次々に変わる近年のファッション業界の中で、10年という節目を迎えたことは素晴らしい!といっても、彼はまだ35歳。これからの活躍も期待です。

9/30
12:00 RICK OWENS

 新型コロナウイルスの影響で、自宅があるイタリア・ベネチアのリド島での無観客ショーをライブ配信していた「リック・オウエンス(RICK OWENS)」も、おなじみの会場であるパレ・ド・トーキョーに戻ってきました!ショーが始まり、霧に見立てた大量のスモークが炊かれる中から現れたのは、リックの公私にわたるパートーナーであり、ミューズでもあるミシェル・ラミー(Michele Lamy)。「できる限り『リック・オウエンス』らしいものを目指した」という今季にぴったりな人選です。

 コレクションの中心となるのは、肩を誇張したテーラリングや、口元までを覆うハイネック、幾何学的なカットアウト、クモの巣のようなニット、プラットフォームシューズといった力強いデザイン。それと対比するように、マーメイドラインやギャザーで生み出すシルエットが美しいロングドレス、フェザーをあしらったチュールのケープで、柔らかさを加えています。ラストルックは、今季のアクセントカラーとして取り入れた鮮やかなオレンジのルック。そんなところにも、ちょっとポジティブなムードを感じました。

14:00 CHLOE

 「クロエ」の会場は、ノートルダム大聖堂を見渡せるセーヌ川沿い。お天気にも恵まれ、心地よい風が吹き抜ける中で、ブランドらしい優しいカラーパレットにガブリエラ・ハースト(Gabriela Hearst)が持ち込んだハンドクラフトへの愛が溶け合うウエアやアクセサリーを披露しました。ガブリエラは、「ラグジュアリーファッションは産業化されすぎた」という考えから、インディペンデントな職人の手で作られるアイテムに注力。例えば、過去のコレクションの残反を細かく切ってマクラメ編みで仕上げたドレスや、スエードのピースを組み込んで編んだクロシェニット、カラフルなテープ状のフリンジが風になびくドレスが目を引きます。

 ソーシャルグッドなブランドへの改革を進める「クロエ」は、今季も環境負荷の低い素材への切り替えや社会貢献の取り組みを拡大しています。素材ではデッドストックを活用するだけでなく、コットンからリネンへの移行を進めたり、バッグやシューズに使用するレザーは国際団体のレザーワーキンググループ(LWG)が認定したタンナーから調達するものを増やしたり。ケニアのビーチなどで回収されたビーチサンダルをアップサイクルする社会事業のオーシャン・ソール(Ocean Sole)や、マガダスカルを拠点とする世界フェアトレード連盟認定メンバーであるアカンジョ(Akanjo)とのモノづくりにも取り組んでいます。

 先シーズンのインタビューでガブリエラは「自分のメッセージを実現するため、社内のさまざまな部門の会議に出席して、その浸透を図っている」と話していました。「クロエ」のアイデンティティとガブリエラの信念やスタイルがうまく融合した今季は、その努力が形になりつつあることを感じさせる素敵なコレクションでした。

16:30 RAF SIMONS

 いつもはメンズコレで発表している「ラフ・シモンズ」が、ウィメンズに参戦!メンズとウィメンズを一緒に披露しましたが、靴以外では男女の見分けがつかないほどジェンダーの境目がないスタイルを打ち出しています。キーアイテムは、ロックバンドのツアーTシャツのようなグラフィックをのせたテーラードジャケットとハーフプリーツ入りのスカート、サックドレス、オーバーサイズシャツやボンバージャケット、フェアアイルセーターなど。共同クリエイティブ・ディレクターを務めている「プラダ(PRADA)」の影響を感じさせるスタイルもあります。

 何よりも印象的だったのは、メンズのスカートスーツもアリ!と感じさせるクールさ。レッドカーペットや雑誌のエディトリアル、ファッション・ウイークでは男性がスカートやドレスを着ている姿を目にすることが増えました。個人的にはこれまであまりしっくりきていなかったのですが、ラフが見せてくれた今回のショーでちょっと意識が変わりました。

21:30 ROGER VIVIER

 本日最後は、「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」の新作プレゼンテーションを兼ねたディナー会へ。会場となった古いキャバレーに入ると、デジタルで発表された映像にも登場するドレスアップした緑の魔女たちがお出迎え。初っ端から、クリエイティブ・ディレクターであるゲラルド・フェローニ(Gherardo Felloni)のファンタジーな世界観満点です。

 壁に空いたいくつもの穴を覗くと、見えるのはそんな緑の魔女たちが身につけた新作シューズやバッグ。シューズは、60年代から着想を得た鮮やかな色のミュールやデコラティブなグラディエーターサンダル、バッグは今季スモールサイズが加わった“ヴィヴ ショック“が素材バリエーション豊富に揃います。ネコ好きにはたまらないコスチュームジェエリーもキュートです。

 約80人が参加したディナーでは、10代の頃に声楽を学んでいたゲラルドが「ロジェ ヴィヴィエ」のために作ったという歌を披露。和やかなムードと美味しい料理で、パリコレのバタバタを忘れるひと時でした。

おまけ:今日のワンコ

 「コペルニ(COPERNI)」の会場外で、人気インフルエンサー、クセニア・アドンツの愛犬を発見。とっても人懐っこくて、朝から癒されました。「クレージュ」「セシル バンセン(CECILIE BAHNSEN)」の会場でもそれぞれ穴を掘り続けるボーダーコリーと、ぬいぐるみみたいなポメラニアンを見つけました〜。

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